映画「壬生義士伝」(2003年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

01. 歴史映画やスペクタクル映画
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感想/コメント

原作 「壬生義士伝」 では、吉村貫一郎が大坂にある盛岡藩の蔵屋敷に瀕死の状態でたどり着いてから始まります。

その後、切腹するまでの間の貫一郎の心境を綴ったものを、あいだあいだに挟みながら、様々な人間による吉村貫一郎の思い出話が続くという筋立てになっています。

この吉村貫一郎の話を聞き回るのは、新聞記者とおぼしき若い人物ですが、あくまでも聞き手であり、この人物が語るということは一切ありません。

そのため、小説は吉村貫一郎を語る人間の一人称で進んでいきます。

この語る人間は様々であり、この映画の重要な登場人物ともなっている斎藤一もこの語り手の一人となっており、もうひとり、この映画でも登場している大野千秋も語り手の一人です。

ですが、この大野千秋に関していえば、小説ではすでに満州に渡っており、手紙での語りという風になっています。映画ではこの点を変えています。

もともと、様々な人間による吉村貫一郎の思い出話という筋立てのため、映画化するにあたり苦労した点があると思います。

まず、小説の中で吉村貫一郎は主人公ではあるが語られる人間であり、ある種、実態がありません。

また、語る人間が複数にまたがり、それぞれに吉村貫一郎の印象が若干ずつ違っています。これは語り部が複数いるのだから当然なのですが、映画では誰か一人の視点で描かないと、物語になりません。

そして、これが映画化で一番難しかったと思うのですが、小説では時系列で話が進んでいきません。

逆に、こうした原作ですので、この映画とは違ったものも制作することは可能なのです。

本作では斎藤一の視点で撮られていますが、これを別の人物の視点で撮れば別の印象になるでしょう。

まだまだ可能性を残している原作です。

この映画の最大の欠点は、最後の吉村貫一郎の死ぬまでの独白シーンでしょう。

原作を読んでいなければ、かなり間延びしたシーンに思えるはずです。

また、吉村貫一郎の人間性際だたせるために、映画の前半でもっと金に執着するシーンを持ってきて良かったと思います。

そうすれば、後半でのコントラストがクッキリと浮かび上がり、印象が深くなったと思います。

役者陣の演技はよかったです。

2004年日本アカデミー賞の、最優秀主演男優賞(中井貴一)、最優秀助演男優賞(佐藤浩市)を受賞しています。

作品賞も受賞しているのですが、もう一度誰か撮り直さないでしょうか。もったいない感じがします。

この映画でも泣ける人はいるでしょうが、原作はこんなものじゃありません。

もう一度書きます。まだまだ可能性を残している原作です。

原作小説 原作は浅田次郎「壬生義士伝」

浅田次郎 浅田次郎の小説を原作にした映画「柘榴坂の仇討」。舞台は幕末から明治初め。

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あらすじ/ストーリー/ネタバレ

江戸時代、幕末の京都、壬生の新撰組。そこへ一人の男が入隊してきた。盛岡の南部藩出身の吉村貫一郎(中井貴一)だ。柔和な言動に反して、吉村の剣は何人も人を斬ってきたような剣だった。

斎藤一(佐藤浩市)は、新入隊士歓迎の席で、お国自慢を始める貫一郎にうんざりし、詰所への帰り道でいきなり斬りつける。気にくわなかったからだ。だが、「死ぬわけにはいかぬ!」と叫ぶ貫一郎に気をそがれ、「腕試しだ」とごまかす。

吉村貫一郎は金にこだわった。貫一郎が金にこだわるのは、家族に仕送りするためである。

吉村貫一郎は藩校の助教を務めるほど優秀だったが、下級武士であるがゆえに貧困にあえいでいた。東北地方は長い飢饉に苦しんでいた。

三人目の子供を身ごもり、入水自殺を図る妻のしづ(夏川結衣)を止めた時、貫一郎は脱藩して自分の剣で稼ぐことを決意する。でなければ、家族が皆死ぬからである。

幼なじみで組頭の大野次郎右衛門(三宅裕司)の止めるのも聞かず、盛岡を後にした。

新選組に落ち着いた貫一郎は、もう一度盛岡の美しい山を眺め、愛しいしづと子供たちをその手で抱きしめることだけが望みだった…。

水と油の斎藤一と吉村貫一郎だったが、貫一郎は斎藤の氷のような心の奥にある温かさに触れる。斎藤は吉原から身請けした身寄りのない女、ぬい(中谷美紀)と暮らしていた。貫一郎にぬいを「醜女」だと紹介する斎藤の眼差しには、思いやりと愛情があふれていた。

新選組が分裂した。伊東甲子太郎一派が薩摩と組むために離脱することになったのだ。貫一郎と斎藤は伊東に誘われるが、禄は倍を出すという申し出にも関わらず貫一郎はきっぱりと断る。脱藩で一度は裏切った義を二度は裏切れないと言うのだ。「吉村が金に釣られないとは…」斎藤は意外な一面を見た気がした。

斎藤は伊東に着いていく。ただし新選組の間者として。

首尾よく伊東一派を葬った新選組だったが、もはや時代の勢いはとどまるところを知らなかった。

京都守護は解任され、大政奉還が成り、新選組の後ろ盾は全くなくなった。

そしてついに新選組の全てをかけた戦いが始まる……。

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映画情報(題名・監督・俳優など)

Mibugishiden

壬生義士伝
(2003)

監督:滝田洋二郎
原作:浅田次郎「壬生義士伝」文藝春秋刊
音楽:久石譲

出演:
吉村貫一郎/中井貴一
斉藤一/佐藤浩市
しづ/夏川結衣
ぬい/中谷美紀
大野次郎右衛門/三宅裕司
沖田総司/堺雅人
土方歳三/野村祐人
近藤勇/塩見三省
大野千秋/村田雄浩
大野千秋(青年期)/伊藤淳史
徳川慶喜/伊藤英明

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