記事内に広告が含まれています

(映画)ニュー・ワールド(2005年)の考察と感想とあらすじは?

この記事は約4分で読めます。

伝説化されてしまったネイティブ・アメリカンのポカホンタスの波乱に満ちた生涯を描いている映画です。

波乱に満ちた人生のはずなのに、なぜか全体的に静謐な印象を受けます。

映画の最初に小川のせせらぎの音に始まり、最後も小川のせせらぎで終わるのもそうした印象を与える要因になっているかも知れません。

評価は両極端の映画だろうと思います。監督が伝えたいメッセージに何かの意味を見いだして見るのであれば、それなりに楽しめる映画でしょうが、娯楽性には乏しい映画です。

個人的には、メッセージに何かの意味を見いだして楽しむことも出来ましたが、それ以上に、映画の根底に流れる静謐な雰囲気が気持ちのいい映画でした。見終わったところで、心安らぐ気持ちよさがあったので、それだけで充分です。

感想/コメント

愛の映画。として紹介されていましたが、そういう見方もあるでしょうが、映画が与える印象を考えると、愛よりも別のものをイメージとして伝えたかったのではないかと強く感じます。

ネイティブ・アメリカンの描かれ方が正確なのかどうかは知りません。ですが、彼らが自然と供に生き、自然を崇拝し、その姿勢はどこにいても、どのような状況においても捨てようとしない姿を伝えたかったのではないかと思うのです。

現在の物質至上主義の世の中へのアンチテーゼのような気がする映画です。

映画の前半でポカホンタスが儀礼をするシーンがあります。さながら巫女のようであり、自然への畏敬と感謝を表しているような姿には、現在では失われたものを見るようでした。

そして、ポカホンタスがイギリスに渡ったときにポカホンタスに随行するネイティブ・アメリカンの男が、物質至上主義の世の中へのアンチテーゼとしてとても象徴的です。

彼は西洋の服を着ません。ネイティブ・アメリカン本来の姿のままイギリスに渡ります。

彼にあえて西洋の服を着させなかったところにも意味があるのでしょう。それは、ポカホンタスの心を代弁させているのかも知れません。このイギリスに渡るシーンでは、ポカホンタスは西洋の服を日常的に着て過ごしています。

ですが、心までは西洋化していないというのを暗示するために彼をそうさせたのかも知れません。

ポカホンタスが死んだあと、彼が姿を消すシーンなども、ポカホンタスの心が遠くへ旅立つような印象を与えました。

映画の前半と後半でクッキリとストーリーの流れが変化しています。

前半ではジョン・スミスとの出会い、そして別れというものがはっきりと描かれていますが、後半でジョン・ロルフと結婚してからのポカホンタスの描かれかたはスピリチュアルですらあります。

スピリチュアルなのは特にイギリスに渡ってからです。最後の方では象徴的で抽象的な映像表現をとっています。

とても、愛の映画とはいえません。この宣伝文句はあくまでも映画宣伝用だと思います。

さて、不満が強いことが一つあります。それは、ジョン・スミス役のコリン・ファレルです。どうみてもミスキャスト。興行面から、この映画制作時において人気のある俳優を使ったのでしょうが、違和感ばかりが残りました。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

1607年、イギリスを出航した船が北米ヴァージニアに到着する。しかしそこにはすでに、ネイティヴ・アメリカンの人々が暮らしていた。

船には反乱罪で繋がれていたジョン・スミス大尉がいた。補給物資調達のためにイギリスに戻ることになった船長により、この地の指揮官に指名されたのは反乱罪で裁かれるはずだったジョン・スミスだった。

彼はアメリカン・ネイティヴとの揉めごとが起きないようにしていたが、砦の環境は徐々に悪化し、揉め事や不満が表出していた。

スミスはアメリカン・ネイティヴの長と交渉のために、川上へと向かうが、逆に囚われの身となり、命を奪われそうになる。

その彼の命を助けたのが王の娘ポカホンタスだった。やがて二人は恋に落ちるが、やがてスミスは砦に戻らなくてはならない日が来て、二人の恋は終わる。

ポカホンタスはスミスとの愛を失い、英国人紳士ジョン・ロルフと結婚して母となる。やがて英国に招かれて国王に謁見する…。

この年に公開された映画やドラマを下に方に載せておりますので、ご参考になさってください。

映画情報(題名・監督・俳優など)

ニュー・ワールド
The New World
(2005)

監督:テレンス・マリック
脚本:テレンス・マリック
音楽:ジェームズ・ホーナー

出演:
ジョン・スミス/コリン・ファレル
ポカホンタス/クオリアンカ・キルヒャー
ニュー・ポート船長/クリストファー・プラマー
ジョン・ロルフ/クリスチャン・ベイル

受賞

  1. 英BBC 21世紀最高の映画100本 2016年版

2005年前後の興行収入ランキング

歴代の興行収入ランキング

  1. 日本歴代興行収入ランキング(Top100)
  2. 世界歴代興行収入ランキング(Top200)

2005年公開の映画

(映画)キングダム・オブ・ヘブン(2005年)の考察と感想とあらすじは?

リドリー・スコットが言いたかったのは、最後のテロップに書かれている、「...1000年たっても状況は変わっていない...」といった内容のところだったのではないか。

(映画)ALWAYS 三丁目の夕日(2005年)の考察と感想とあらすじは?

昭和33年。私にとっては知らない時代の話。だが、なんとなく懐かしく思えてしまうのはなぜだろう。まだ出来上がっていない東京タワー。建設途中の映像が様々な場面で登場する。

(映画)スター・ウォーズ3 シスの復讐(2005年)の考察と感想とあらすじは?

