映画「スター・ウォーズ8 最後のジェダイ」(2017年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

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感想/コメント

陰と陽の物語

最後のトリロジーの第2作目。この最後のトリロジーは前作「フォースの覚醒」を見ても、はっきりとしない点がありました。

スター・ウォーズは、スカイウォーカー一族の物語であり、かつ、フォースの盛衰の物語ですが、「フォースの覚醒」ではスカイウォーカー一族が主人公として出てきませんでした。一時期、レイがスカイウォーカー一族という憶測が流れ、本作の時点でもその憶測は残ったままですが、どうやら違うようです。

最後のトリロジーの主役はレイとカイロ・レン(=ベン・ソロ)の2人です。二人の関係は陰と陽。

こうして、相反する組み合わせが同等のものになった。

虚空―世界、永遠―時間、涅槃―輪廻、真理ー幻想、悟りー慈悲、神ー女神、敵ー味方、死ー誕生、稲妻ー鈴、宝石ー蓮華、主体ー客体、ヤブーユム、陽ー陰

これらはすべて

道(タオ)、至高のブッダ、菩薩、生前解脱、肉と化した言葉

である。

ジョセフ・キャンベル「千の顔をもつ英雄」第一部 英雄の旅 第二章 イニシエーション 5 神格化

本作で明らかになるのは、この二人がフォースのライトサイドでもダークサイドでもない、不安定な状態にあるということです。

一見、レイがライトサイドで、カイロ・レン(=ベン・ソロ)がダークサイドのように見えますが、劇中で語られるように、レイはダークサイドを拒みませんでしたし、カイロ・レン(=ベン・ソロ)の中にライトサイドが残っている事も分かっています。

本作では、これまでのシリーズと異なり、フォースが極めて不安定な状態にあるということです。ライトサイドとダークサイドのいずれにも傾いていません。

スカイウォーカー一族のカイロ・レン

スカイウォーカー一族という点でいえば、カイロ・レン(=ベン・ソロ)がスカイウォーカーの血を引いています。

「フォースの覚醒」の時点ではダークサイドに堕ちたと見えるカイロ・レン(=ベン・ソロ)が本作ではライトサイドでもダークサイドでもない、不安定な状態にあります。

次作ではライトサイドに戻るのでしょうか…、はたまた別の状態になるのでしょうか…。

ジョセフ・キャンベルの「千の顔をもつ英雄」の流れでいえば、エピソード7が「出立」、このエピソード8が「イニシエーション」、次作エピソード9が「帰還」となります。

英雄譚の典型はエピソード4~6の2番目のトリロジーで使われており、エピソード1~3までの最初のトリロジーでは別の英雄の姿が描かれました。

最後のエピソード7~9までのトリロジーはこれまでのトリロジーとは異なる英雄譚を描こうとしています。

スター・ウォーズに付きまとう、「千の顔をもつ英雄」の呪縛から解き放たれようともがいているのか…。

ですが、全9作のスター・ウォーズの構成の中で、最期のトリロジーを「千の顔をもつ英雄」の類型から外してしまうと、全体の構成が崩壊する危険性があります。

最後のトリロジーのヒロインのレイ

このトリロジーのもう1人の主人公となったレイですが、なぜフォースが使えるのかという問題が残っています。

ミディ=クロリアン値が高くないとフォースが使えません。つまり、ミディ=クロリアンは生まれ持ったものなので、フォースが使えるかどうかは、先天的なものであり、訓練等では高めることが出来ないとされてきました。

となると、レイはなぜフォースが使えるのかというのが謎になります。アナキン・スカイウォーカーと同じなのでしょうか…。

いや、それとも完全なる円環を描いて、新たなる英雄譚が始まろうとしているのでしょうか…

可能性の一つとして、レイがアナキンの生まれ変わりということが考えられます。フォースと一体になったアナキンがレイという体を借りてフォースにバランスをもたらすというストーリーです。

ですが、これだと個人の生まれ変わり、つまりは輪廻転生の考え方となるので、キリスト教世界で受け入れられるかが疑問です。宗教上の衝撃をもたらしてしまいます。

スター・ウォーズが、その初めからイエス・キリストを念頭に、フォースのバランスをもたらす者の物語として語られてきたように、メシア思想が色濃く出ている映画です。

そこに、違う宗教観を持ち込んでしまうとハレーションを引き起こしてしまいます。ですから、基本的には、レイがアナキンの生まれ変わりというストーリーは無いだろうと思っています。

