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(映画)柳生一族の陰謀(1978年)の感想とあらすじは?

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感想/コメント

オールスターキャスト

東映が威信をかけて制作し、大ヒットとなった映画です。

文字通り銀幕スターがいた時代の映画で、豪華な顔ぶれとなっています。

ですが、こうした映画は何度も作れるものでもありませんし、何度も作るものでもありません。そして、何度も見るものでもないように思います。

スターの価値が相対的に下がってしまい、やがては絶対的に下がっていってしまいます。スターがスターでなくなっていくのは、ファンとしては切ないでしょう。

それに、オールスターキャストは善し悪しだと感じました。

それぞれに演技に対してのこだわりがあるためでしょうが、個性が強く出すぎて、全体の調和・統制が取れていません。

演技が良い/悪い云々ではなく、そもそも演技手法が違いすぎる役者同士の共演は、見ていて違和感しか感じませんでした。

萬屋錦之介千葉真一はそれぞれに強烈な演技で見るものを惹きつけますが、あまりにも演技の方向性が異なります。

そもそも映画は役者で勝負するものではないので、役者だけ豪華にすればいいというものでもありません。脚本と演出と音楽がそろってなんぼです。

時代劇

この映画が転換点になったわけではありませんが、時代劇はこの後どんどん廃れていきます。

時代の雰囲気の変化によるものであるでしょうが、結果的にこの映画は、燈滅せんとして光を増すものになってしまいました。

高度経済成長期において、急激に生活様式も価値観も変化していく中、古い価値観の時代劇映画は時代にそぐわなくなっていったということでしょうか。

本作以降、大型時代劇映画が作られることはなくなります。そして、時代劇映画そのものが廃れていくのです。

2000年を過ぎた近年になり、平成の時代小説ブームと相まって、時代劇映画も少しずつ作られるようになってきました。

これも時代の流れが変わってきたためでしょう。歴史は繰り返すということです。

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あらすじ/ストーリー

徳川秀忠急死

江戸時代。元和九年。

二代将軍秀忠が江戸城大奥で突然死去した。
食あたりによる中毒死とされた。その責めを負って食を担当する家臣が自害し、事は終わったかのように見えた…。

葬儀が執り行われるなか、すぐさま跡継ぎ争いが始まった。三代目がきちんと決まらないまま秀忠が亡くなったからだ。

長男の徳川家光か、次の徳川忠長か。

徳川家光は不幸な容貌と、吃音があり、父・秀忠、母・崇源院於江与から疎まれていた。
一方で、駿河大納言忠長は幼少より資質英明で期待されてきた。

徳川家光を推すのが老中の松平伊豆守信綱と徳川家光の乳母で大奥に威勢を張る春日局。
対して、徳川忠長を推すのが崇源院於江与、土井大炊頭ら老臣、尾張・紀伊・水戸の御三家であった。

大坂夏の陣以来十余年。
天下は再び動乱の兆を見せ始めていた。

霊廟

深夜。嵐。秀忠の眠る霊廟。

忍び込んで秀忠の遺体から胃袋を取り出す者たちがいた。
土井大炊頭が秀忠の死を不審に思い、手配した渡辺半蔵らであった。

忍者たちは、目当ての胃袋を抱え、立ち去ろうとしていた。
その目の前に三人の侍が現れた。
三人の侍は但馬守柳生宗矩の子たちである。柳生左門友矩、柳生又十郎宗冬、柳生茜である。

三人は忍者たちからモノを奪い取ると、屋敷に戻り、父・柳生宗矩に出した。
柳生宗矩は胃袋を解剖し、秀忠の死因が毒であったことを突き止めた。毒殺だったのだ。

すぐに全国を武者修行で旅する長男・柳生十兵衛三厳を呼び戻すよう柳生茜に命じた。
そして続けざまに根来衆にも加勢を依頼する密書を送った。

一蓮托生

江戸城内の道場。

柳生宗矩は松平伊豆守と春日局を問い詰めた。
二人は秀忠が徳川家光を廃嫡とし、徳川忠長を将軍に据えようとしたので、徳川家光を守るため毒殺したと漏らした。
剣法指南役として徳川家光の剣の師でもある柳生宗矩は、この陰謀に加わった。

