感想/コメント
原作は1954年に第1巻が出版。ファンタジーの原点となるJ・R・R・トールキンの「指輪物語」。その完全映画化第2作目です。
表題の「二つの塔」とは、サルマンの城オルサンクと、冥界の王サウロンの要塞バラド=ドゥアを意味しています。フロドたちはこの二つの塔の放つ闇の力にのみこまれていくのでしょうか…。
前作のラストで3つに分かれてしまった「旅の仲間」たち。それぞれの仲間達が遭遇する出来事が描かれます。つまり、3つの視点が描かれることになるのです。
映画化に当たって、こうした分散された視点というのは、散漫な雰囲気を見る側に与える可能性があるのですが、上手くしのいでくれたと思います。
音楽は前作でアカデミー賞を獲得したハワード・ショア。また、前作ではエンヤが参加していました(エンヤの4作目「A Day Without Rain」と5作目「Amarantine」の間の時期です)。
今回はエンドロールでエミリアナ・トリーニが「ゴラムの歌」で参加しています。エミリアナ・トリーニはビョークに見出されたアイスランドのヴォーカリストです。
やはり、ケルティックなものが下地にあるファンタジーには、ケルティックな音楽というのもがマッチします。
本作品で、アカデミー賞の視覚効果賞と音響効果賞を受賞。他にも作品賞、美術賞、音響賞、編集賞にノミネート。ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)と監督賞にノミネートしました。
ホビットとロード・オブ・ザ・リング(時系列順)
- ホビット 思いがけない冒険
- ホビット 竜に奪われた王国
- ホビット 決戦のゆくえ
- ロード・オブ・ザ・リング
- ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(本作)
- ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
ホビットとロード・オブ・ザ・リングを理解するうえでジョーセフ・キャンベルの「千の顔をもつ英雄」が参考になります。
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
三手に分かれてしまった旅の仲間。
フロドとサムは、火の山(滅びの山)のき裂に指輪を捨てるという使命のため、冥王サウロンが支配するモルドールを目指していた。
そのフロドとサムの後を、ゴラムという奇妙な生き物がつけていた。彼は指輪の前の持ち主なのだ。
ゴラムはホビットとよく似た種族でスメアゴルという名前だったが、500年以上にわたって持っていた指輪の邪悪な力のせいで姿が変わり、心もねじ曲がっていた。
指輪をねらうゴラムを捕らえて、フロドはモルドールへの道案内を命じた。ゴラムは霧が立ち込めた死者の沼地に二人を導く。水面に浮かぶ不気味な死人の顔に誘い込まれるように沼に落ちたフロドをゴラムが助ける。
指輪を探し求めるナズグルが、翼を持った巨大な獣に乗って飛んできた。サムは、指輪の誘惑に負けそうになるフロドの手を、しっかりと握り締めて励ましていた。
魔法使いのサルマンが、ホビットを生きたまま連れて来いと、ウルク=ハイに命令し、オークとウルク=ハイの軍団にメリーとピピンはさらわれた。
アイゼンガルドのオルサンクの塔を拠点とするサルマンは、モルドールのバラド=ドゥアの塔を支配する冥王サウロンと手を結び、中つ国を闇の世界に変えようとしていた。
フロドたちと離れ離れになったアラルゴン、レゴラス、ギムリの3人は、ローハンの騎士の一団と遭遇する。アラゴルンは隊長のエオメルから、彼の伯父でローハンの王セオデンがサルマンに心を毒されてしまったと聞く。
アラゴルンたちは、騎士たちが殺したというウルク=ハイの死体の焼け跡を調べ、メリーとピピンのわずかな痕跡を追って、太古の不思議な森ファンゴルンへと分け入る。そこで、白の魔法使いとして甦ったガンダルフと再会した。
ガンダルフはメリーとピピンの無事を告げた。彼は、樹木の牧者エントの木の鬚に、二人の安全を頼んだのだ。
ガンダルフはローハンを救うために、アラゴルンたちを連れて急ぎエドラスの都へと旅立つ。サルマンとの戦いに全力を尽くすべきだと考えていた。それがフロドとサムの援護にもなる。
ゴラムはフロドとサムをモルドールの黒門まで案内した。だが、門は閉ざされ、見張りがいるため入れない。モルドールへ入る秘密の暗い道をぬけていくことになった。
フロドは日に日に指輪の邪悪な力に魅入られていっていた。サムは指輪を見つめているフロドの姿が心配だった。彼を守ろうという決意は変わらなかったが、人が変わったようなフロドの態度に心を痛めていた。
エドラスの王宮には、生気のないセオデン王の姿があった。ガンダルフは魔力を使ってセオデンに取りついたサルマンの魂を追い払った。セオデンはかつての偉大で高貴な王の姿を取り戻した。そして、セオデンは民と共にヘルム峡谷の石の要塞に退避した。
ガンダルフはアラゴルンに後を任せ、「5日目の夜明けに戻る」と言い残して、北へ向かっているエオメルを探しに行った。
サルマンの軍隊が目前までやって来た。ウルク=ハイの数はおびただしい。エルロンドから遣わされたハルディアが率いるエルフの軍隊が到着する。ローハンの人々は再び希望を持ち、城の守りについた。
ローハン軍とサルマン軍の戦いの火蓋が切られた。
その頃、木の鬚に守られていたメリーとピピンも、木の鬚に助けてくれるよう懇願するが、戦いを好まないエントたちは何の行動も起こさないと決めてしまう。ピピンは、彼を森の南側へと導き、サルマンの手によって無惨なすがたを見せつけられた木の鬚の怒りは爆発した。
ゴンドールでは、フロドもまた危機を迎えていた。指輪の魔力の誘惑に屈して指輪をはめようとする…。
映画情報(題名・監督・俳優など)

ロード・オブ・ザ・リング2/二つの塔
(2002年)
監督:ピーター・ジャクソン
製作:ピーター・ジャクソン、バリー・M・オズボーン、フラン・ウォルシュ
共同製作:リック・ポーラス、 ジェイミー・セルカーク
製作総指揮:マーク・オーデスキー、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、マイケル・リン、ロバート・シェイ
原作:J・R・R・トールキン
音楽:ハワード・ショア
出演:
フロド・バギンズ/イライジャ・ウッド
サム/ショーン・アスティン
ピピン/ビリー・ボイド
メリー/ドミニク・モナハン
ガンダルフ/イアン・マッケラン
アラゴルン/ヴィゴ・モーテンセン
ギムリ/ジョン・リス=デイヴィス
レゴラス/オーランド・ブルームアルウェン/リヴ・タイラー
ガラドリエル/ケイト・ブランシェット
サルマン/クリストファー・リー
エルロンド/ヒューゴ・ウィーヴィング
ボロミア/ショーン・ビーン
ゴラム/アンディ・サーキス
ケレボルン/マートン・ソーカス
セオデン/バーナード・ヒル