やはり、ダークサイドもライトサイドも飲み込んで、フォースと一体となり、フォースが世界から消えてバランスを保ちことになるような気がするのです。

フォースという呪術的でマジカルな神話的なものが消え、人間的な世界へと移り終わるのではないでしょうか。

そうすることで、まさにジョセフ・キャンベルが「千の顔をもつ英雄」で語ったとおりになります。

このフォースとの一体化が、誰によって行われるかですが、カイロ・レンとレイの2人が同じようにその荷を担う気がします。

そうなれば、相反する組み合わせが同等のものになり、完全なる円環となって新たな英雄譚への布石になります。

神話の時代から人間の時代へ、バトンが渡されるという、その象徴として新たな生命の誕生で物語が終われば、「遠い昔、遥か彼方の銀河系での物語」が希望を残して終わることになります。

最後のトリロジーはラブロマンスの気配が全くないので、このストーリーは考えにくいですが、スカイウォーカーの血を引いた男女の双子が生まれて終わるのもいいかもしれません。新たなスカイウォーカーの物語に繋がるからです。

神話の物語

このスター・ウォーズ・シリーズは「遠い昔」とされるように、神話時代の話です。そして、この9部作は神話時代の終わりの時期を舞台にしています。

前作でジェダイやフォースが伝説とされたように、神話時代の終焉を描いています。神の時代から人の時代へ移り行く時代が舞台です。

やはりジョセフ・キャンベルの「千の顔をもつ英雄」の類型の中で最後のトリロジーも解釈した方がよいのかもしれません。

そうすれば、エピソード9の結末も理解できるのではないかという気がするのです。そうして、スカイウォーカー一族の英雄譚は完結し、フォースの神話も終わるのかもしれません。

「千の顔をもつ英雄」は、第一部「英雄の旅」で語られている「1.セパレーション(出立)→2.イニシエーション→3・リターン(帰還)」のループが有名ですが、第二部「宇宙創成の円環」に書かれている内容もスター・ウォーズを理解する上では重要です。

第二章の「処女出産」、そして第三章の「英雄の変貌」も映画に大きな影響を与えています。

突っ込みどころが満載

大きな突っ込みどころが用意されている映画でもあります。

酸素のない宇宙を遊泳するレイア・オーガナ。フォースに目覚めたということなのかもしれませんが、もはや宗教的奇跡を見ているとしか思えませんでした。

「千の顔をもつ英雄」でいうところの「神格化」がなされた場面なのでしょうか…。

そして、メガ・スター・デストロイヤーに向け、ハイパースペース・ジャンプを行うシーン。これでメガ・スター・デストロイヤーが陥落するわけですが…。

えぇ、これって今までの宇宙戦を根本的に否定しているのでは!?としか思えませんでした。だって、あらゆる巨艦、それこそデス・スターですら、これで破壊できたのではないでしょうか?

映画シリーズ(時系列)

スター・ウォーズ(=スカイウォーカー・サーガ)のおすすめの見る順番は次の通りです。つまり、順番通りです。

千の顔をもつ英雄」で分析されたように、サーガは3段階を経ます。ミクロの視点での初代アナキン・スカイウォーカーの3段階、2代目ルークとレイアの3段階、3代目レイとカイロ・レンの3段階、そして、マクロの視点ではスカイウォーカー一族としての3段階です。

この流れで見ないと、スター・ウォーズの本来のストーリーを追うことができないのではないでしょうか。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