三人は徳川家光に秀忠の死の真相を打ち明けた。
徳川家光は激怒し、将軍位には就けないと拒んだが、柳生宗矩の説得により将軍になる覚悟を決めた。
四人は一蓮托生となった。

徳川忠長と徳川家光

徳川忠長は徳川家光と会談した。

徳川忠長は土井大炊頭の具申により、秀忠の遺体を検めるべきだと主張したが、徳川家光はとるに足らない噂としてこれを退けた。
徳川忠長は徳川家光の頑な態度から、秀忠は殺されたものだと確信した。
両者の対立は決定的となった。
徳川忠長は於江与と共に自国の駿府藩へ戻った。

根来の里

根来衆は本来の里を追われ、里山で暮らしていた。
二人の若者が成人を迎えた。祝い事の席だった。そこへ柳生十兵衛がやってきた。

柳生十兵衛は親友の根来左源太と根来衆三十余名人を引き連れ、江戸へ戻った。
途中、柳生宗矩が一行を出迎えた。そして、柳生宗矩は根来衆に、事成就の暁には根来の里復帰ができることを確約した。
根来衆と十余年を共に過ごした柳生十兵衛にとっても、我が事のように嬉しい話であった。

策謀

土井大炊頭は病気保養という名目で老中職を退いた。
実際は、徳川忠長のために自由の身となって動きやすくするためであった。

そして、土井大炊頭は小笠原玄信斎を雇った。小笠原玄信斎は新陰流の達人である。
柳生宗矩に対峙するに必要な人材だった。

柳生宗矩は柳生茜と根来衆を徳川忠長のいる駿府城下に忍ばせて、状況を探らせていた。

松平伊豆守は柳生十兵衛と左門を護衛につけて京へ上った。
将軍宣下を朝廷へ促すが、九条関白道房・三条大納言実条・烏丸少将文麿らは、様々な理由をつけ、のらりくらりと逃げていた。
三人の公卿は兄弟の不仲の混乱に乗じて王政復古を目論んでいた。

駿府。柳生左門友矩は柳生茜と根来衆に合流した。そして土井大炊頭一行を襲った。
だが、この行列にいた烏丸少将が、柳生左門友矩を斬った。烏丸少将は剣の達人だった。

江戸にいた柳生十兵衛は柳生茜ひとりでは危ないと考え、徳川家光の警護を柳生宗矩と柳生又十郎に任せて、柳生茜と根来衆の救援に向かうことにした。

小笠原玄信斎

小笠原玄信斎が柳生屋敷に忍びこんでいた。柳生宗矩と対決しようとするが、隣室にいた柳生十兵衛がそれを阻んだ。
だが、相打ちだった。小笠原玄信斎は左腕に重傷を負った。柳生十兵衛は左目を失明した。

左手に重傷を負った小笠原玄信斎は、義理の息子である雪之丞を使い徳川家光暗殺を企んだ。
雪之丞は侍女に化け、江戸城西の丸大奥へ潜入し、徳川家光を襲ったが、柳生宗矩が先手を打って送り込んでいた、根来衆のマンが身を挺して暗殺を阻止した。そして、雪之丞は柳生宗矩が斬った。

土井大炊頭と烏丸少将

柳生十兵衛は柳生茜と根来衆に合流した。
加賀の前田を味方に引き入れようと身延道を進軍する土井大炊頭一行を襲った。
土井大炊頭を討ち取ったが、犠牲も大きかった。柳生茜が死に、左源太や数多くの根来衆が戦死した。

柳生宗矩は柳生十兵衛に烏丸少将の抹殺を命じた。
柳生十兵衛は待ち伏せ、烏丸少将を一対一の決闘で討ち取った。烏丸少将に斬られた弟・柳生左門の敵もとった。

朝廷はすぐさま三条大納言実条を江戸に下らせ弁明と慰撫に努めた。
柳生宗矩はこれを逆手に徳川家光の上洛を取り付けた。

上洛と謀計

徳川家光上洛の話を聞いた徳川忠長は重臣と謀り、徳川家光より先に京へ向かうことにした。
地の利は徳川忠長にある。京へは駿府のほうが近い。

徳川家光の行列が駿府城下の浪人軍に襲われた。その際に、勅使の三条大納言実条が殺された。
これを聞いた徳川忠長はすぐに駿府へ引き返した。城下で勅使を殺してしまったことになり、朝廷へ言い訳ができない。京都へ向かうことができなくなった。
この襲撃は徳川忠長の仕業と見せかける柳生宗矩の罠だった。柳生又十郎と根来衆を暗躍させ、浪人軍はそれに踊らされたのだった。