今作品は後に続く、というよりも、遥か昔に(まさに、A long time ago in a galaxy far, far away....だが)公開されているEpisode4~6につながる作品となった。

(映画)阿修羅城の瞳(2005年)の考察と感想とあらすじは?

本作は元々、劇団☆新感線の「いのうえ歌舞伎」と呼ばれるシリーズの演目名で、サブタイトルまで含めた正式な名称は「阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES」。

(映画)Mr.&Mrs. スミス(2005年)の考察と感想とあらすじは?

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが初共演。壮大な夫婦喧嘩を映画化したという代物。娯楽性はそれなりに確保されている

(映画)レジェンド・オブ・ゾロ(2005年)の感想とあらすじは?

「マスク・オブ・ゾロ」の続編。今回は、アントニオ・バンデラスのゾロだけでなく、妻エレナのキャサリン・ゼタ=ジョーンズと息子ホアキンのアドリアン・アロンソが大活躍する。

(映画)ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女(2005年)の考察と感想とあらすじは?

末娘のルーシィ。彼女の、無鉄砲さと、すきっ歯がチャーミングでした。まぁ、これらは置いておき、CGは全体的に素晴らしかったです。特に主役クラスのアスラン。これは必見です。音楽も、映画にマッチする音楽だったと思います。

(映画)プロミス-無極-(2005年)の考察と感想とあらすじは?

「さらば、わが愛/覇王別姫」でカンヌ映画祭のパルムドールを受賞し、オスカーにもノミネートされたチェン・カイコー監督による作品。無歓を演じるニコラス・ツェー。耽美的な、自己陶酔系の北の侯爵…。

(映画)戦国自衛隊1549(2005年)の考察と感想とあらすじは?

1979年の映画「戦国自衛隊」(主演:千葉真一)のリメイク版。こちらでは、長尾景虎(後の上杉謙信)が重要な登場人物となります。なんとも...

(映画)ブラザーズ・グリム(2005年)の考察と感想とあらすじは?

グリム童話で知られるグリム兄弟の足跡を描いた映画...ではない。そう思ってみてしまうと、面食らってしまうのは間違いない。ダーク・ファンタジー・コメディである。

(映画)サハラ 死の砂漠を脱出せよ(2005年)の考察と感想とあらすじは?

冒険ものということで期待していました。しかも、原作は売れまくりのシリーズ。きっと面白いに違いない!!!...と期待に胸を膨らませていたのですが...

(映画)Vフォー・ヴェンデッタ(2005年)の感想とあらすじは?

「革命」を題材にした映画。過去にあった革命ではない。近未来を舞台にして、革命を起こすという映画である。舞台は近未来のイギリス。このイギリスで1605年11月5日に起きた事件「火薬陰謀事件」を常に引き合いに出して物語は進んでいく。

(映画)コンスタンティン(2005年)の考察と感想とあらすじは?

エンディングロールが終わってから短いエピローグがあるからなのです。うーん。私が見た回も結構帰ってしまっている人が多かったのですが、帰ってしまった人はもったいないことをしたものです。

(映画)イーオン・フラックス(2005年)の考察と感想とあらすじは?

それなりに期待させてくれるし、途中までは楽しいSFである。意外な設定もあり、それこそ手足が両方とも「手」という改造人間などの登場も今までありそうでなかっただけに良かった。

(映画)SHINOBI(2005年)の感想とあらすじは?
原作は山田風太郎の「甲賀忍法帖」。とても面白い作品なのですが、映画はこれを原作に忠実に描いているわけではありません。プロットを踏まえながら、オリジナルなものに仕上がっていますよう
(映画)容疑者 室井慎次(2005年)の考察と感想とあらすじは?

「踊る大捜査線」の番外編としてのOdoru Legendの第2弾。警視正・室井慎次が主人公の映画です。踊る大捜査線同様のキャラクターを配置することで、踊る大捜査線ワールドが再現されているのを感じる作品です。

(映画)オリバー・ツイスト(2005年)の考察と感想とあらすじは?

オリバー・ツイストは決して悪の道に入り込むことはありませんでした。感動的なのは、最後の場面でフェイギンのために、一緒に神に祈りを捧げるところです。あそこまで人を信頼し感謝できるオリバー・ツイストという少年は天使のようです。

(映画)蝉しぐれ(2005年)の考察と感想とあらすじは?
原作の「蝉しぐれ」は、藤沢周平作品のなかで確実に上位5位以内に入る名作です。これは藤沢周平ファンや藤沢周平作品をある程度読んだことがある人なら、一致した意見だろう、と勝手に思っています。
(映画)セブンソード(2005年)の考察と感想とあらすじは?

映画が始まったばかりの、風火連城からやって来た、白塗り賞金稼ぎ軍団の登場は度肝を抜き、期待感を持たせてくれた。特に、インパクトの強い、十二門将・瓜哥洛はよかった。

(映画)ハリー・ポッター4/ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005年)の考察と感想とあらすじは?
かなり原作に忠実であろうとしている姿勢が見られました。その努力は称賛に値しますが、それでも、原作を読んでいないと、今ひとつ分かりづらいシーンや、人間関係があったと思います。
(映画)ローレライ(2005年)の考察と感想とあらすじは?

今回は「ローレライ」(原作:福井晴敏「終戦のローレライ」)を見ました。ローレライはLoreleyと書き、ドイツのライン河流域のザンクト・ゴアルスハウゼン近くにある、岩山のことをいうそうです。

タイトルとURLをコピーしました