映画「海街diary」(2015年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

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感想/コメント

日常生活を通じて他人から家族になっていく様子を静かに描いた作品です。

最初は緊張していたすずが、最後では自然な笑みを浮かべるようになり、長女の幸の笑顔もより柔らかなものへとなっていく様子が、あまりにも自然でした。

この女優陣の年齢・タイミングが合ってこそ成立しえた映画だと感じました。

本作のようにタイミングがマッチして成立する映画というはめったにないだろうと思います。稀有な作品です。

個人的に、映画は基本的にプロットが最も重要で、役者や監督の良し悪しは、プロットを100%生かし切れるかどうかだと思っているのですが、この映画はプロットよりも役者のためにある映画だと思いました。

ロケ地

父の葬儀のために訪れた山形県の旅館は、実際には岩手県花巻市にある鉛温泉藤三旅館です。この最初の方のシーンは、いろんなところで撮影しました。

父の葬儀に向かう際に到着した駅ですが、栃木県日光市にある、わたらせ渓谷鉄道足尾駅が使われました。駅から家までの道には、同じく日光市の庚申(こうしん)ダム付近の山道が使われています。

鎌倉でのシーンで印象的なのは、浜辺でしょう。七里ヶ浜のシーンが2回ほど出てきます。

幸と椎名が二人で歩くシーン。階段で話すシーンは、背景がぼやけているが、遠方には稲村ケ崎らしき景色が見えます。

同じく、最後の、葬儀の後のシーン。4姉妹が浜辺を歩くシーンも、ほぼ同じところで撮影したように思えましたが・・・、どうでしょうか?

撮り鉄には有名な江ノ電撮影スポットの、御霊神社の踏切も出てきました。

そうそう、桜のトンネルのシーン。すずと風太が自転車に二人乗りして走るシーンは、沼津の愛鷹広域公園だそうです。

是枝裕和監督による長編映画

  • 幻の光(1995年)
  • ワンダフルライフ(1999年)
  • DISTANCE(2001年)
  • 誰も知らない(2004年)
  • 花よりもなほ(2006年)
  • 歩いても 歩いても(2008年)
  • 大丈夫であるように -Cocco 終らない旅-(2008年)
  • 空気人形(2009年)
  • 奇跡(2011年)
  • そして父になる(2013年)
  • 海街diary(2015年)本作
  • 海よりもまだ深く(2016年)
  • 三度目の殺人(2017年)
  • 万引き家族(2018年)
  • 真実(2019年)

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

父の訃報と妹

鎌倉に暮らす香田幸、佳乃、千佳の3姉妹のもとに、15年前に家を捨てて出て行った父の訃報が届いた。
3姉妹が住んでいるのは、鎌倉にある教師をしていた祖父母の家だった。

看護師をしている幸は仕事の関係で行けそうにないので、二人の妹・佳乃、千佳に行ってもらうことにした。
佳乃と千佳は葬儀に出るため、山形の河鹿沢温泉に向かった。
駅で出迎えてくれたのは、姉妹の腹違いの妹・すずだった。
母も亡くなっていて、すずは一人ぼっちだったが、葬儀の場では毅然と立ち振る舞っていた。

その葬儀に幸が顔を出した。何とか間に合ったのだ。
そして、幸はすずと出会った。
「父の看病をずっとあなたがしてくれたんでしょう?ありがとう。父も喜んでると思う。」
幸は、すずにそう声をかけた。
すずは、それを聞いて、堰が切れたように泣き出した。

葬儀からの帰り際、幸はすずに話しかけた。
「すずちゃん、鎌倉で私達と暮らさない?」
しばらくして、すずは答えた。
「行きます!」

4人目の姉妹

四十九日が終わった翌週、すずが鎌倉にやってきて、香田家の四女として新しい生活を始めた。

香田家は3姉妹だけで暮らしてきた。父は女を作って家を出て行った。母もやがて新しい男を作って家を出て行った。
長女の幸が市民病院に看護師として勤務していた。両親がいない分、二人の妹の面倒を見なければならないという使命感があった。
次女の佳乃は信用金庫に勤務していた。男運がなく、酒癖も悪い。三女の千佳はスポーツ用品店に勤務している。