惑星ディカー

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。

惑星ディカーにあるレジスタンスの基地がファースト・オーダーのハックス将軍が率いるスター・デストロイヤーの大艦隊によって破壊されようとしていた。

レジスタンスのパイロット、ポー・ダメロンがXウイングでスター・デストロイヤーの大艦隊を相手に戦った。レジスタンスの艦隊が基地から撤退するための時間を稼ぐためだ。

ポーは相棒のBB-8と共にキャノンを次々と破壊したが、残る1つのところで、攻撃によって機体が損傷する。

レイアは避難が終了したためポーに帰還命令を出すが、ポーは命令を無視して攻撃を続行する。

ファースト・オーダーの新兵器ファースト・オーダー・ドレッドノートの破壊まであともう少しだ。

レジスタンスの爆撃機スターフォートレスがドレッドノートへ接近するが、TIEファイター部隊に次々に撃墜され、1機だけになってしまう。

最後の一機の爆撃機に乗っていた狙撃手ペイジ・ティコが必死の思いで爆撃のスイッチを押すと、爆撃機もろとも炎に包まれ、ドレッドノートも爆発した。

レジスタンスのクルーザーと戦闘で生き残った護衛の戦闘機部隊は、ハイパースペースへ逃げる。

だが、スター・デストロイヤー艦隊を率いるハックスは、新技術ハイパースペース・トラッキング・ナビゲーション・システムにより、レジスタンスの逃亡先を把握していた。

カイロ・レンとスターキラー基地で戦いを繰り広げ、重傷を負っていたフィンが目覚めた。

作戦は成功したものの余りにも多くの犠牲を払った。レイアに面会したポーは、中佐からキャプテンに降格させられてしまう。

水の惑星オク=トー

R2-D2とミレニアム・ファルコン号で水の惑星オク=トーに向かったレイはルーク・スカイウォーカーに会っていた。

ライトセーバーをルークに差し出すが、ルークは無造作に放り投げて、自分の家へ帰っていった。戸惑うレイだったが、諦めずにルークの後に付いていく。

レイは、レイアから頼まれてやって来たこと、ファースト・オーダーを倒すために力を貸して欲しいことを伝えるが興味がない。そして、ルークはレイにこの星から去るよう告げる。

古い友人のチューバッカが扉を壊してルークの家の中に入ってきた。ルークはハン・ソロがいないことに違和感を覚えた。ハン・ソロがレンに殺されたことを聞かされる。

R2-D2は昔、レイアがオビ=ワン・ケノービに託したホログラムを見せる。それを見たルークは翌日の夜明けからレイの修行を開始する

ルークはレイの中に眠る強いフォースの使い方を訓練した。

レイは修行の最中、フォースのダークサイドに魅入られそうになった。

ルークはレイがダークサイドを跳ね除けようとしなかったことに恐怖した。

そして、カイロ・レンと似ている部分があることを危惧するようになる。

秘密の作戦

カイロ・レンはスノークに、心に迷いがあることを指摘され、未熟なレイに敗北したことを責められる。カイロ・レンは怒りを爆発させ、TIEサイレンサーでレジスタンス軍を追い詰める。

