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(映画)隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS(2008年)の感想とあらすじは?

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感想/コメント

Star Wars」から影響を受けた「隠し砦の三悪人」に淡い恋物語をブレンドしたといった感じでしょうか?

ダースベーダーもどきの鷹山刑部の登場には白けました。後半に登場する山名の砦はさしずめデススターでしょう。

本作品はオリジナルの「隠し砦の三悪人」が影響を与えた「Star Wars」から影響を受けている作品のような印象を受けます。

「隠し砦の三悪人」→「Star Wars」→「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」といった図式になりそうです。

オリジナル脚本と言っていますが、大ざっぱな所での脚本というのはオリジナル通り。

大きく変わったというのは、主人公が真壁六郎太から、武蔵(たけぞう)と雪姫に移っている点でしょう。もっともオリジナルも百姓コンビが際だっていたので、必ずしも真壁六郎太が主人公とはいいきれなかった部分もあったのですが…。

本作品は1958年の黒澤明監督「隠し砦の三悪人」のリメイク。

オリジナルの「隠し砦の三悪人」が「Star Wars」に大きな影響を与えたことは知られています。

オリジナルに登場する百姓コンビは、後に「スターウォーズ」のC-3POとR2-D2のモデルとなったといわれ、雪姫もレイア姫のモデルといわれています。

なるほど両者を見比べると、その影響が強く出ていることが分かります。

本作品がリメイク作品を宣言している以上、オリジナル作品との比較がされるのは当然のことです。

比較されたくなければ、少なくとも題名は完全に別物にする必要がありますし、それよりも、本質的には完全に別作品としての脚本化を考えなければなりません。

それにしても、リメイク作品でオリジナル作品を超えるものがないというのは、毎度のことです。

本作品もその例にご多分に漏れず、オリジナル作品を超えることができないばかりか、手も届いていません。

オリジナル作品で登場する百姓コンビが今回は金掘り師と木こりのコンビに変わっています。

オリジナルでは百姓の持つ弱々しさと哀れさ、一方でのふてぶてしさと狡賢さがアクセントとなり、可笑しみをかもし出していました。

脱出旅のなかで、百姓コンビは隙あらば金の棒をもって逃げようとします。ですが、自らの生命に少しでも危険が近づくと、大げさに戸惑い騒ぎ立て、真壁六郎太に詫びを入れます。

二人は危険なことをほんの少しでも嫌がりました。おのれの生に対する執着がきわめて強い存在だったのです。

そして、絶対に逃げないと誓うのだが、性懲りもなく、隙あらば金の棒をもって逃げようと繰り返すのです。

そうした百姓の持つ狡さと弱さとたくましさを浮き彫りにしたことがオリジナルの面白さになっていました。

それが今回は全くありません。

緊迫感というのも薄いです。

緊迫感が薄いのは、金掘りと木こりのコンビになった二人が、オリジナルの百姓コンビに比べて生への執着を見せる場面がないからです。

隙あらば金の棒をもって逃げようとする場面も少なく感じます。実際には結構逃げようとしていますが、隙を見てといった印象を受けません。

こうしたオリジナルとの差違が緊迫感の薄さを印象づけているのかもしれないです。

設定を間違ったとしかいいようがありません。

オリジナルでは最後の最後に吐かれる「裏切り御免」という台詞。

雪姫と真壁六郎太が山名に捕らえられ、絶体絶命の立場に立たされ、この二人の運命はどうなるのか?と思っている矢先に聞かれる台詞です。絶妙のタイミングで吐かれる台詞のため、いわゆる名台詞として印象深く残ります。

本作でもこの台詞が二度聞かれます。一度目は雪姫が女であることを隠していたことがばれた時に雪姫が言います。二度目は再度の場面で武蔵が雪姫に言います。

ですが、いずれの場合も、「ははぁ、オリジナルの台詞をつかったな」といった微苦笑を誘うだけの効果しかありません。

せっかくの名台詞が台無し。脚本家のせいなのか?監督のせいなのか?

脚本といえば、台詞まわしについても違和感がありました。なんちゃって時代劇風な台詞まわしの中に、現代っぽい台詞がポンポン入り、結構気持ち悪いです。

きっと、この気持ち悪さは時代劇としてみようとしたからで、時代劇ではないと考えればそれほどの気持ち悪さもないのかもしれません。

そうだ、主人公の武蔵の風貌が「猿の惑星」を彷彿させるので、「猿の惑星」に時代劇のテイストを取り入れた斬新な映画として捉えればいいのかもしれません。

そうだ。そういう風に納得しましょう。

音楽は印象に残りません。それよりもいつも思うのですが、なぜ多くの邦画ではエンディングに、映画のイメージを無視した「歌」をもってくるのでしょう?タイアップという手法自体が廃れているのに…。

今回もそうです。最近の時代劇ではエンディングに「歌」を持ってこないこともあったので、よけい耳につきました。

さて、だいたいの流れはオリジナル作品と同じです。

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映画情報(題名・監督・俳優など)

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
(2008年)

監督: 樋口真嗣
製作: 富山省吾
プロデューサー: 山内章弘、甘木モリオ
エグゼクティブプロデューサー: 市川南、奥田誠治
脚色: 中島かずき
オリジナル脚本: 黒澤明、菊島隆三、小国英雄、橋本忍
音楽: 佐藤直紀
音楽プロデューサー: 北原京子
主題歌: The THREE 「裏切り御免」
VFXプロデューサー: 大屋哲男

出演:
武蔵(たけぞう)/松本潤 武蔵
雪姫/長澤まさみ
真壁六郎太/阿部寛
新八/宮川大輔
鷹山刑部/椎名桔平
刑部付きの侍/KREVA
佐川出兵衛/甲本雅裕
本庄久之進/高嶋政宏
軍資金堀の侍/ピエール瀧
宿場襲撃隊・隊長/上川隆也
長倉和泉/國村隼
みつ/黒瀬真奈美
バクチ打ち/生瀬勝久
人買い/古田新太

オリジナルの隠し砦の三悪人が影響を与えた作品として有名なのが「スター・ウォーズ」シリーズ。

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