(映画)バケモノの子(2015年)の感想とあらすじは?

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細田守監督の4作目。『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』に続く作品です。

細田守監督の作品は現実の場所を丁寧に作品に描いています。この作品では渋谷。場所もかなり特定できるように描かれています。

映画でも小説でもそうですが、現実の場所のその時そののままを描く作家や監督と、現実の場所をイメージ化する作家や監督がいます。思想の違いなのだと思います。

現実をその時そのままに描ききるのは、逆説的だがファンタジーなのだと思います。リアリティがあるだけに、現実からのかい離がはっきりするのではないでしょうか。

そして、このかい離がよりファンタジー性を持つようになるのは、時間がたってからだと思います。

ノスタルジーを感じるくらい時間がたってから、細田守監督の作品を見たら、どう感じるのでしょう。本作で描かれている渋谷の風景は、こんなだったっけ?と思うのでしょうか、それとも、全然違うよ、と思うのでしょうか。

描かれている渋谷の姿そのものにノスタルジーという色合いが加わって、ファンタジー性をさらに有することになるのではないかと思います。

さて、蓮と楓が会っている場所は図書館だったり、代々木公園だったりしますが、その一つに「渋谷氷川神社」があります。

ハチ公側ではなく、明治通りを恵比寿側に歩いて行ったところにある神社です。

渋谷とは思えないほど喧騒から離れています。

渋谷氷川神社の参詣記-歴史と見どころ紹介(東京都渋谷区)渋谷村・下豊沢村の鎮守で江戸七氷川の筆頭
渋谷と恵比寿の間にある。すぐそばに国学院大学。創始は非常に古く、慶長十年に記された「氷川大明神豊泉寺縁起」によると景行天皇の御代の皇子日本武尊東征の時、当地に素盞鳴尊を勧請したとある。

近くには渋谷城の本丸跡である金王八幡宮があり、ここも喧噪離れた雰囲気で渋谷とは思えません。

渋谷城の訪城記・金王八幡宮境内の参詣記-歴史と見どころ紹介(東京都渋谷区)
平安時代に河崎基家の息子・渋谷金王丸がこの城の城主になり、室町時代の大永4年(1524年)に北条氏綱による関東攻略の際に、北条氏によって焼失。渋谷氏は滅んだ。