レジスタンス軍のクルーザー、ラダスは損傷し、アクバー提督ら上層部が全滅した。レイアも船外に投げ出されてしまうが、フォースにより船へ舞い戻ってくる。

昏睡状態となったレイアの代理人として、アミリン・ホルド提督がレジスタンスの指揮官となった。

ポー、フィン、ローズ・ティコの3人は、メガ・スター・デストロイヤーの新しい追跡装置を6分間だけ作戦を秘密裏に進めた。

フィンによると、メガ・スター・デストロイヤーの全面を覆っている防衛シールドの通過コードは、1時間ごとに更新される。

コードを破らなければならない。惑星タコダナの酒場の主人マズ・カナタに相談した。

惑星カントニカのカント・バイトにあるカジノに、コードブレイカーがいるという情報を得る。

コードブレイカー

フィン、ローズとBB-8は小型のシャトルに乗りカント・バイトに向かった。

コードブレイカーを見つけるが、彼に接触する直前に警察隊に逮捕されてしまう。

牢屋内でどうするか議論していたところ、同じ牢屋の中にいた男DJが自分もコードブレイカーだと言って、牢屋のロックを簡単に解除してしまう。

脱獄した2人は厩舎で働かされてる奴隷の少年・少女たちと出会う。

一人の少年テミリ・ブラッグが警報装置を押そうとした時、ローズは彼に自分たちがレジスタンスであることを教えた。

ルークとカイロ・レンとレイ

ルークの下で修行しているレイは、フォースによって遠く離れたレンと交信することが出来るようになっていた。

レイはレンとの交信の中で、過去の出来事を知る。

ルークがカイロ・レンを殺そうとしたこと、そして、レイの両親は既に亡くなっているということを。

レイはレンと交信しるところをルークに見られてしまう。

レイはルークにカイロ・レンは完全にダークサイドに堕ちていないと言った。

そして、自分ならカイロ・レンをダークサイドから連れ戻せると告げ、修行を切り上げてしまう。

フィンとローズ、そして、スノークとレイとカイロ・レン

フィン、ローズとDJはメガ・スター・デストロイヤーの内部に侵入することに成功した。

追跡装置を止める直前で、キャプテン・ファズマが率いるストームトルーパー部隊と将校たちに捕まる。

DJがフィン達を裏切ったのだ。

メガ・スター・デストロイヤーの艦内では、レンの説得に出向いたレイが捕らえられてしまう。

スノークのいる玉座の間に連れ出されたレイは、スノークと対峙する。

スノークはカイロ・レンにレイを処刑するよう命じるが、スノークの椅子の脇に置かれたレイのライトセーバーをフォースを使って操り、スノークを斬ってしまう。

スノークの護衛エリート・プレトリアン・ガードはレイとレンに襲い掛かってくるが、レイとレンの二人は何とか撃退する。

戦いが終わった後、レンはレイに手を組んで銀河支配を申し出るが、レイは撥ね退けた。

陽動作戦

レイが星を立ち去り、一人残ったルークはジェダイの書物がある建物を焼きはらおうとしたが、躊躇した。この書物はジェダイそのものだからだ。

そこにヨーダが現れた。ヨーダはフォースで落雷を起こし、書物を焼き捨てた。

スター・デストロイヤーの攻撃によりレジスタンスの脱出用クルーザーが全滅間近だった。

陽動作戦のため母船ラダスに一人で残ったホルド提督は、ラダスの軸先をメガ・スター・デストロイヤーに向け、ハイパースペース・ジャンプを行った。

この捨て身の攻撃でスター・デストロイヤーは壊滅的な打撃を受ける。

火の海となったメガ・スター・デストロイヤーの格納庫では、フィンガキャプテン・ファズマと死闘を繰り広げていた。

フィンとローズ、BB-8はからくもメガ・スター・デストロイヤーから脱出する。

スノークの遺体を見つけたハックスはレンに詰め寄るが、レンのフォースで首を締め上げられる。

スノークに代わりカイロ・レンがたな最高指導者になった。

石の惑星クレイト

レジスタンスは放棄された基地がある石の惑星クレイトに向かった。

坑道に立てこもり援軍を待つレジスタンスたちだったが、カイロ・レン率いる部隊が迫ってきた。

キャノンによって基地の扉は壊され、レジスタンスはこれでお終いかと思っているときにルークが姿を現した。

ルークは一人でレンの元へと歩いていき、ルークの姿を確認したカイロ・レンは全ての火力をルークに向けさせた。だが、ルークが平然としている。

カイロ・レンは直接対峙するために、地上へ降りた。ルークとの戦いが始まった。その間にレジスタンスは坑道の奥から逃げた。

ルークは、オクトーからフォースで己の幻像を送っていたのだった。だが、あまりにもフォースを使いすぎたルークは、そのままフォースと一体となった。

映画情報(題名・監督・俳優など)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ
(2017年)

監督:ライアン・ジョンソン
製作:キャスリーン・ケネディ、ラム・バーグマン
製作総指揮:J・J・エイブラムス、トム・カーノウスキー、ジェイソン・マクガトリン
キャラクター創造:ジョージ・ルーカス
脚本:ライアン・ジョンソン
撮影:スティーヴ・イェドリン
プロダクションデザイン:リック・ハインリクス
衣装デザイン:マイケル・カプラン
編集:ボブ・ダクセイ
音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:
マーク・ハミル / ルーク・スカイウォーカー
キャリー・フィッシャー / レイア・オーガナ
アダム・ドライヴァー / カイロ・レン
デイジー・リドリー / レイ
ジョン・ボイエガ / フィン
オスカー・アイザック / ポー・ダメロン
アンディ・サーキス / 最高指導者スノーク
ルピタ・ニョンゴ / マズ・カナタ
ドーナル・グリーソン / ハックス将軍
アンソニー・ダニエルズ / C-3PO
グウェンドリン・クリスティー / キャプテン・ファズマ
ケリー・マリー・トラン / ローズ
ローラ・ダーン / アミリン・ホルドー中将
ヨーナス・スオタモ / チューバッカ
ジミー・ヴィー / R2-D2
ベニチオ・デル・トロ / DJ
ティム・ローズ / アクバー提督
ヴェロニカ・ンゴー / ペイジ

声の出演:
フランク・オズ / ヨーダ

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