監督は鬼平犯科帳のテレビシリーズの監督もつとめている小野田嘉幹。松竹創業100周年記念作品。
率直な感想としては、”別に映画化しなくても良かったのではないか?というものでした
テレビの特番で十分”といったところです。面白くなかったわけではないですが、わざわざ映画化するほどのものでもなかったという感じです。
それもこれも、映像がテレビシリーズと変わらなかったせいもあります。
映画での映像がテレビシリーズのものと違っていれば別の感想が生まれたのかもしれません。
映画の監督とテレビシリーズの監督が同じでは、仕方ないのかもしれないですが…。
考察と感想
原作となっている池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」の中で、この劇場版に使用されているのは以下の短編だと思われます(確証はあまりないです)。
「蛇の目」(第二巻)、「狐火」(第六巻)、「流星」(第八巻)、「迷路」(第二十二巻)
ただし、これら以外にも劇場用の創作部分があり、また、これらの短編以外からも話の筋を持ってきている節があります。
ちなみに白子の菊右衛門の名が登場するのは「暗剣白梅香」(第一巻)であり、鬼平犯科帳シリーズの中でも早い段階で登場します。
また、映画の中では重要な役割をしている荒神のお豊は原作の中の登場人物ではありません。
ただし、モデルがいます。それは、「艶婦の毒」(第三巻)に登場するお豊です。
この中で語られる長谷川平蔵とお豊の関係がそのまま映画では使われています。
映画の最後に長谷川平蔵がお豊にささやく場面があります。
聞こえないのだが、どうやら「親もいらねば、あるじもいらぬ。お前さえいればそれでいい」と言っているようです。
“料理の鉄人”に出演していた道場六三郎が登場するのはお茶目な感じでした。
映画公開時は、丁度”料理の鉄人”全盛期でしたので。
テーマ曲はテレビシリーズ同様にジプシーキングスのインスピレーションです。
原作だと思われる短編の紹介は「時代小説県歴史小説村」で。
あらすじ/ストーリー/ネタバレ
鬼の平蔵として盗賊に恐れられる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵。
その平蔵の前に狐火を名乗る盗賊が現れる。しかしそれは本物の狐火・勇五郎ではなく、彼の異母弟の文吉であった。
密偵のおまさは、昔勇五郎と恋仲にあった。そのおまさが、情に流されてしまい、そのことを平蔵に知られたおまさは平蔵に一喝される。
勇五郎と共に文吉一味の元を訪れたおまさは、殺されそうになっていた。
だが、それを救ったのは平蔵だった。平蔵は、勇五郎の腕を落とすことで、勇五郎を見逃すことにした。
そして、おまさを密偵から解き放ち、おまさは勇五郎とともに江戸を後にした。
これらのこと関連するように江戸に入り込んできた者がいた。大阪の白子の菊右衛門である。
白子の菊右衛門は江戸での活動のため、荒神のお豊に接近した。白子の菊右衛門は刺客たちを江戸に送り込んで長谷川平蔵を消す算段である。
しかし、お豊はそう簡単にことが進むとは思っていなかった。
それは、江戸において鬼平を直に感じているからである。
そこで、お豊は白子の菊右衛門との協力をそのままに、平蔵の一人息子・辰蔵を肉体で誘惑することにした。しかし、これらは失敗に終わる。
白子の菊右衛門の次の手は、火付盗賊改方の同心の家族を殺すというものである。
平蔵は、自分ならともかく部下への仕打ちに対しては激怒する。
だが、敵はようとしてつかめない。
そんな折、おまさがもどってきた。勇五郎が病で死んだのである。
そして、おまさはふたたび密偵として働きたいと申し出る。
そのおまさが土産がわりに持ってきた情報があった。
それがお豊の情報である。お豊は、以前平蔵と深い仲の女だった。少しずつ裏が分かってきた平蔵の取る手段とは…
映画情報(題名・監督・俳優など)
鬼平犯科帳 劇場版
1995
監督 : 小野田嘉幹
音楽 : 津島利章
歌 : ジプシーキングス
配役/出演:
長谷川平蔵 / 中村吉右衛門(二代目)
久栄 / 多岐川裕美
佐嶋忠介 / 高橋悦史
酒井祐助 / 勝野洋
木村忠吾 / 尾美としのり
おまさ / 梶芽衣子
小房の粂八 / 蟹江敬三
大滝の五郎蔵 / 綿引勝彦
五鉄の三次郎 / 藤巻潤
相模の彦十 / 江戸家猫八
荒神のお豊 / 岩下志麻
白子の菊右衛門 / 藤田まこと
沖源蔵 / 石橋蓮司
狐火の勇五郎 / 世良公則
吉五郎 / 本田博太郎
百蔵 / 平泉成
文吉 / 遠藤憲一
蛇の平十 / 峰岸徹
天ぷら屋の親父 / 道場六三郎
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