すずを引き取ることを知った大船に住む大叔母の菊池史代は「またあんたの婚期が遠のく」と嘆いた。
だが、幸は決めていた。

香田家に着いたすずは、2階の南向きの部屋で生活を始めた。
4人の暮らしは女子寮のようだった。
この引っ越しに千佳が勤めているスポーツ用品店のアフロ頭の店主・浜田がやってきたが、すでに引っ越しは終わっていた。

すずは中学校に編入し、地元のサッカーチーム「湘南オクトパス」に入団した。
友達も、尾崎風太などの仲間もできて、順調に鎌倉での生活が始まった。
サッカーチーム行きつけの店「海猫食堂」で、店主の二ノ宮さち子や、常連客で「山猫亭」の店主・福田仙一とも知り合った。

4人姉妹のそれぞれ

佳乃が彼氏と別れた。ヒモ同然のひどい男だった。

幸はターミナルケア病棟への配属を打診された。
恋人で小児科医の椎名に相談した。
毎日、死と向き合うことになるターミナルケア。椎名はしっかり考えるようアドバイスした。

幸が家に帰ると、すずが酔っ払って倒れていた。
サッカーでの活躍を祝うために千佳が梅酒を飲ませてしまったのだ。
泥酔したすずは義母や父に溜まっていた不満をぶちまけた。
幸はその酒癖の悪さを見て、佳乃に似ていると苦笑した。

季節が巡って新学期。
すずは、友達とも湘南オクトパスのチームメイト・尾崎風太とも同じクラスになった。
二人は少しずつ互いを意識するようになる。

「山猫亭」をすずは湘南オクトパスのチームメイトと訪れた。そこで食べた「しらすトースト」は父親が食べさせてくれていたものと同じものなのを知った。
すずが落ち込んでいると、風太はすずを自転車の後ろに乗せ、トンネルへ連れて行った。そこは桜並木のトンネルだった。

祖母の七回忌と母

祖母の七回忌法要に母の都が来ることになった。久しぶりの再会である。都は札幌に住んでいる。
大船に住む大叔母の菊池史代のところに泊まるようだ。
幸は都とそりが合わない。高校時代に三姉妹を祖父母に託して家を出たからだ。

都が「家を処分したらどうかな?」と言い出す。
都と幸が喧嘩になったところを史代が止めた。

すずは不倫の子であることで引け目を感じていた。
幸と料理をしていたすずは突然「ごめんなさい」と言った。
すずは幸に「奥さんがいる人を好きになるなんて、よくないよね」と自分の母のことを詫びた。

幸はすずを傷つけたことに気付いた。そして、己のことも考えた。
幸の恋人・椎名は別居中の妻がいる既婚者だ。諸事情があるとはいえ、妻との離婚ができない椎名と幸は不倫関係でしかない。
佳乃は幸のその点を突っ込んだが、幸は認めようとしなかった。

翌日、都が家にやってきた。昨日渡しそびれた土産を置いていくためだ。
遅出のため幸が家におり、幸は都と一緒に祖母の墓参りについて行った。
そして、幸は北海道に帰る都に家族の思い出の「梅酒」を手渡した。

4姉妹のそれぞれ

千佳とすずは一緒にカレーを作り、千佳は祖母との思い出の味が「ちくわカレー」だと説明した。
千佳は父親のことをあまり覚えておらず、すずに「いつか聞かせてね」と言った。

佳乃が融資課へ異動となった。坂下課長と一緒に外回りを始めた。
その中で、「海猫食堂」の二ノ宮さち子から相談を受けた。弟が遺産を寄こせと言ってきたというのだ。
二人は知恵を絞ったが、二ノ宮さち子は店をたたむことにしたという。末期がんが判明したのだ。
店をたたんでターミナルケアに入ることになった。幸がいるところだ。