さて、終盤に登場する九十九神(つくもがみ)、もしくは、付喪神(つくもがみ)とは古い道具などに魂が宿ったものを指します。

細田守監督による長編アニメーション映画

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あらすじ/ストーリー

宗師の跡目

渋天街を長年束ねてきた宗師が神に転生するという。渋天街では宗師の後継者選びが話題となっていた。

ここに二人の候補者がいる。

一人は武術だけでなく、品格・人望を兼ね備えた猪王山(いおうぜん)。弟子も多く、一郎彦と二郎丸の息子が二人いる。

もう一人は腕っぷしだけは強い熊徹(くまてつ)。だが、弟子は居つかない。

誰が見ても、宗師にふさわしいのは猪王山だったが、宗師は熊徹に弟子をつくれと命じた…。

蓮と熊徹の出会い

蓮は9歳。

両親は離婚していた。一緒に暮らしていた母が交通事故で急死してしまい、天涯孤独となった。

蓮は本家の人間が引き取ることになったが、母が亡くなった後も姿を現さない父を恨んでいた。

蓮はひとりで生きて見せると言い残して、渋谷の街を彷徨っていた。彼は心に闇を抱えていた。

高架下で自転車の間にうずくまっていた蓮の側を二人の男が通った。一人の男は、弟子を取れとか、何とか言っている。もう一人はそれを聞いて面倒臭そうにしている。

その男が蓮に気付いた。

そして、蓮の目を見た。蓮は熊のような容姿をしたバケモノに恐怖を抱いた。

バケモノは俺の弟子にならないかと蓮を誘った。そして、そのまま立ち去って行った。

蓮はあわてて追いかけていった。

そして、バケモノの世界「渋天街」へ迷い込んでしまった。

元の渋谷に戻ろうとするが、道は閉ざされていた。

九太、熊徹の弟子となる

熊徹のところに転がり込んだ蓮。

名を聞かれても答えない蓮に、熊徹は九太と名付けた。蓮が九歳だからだ。

渋天街では、人間を住まわせると、いつしか心に「闇」を宿し、大変なことになるという言い伝えがある。

周囲は反対したが、宗師が認めた。

九太と熊徹はいつもいがみ合っている。

熊徹が猪王山と勝負した。だが、この勝負で熊徹は負けた。

九太は熊徹の弟子となった。

熊徹は一人で武術を修めていったため、荒削りなところがある。

九太を弟子とし、教えることで、自らも教わり、次第に洗練されていった。

8年後

17歳となった九太。

九太はある日、偶然に渋天街から人間界の渋谷に戻ることができた。そして、図書館で本を読んでいるところで、楓と出会った。

楓は進学校に通う女子高生だ。

九太は小学校の途中までしか教育を受けていないので、本をまともに読めない。

九太は昼間に人間界に戻って楓から学校の勉強を教わるようになる。

楓は九太の集中力がすごいことに驚き、大学を目指してはどうかと勧めた。高卒程度認定試験を受ければいい。

父との再会

九太も大学進学を考えるようになった。

楓といっしょに区役所で住民票を調べる内に、実の父親の住所を知った。

そして、父親との再会を果たす。

ある日、熊徹は九太の寝床から教科書を発見した。

熊徹は他にやるべきことがあるだろうと九太に言った。だが、九太は熊徹に反抗して渋天街を出て人間の世界に戻った。

だが、人間の世界で、父から辛い過去は忘れて一緒に暮らそうと言われて、何も知らないくせにと反抗してしまう。

九太の心は乱れ、幼い頃の恨みを抱いていた己の闇の姿を見てしまう…。

宗師後継者の試合

久しぶりに渋天街に戻ると、熊徹と猪王山の試合が始まろうとしていた。

熊徹は猪王山に負けそうだった。

九太が一喝した。それを聞いた熊徹が奮起した。

そして、勝った。

熊徹が宗師になることが決定した瞬間、刀が熊徹の体を貫いた。

一郎彦が長刀を念力で投げ放ったのだ。

激しい怒りに駆られた九太の心の闇が増し、念力によって長刀を一郎彦に投げ飛ばした。

一郎彦に突き刺さる直前に理性を取り戻し、刀は地面に落ちた。

一郎彦が失踪した。

一郎彦も九太と同じく人間だったのだ。

猪王山に育てられたが、いつしか自身が猪王山の実の子でないことに気づき、徐々に心の中に闇を囲うようになっていったのだった。

九太と一郎彦

九太は渋谷に戻って一郎彦を探した。

センター街で一郎彦が九太を襲ってきた。九太は一緒にいた楓を危険だからということで、逃げろと言ったが、楓は一緒にいるという。

落とした本を一郎彦が拾った。「鯨」。

大きな影が、鯨の影が渋谷に現れた。

巨大なクジラの影が九太を追う。車が押しつぶされ、爆発が起きた。渋谷が大混乱に陥った。この騒ぎは渋天街にも影響した。

九太は考えていた。

こうなったら一郎彦の闇を自分に取り込み、刀で自分の胸を刺し貫くしかない…。

意識を取り戻した熊徹が宗師の前に現れた。

そして神への転生の特権を譲り渡すよう迫った。

最後の戦い

代々木体育館前。

九太の前に巨大な鯨となった一郎彦が現れた。

九太が一郎彦を自分の闇に取り込もうとした、まさにその時、燃える刀が九太の前に突き刺さった。

それは九十九神になった熊徹の姿だった。刀は九太の胸に吸い込まれ、熊徹と九太は一緒になった。

そして、鯨を倒した。

一郎彦が猪王山邸で目を覚ました。闘技場での記憶から失われている。

宗師は後継の熊徹がいなくなってしまったので、宗師を続投することになった。

そして、九太は人間界に戻って生活することを決めた。胸には熊徹がいる…。

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映画情報(題名・監督・俳優など)

バケモノの子
(2015年)

監督:細田守
原作:細田守
脚本:細田守
音楽:高木正勝
主題歌:Mr.Children『Starting Over』

声の出演:
熊徹/役所広司
九太(少年期)/宮崎あおい
九太(青年期)/染谷将太
百秋坊/リリー・フランキー
多々良/大泉洋
楓/広瀬すず
猪王山/山路和弘
一郎彦(少年期)/黒木華
一郎彦(青年期)/宮野真守
二郎丸(少年期)/大野百花
二郎丸(青年期)/山口勝平
九太の父/長塚圭史
九太の母/麻生久美子
チコ/諸星すみれ
宗師/津川雅彦

映画賞など

第39回日本アカデミー賞

  1. 最優秀アニメーション作品賞

第33回ゴールデングロス賞

  1. 日本映画部門・優秀銀賞

第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門・審査委員会推薦作品

第25回日本映画批評家大賞・アニメ部門

  1. 作品賞

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