徳川忠長は駿府城に立てこもった。そこに尾張の徳川義直が密かに会いに来た。
徳川忠長は濡れ衣だと訴えたが、徳川義直は前田や伊達などが徳川忠長支持から離れたと告げた。そして、開城するよう強く促した。

配流

開城した徳川忠長は高崎へ配流された。徳川忠長は写経しながら日々を送ることになった。

駿府で浪人軍に加わっていた名護屋山三郎が、徳川義直に直訴した。駿府城下の事件は徳川忠長を陥れる罠であったと。

徳川義直は柳生宗矩を問いただしたが、否定された。
この間に徳川家光は徳川忠長を切腹させるよう指示した。
使者は柳生宗矩。忠長の死を見届けた。

小笠原玄信斎が現れた。
柳生宗矩と小笠原玄信斎の対決は柳生宗矩が勝った。

徳川義直が御三家の面目にかけて調べると告げ、動き始めた。
柳生宗矩は柳生又十郎に命じて、事の真相を知る根来衆を殲滅した。

根来の里に久々にやってきた柳生十兵衛は何が起きたのかが分からなかった。
生き残った者から、柳生又十郎たちに襲われた事を知る。

柳生十兵衛と柳生宗矩

江戸城。将軍に就任した徳川家光が父・秀忠の墓前に報告をしているところに柳生十兵衛が現れた。

城内の道場。柳生宗矩が徳川家光からの賜った品物を眺めているとき、柳生十兵衛が現れた。
柳生十兵衛は詰問した。こんなもののために左門や柳生茜、根来衆は死なねばならなかったのか。
続けた言う。おれもあなたの、いや父上の、大事なものをぶち壊した。
そして、柳生宗矩に徳川家光の首を投げつけた。

柳生宗矩は驚愕し、怒りに我を忘れ刀をつかんで息子・柳生十兵衛を叩き斬ろうとしたが、柳生十兵衛のほうが早かった。柳生宗矩は右手首を一刀両断された。
去っていく柳生十兵衛、そして、いまだに何が起きたか信じられない柳生宗矩。
徳川家光を探しに来た松平伊豆守や春日局ら家臣らは、徳川家光の御首を抱きかかえる柳生宗矩をみて、驚愕する。

お騒がせあるな。こんなことがあってなるものか。これは夢でござる。
かかる悪夢に惑わされてはならん。今日こんにち、この日、只今、の天下てんがは大盤石の重きについた。
斯様なことがあり得ようはずがない。これは夢だ、夢だ、夢だー、夢でござーる。

映画情報(題名・監督・俳優など)

柳生一族の陰謀
(1978年)

監督 / 深作欣二
脚本 / 深作欣二,野上龍雄,松田寛夫
撮影 / 中島徹
美術 / 井川徳道
編集 / 市田勇
音楽 / 津島利章
助監督 / 土橋亨

出演
千葉真一 / 柳生十兵衛三厳
萬屋錦之介 / 但馬守柳生宗矩
丹波哲郎 / 小笠原玄信斎
芦田伸介 / 土井大炊頭利勝
成田三樹夫 / 鳥丸少将文麿
西郷輝彦 / 駿河大納言徳川忠長
大原麗子 / 出雲の阿国
志穂美悦子 / 柳生茜
原田芳雄 / 名護屋山三郎
高橋悦史 / 松平伊豆守信綱
松方弘樹 / 徳川家光
山田五十鈴 / 崇源院於江与
夏八木勲 / 別木庄左衛門
室田日出男 / 根来左源太
矢吹二郎 / 柳生左門友矩
工藤堅太郎 / 柳生又十郎宗冬
真田広之 / ハヤテ
中谷一郎 / 天野刑部
中原早苗 / 春日局
金子信雄 / 九条関白道房
浅野真弓 / マン
小林稔侍 / 片禿
角川春樹 / 安藤右京之輔重長
三船敏郎 / 尾張大納言義直

映画賞など

日本アカデミー賞

  1. 優秀主演男優賞
  2. 優秀助演男優賞
  3. 優秀脚本賞

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