椎名がアメリカに留学することになった。幸に一緒に来てほしいと言った。
二人は、浜辺を歩いて、階段に腰掛けて話した。幸は一緒に行くのを断った。
椎名は立ち上がって、微笑みながらゆっくりと去って行った。

浴衣を着て花火大会に出かけたすずは、風太やチームの仲間たちと船に乗って花火を見物した。
すずが家に戻ると、姉たちが浴衣を着て待っており、4姉妹は庭で花火を楽しんだ。

幸がすずの身長を家の柱に刻んだ後、2人で山に登った。
海と街が見渡せるその場所は、幸が小さい頃に父とよく訪れたところだった。父が家を離れてからも1人で来ていた場所だった。
2人は大声で叫んだ。

すずが「お母さんのバカー!」と叫んだ。すずは涙を流しながら「もっと一緒にいたかったのに」とつぶやいた。
幸はすずを抱きしめながら「お母さんのこと、話していいんだよ。」
「すずはここにいていいんだよ。ずーっと。」と言った。
すずは「ずっといたい」と泣きじゃくった。
すずは生まれて初めて自分が居ていい場所をもらえた。

親しき人との別れ

二ノ宮さち子が他界した。
葬儀で、福田が4姉妹に話した。「綺麗なものを綺麗って思えるのが嬉しい」と言っていたという。
帰り際、仙一はすずを呼び止め、「お父さんの話、聞きたくなったらこそーっとおいで」と言った。

4姉妹は浜辺へ出た。
すずは父が死ぬ前に同じように「綺麗なものを綺麗って思えるのが嬉しい」と言っていたことを姉たちに話した。

4人は浜辺で戯れた。

映画情報(題名・監督・俳優など)

監督:是枝裕和
原作:吉田秋生『海街diary』(小学館『月刊フラワーズ』連載)
脚本:是枝裕和
音楽:菅野よう子

出演:
香田幸/綾瀬はるか
香田佳乃/長澤まさみ
香田千佳/夏帆
浅野すず/広瀬すず
坂下美海/加瀬亮
井上泰之/鈴木亮平
浜田三蔵/池田貴史
藤井朋章/坂口健太郎
尾崎風太/前田旺志郎
高野日出子/キムラ緑子
菊池史代/樹木希林
福田仙一/リリー・フランキー
二ノ宮さち子/風吹ジュン
椎名和也/堤真一
佐々木都/大竹しのぶ

映画賞など

第63回 サン・セバスチャン国際映画祭

  • 観客賞

第39回 山路ふみ子映画賞

  • 新人女優賞(広瀬すず)

第7回 TAMA映画賞

  • 最優秀作品賞
  • 最優秀女優賞(樹木希林(『あん』『駆込み女と駆出し男』と合わせて))

第40回 報知映画賞

  • 新人賞(広瀬すず)

第28回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞

  • 主演女優賞(綾瀬はるか)
  • 助演女優賞(長澤まさみ)
  • 新人賞(広瀬すず)

第57回 毎日芸術賞

  • 特別賞(是枝裕和)

第89回 キネマ旬報ベスト・テン

第39回 日本アカデミー賞

  • 最優秀作品賞
  • 最優秀監督賞(是枝裕和)
  • 最優秀撮影賞(瀧本幹也)
  • 最優秀照明賞(藤井稔恭)

第70回 毎日映画コンクール

  • 女優主演賞(綾瀬はるか)
  • 女優助演賞(長澤まさみ)

第25回 東京スポーツ映画大賞

  • 監督賞(是枝裕和)
  • 主演女優賞(綾瀬はるか)
  • 助演女優賞(長澤まさみ)
  • 新人賞(広瀬すず)

第37回 ヨコハマ映画祭

  • 作品賞
  • ベスト10・第1位
  • 監督賞(是枝裕和)
  • 主演女優賞(綾瀬はるか)
  • 最優秀新人賞(広瀬すず)
  • 撮影賞(瀧本幹也)
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