映画「HERO」(2002年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

01. 歴史映画やスペクタクル映画
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感想/コメント

美しいほどに悲しい映画

色彩の美しさ、音楽の悲しさ、武術の華麗さ…美しいほどに悲しい映画である。

中国映画界を背負う監督、チャン・イーモウの作品。俳優陣は、主演のジェット・リーを始め、トニー・レオン、マギー・チャン、ドニー・イェン、チャン・ツィイーら、アジアの大スターたち。

撮影はクリストファー・ドイル、衣装は日本のワダ・エミが担当。

謎の男、無名の語りが軸となり、何が真実なのかわからない複数の物語が入り乱れていく。そして、パズルの様に組み立てられていく物語。

物語は鮮やかな色とともに移ろう。

まずは、無名が語り始める”赤”。そして、秦王の語る”青”、そして再び無名の語る”白”、最後に残剣と飛雪の物語を語るときの”緑”。

秦側の人間は黒で統一されており、物語の始まりは灰色で統一されている。

ここまで色彩にこだわった映画というのは類を見ない。そして、その色彩がとてつもなく美しく、物語と一体になっているのは素晴らしいことである。

同一系統色で場面を撮るのは、東洋人にしか持ち得ない感覚かもしれない。逆に、西洋人には理解できない感覚かもしれないのを、敢て断行した監督に喝采したい。

西洋人に同一系統色の微妙な使いこなしが苦手なのは、西洋画などを見ればよくわかる。西洋人は複数の異なる色相を使いこなすことは得意であるが、微妙な色合いというものは苦手のようである。

逆に、東洋人は同一系統色は得意であるが、異なる色相の色を使いこなすのが不得手のようである。西洋画でも西洋人の手によるものと東洋人の手によるものはすぐに分かると言われる所以である。

音楽と舞踏としての武術

そして、この映像の美しさに、対比するように流れる、もの悲しい音楽。ヴァイオリンと和太鼓の音色にハミングが重厚な世界を作り出し、悲しさも表現されている。

映像が美しいだけに、音楽の悲しさが引き立ち、果ては物語の悲劇性を強調していく。あるいは、逆に、音楽の悲しさが映像と物語を引き立たせているとも言える。

また、武術がこれほどまでに優雅な舞踏となりうるのかと感嘆せざるを得ない。

何からなにまで、”美”にこだわっている映画である。

ストーリー以上に映像の美しさと、音楽の悲しさが印象的であるが、この映画の映し出す映像美だけでも見る価値のある映画だと思う。

最後に、数千の矢が突き刺さった門に、人型がくり抜かれるようにして空いているシーンがとても印象的である。

次の映画もおススメ。

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あらすじ/ストーリー/ネタバレ

紀元前200年、戦乱の世の中国。

のちに始皇帝と呼ばれることになる秦王のもとに、無名(ウーミン)(=ジェット・リー)と名乗る一人の男が拝謁する。

男は、最強と恐れられた秦王の命を狙う3人の暗殺者、長空(チャンコン)(=ドニー・イェン)、残剣(ツァンジェン)(=トニー・レオン)、飛雪(フェイシエ)(=マギー・チャン)のすべて殺したという。その証拠にそれぞれの名が刻まれた一本の槍と二本の剣を携えていた。

無名は、十歩の距離まで近づけば如何なる相手も一撃で仕留める剣術”十歩必殺”を極め、3人の刺客を討ち倒したという。

無名の話す物語

暗殺者たちから身を守るため百歩以内に誰も近づけようとしない秦王だったが、無名の功績を認め特別に十歩の距離まで近づくことを許し、早速3人の刺客たちを討ち取った経緯を語るよう促すのだった。

無名は語り始める。恋人同士だった残剣と飛雪。その愛と嫉妬を利用して3人を殺したと。

そのために、無名はまず長空と闘うことにした。長空を倒し、残剣と飛雪と対面した無名。長空の無念は飛雪が晴らしてくれるという、偽りの言葉を伝え、残剣と飛雪の間に溝を作る。やがて、この溝が深くなり、無名の思うところとなったのである。

だが、これらの話を聞いていた秦王は、一件理が通っている話のようだが、嘘であると断言する。それは、3年前に己を襲った残剣と飛雪の人物を見ていたからこその断言であった。その上で、秦王は真相はこうであろうと自ら話し始める…

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映画情報(題名・監督・俳優など)

Hero

ヒーロー(英雄)
HERO
2002

監督:チャン・イーモウ
アクション監督:チン・シウトン
製作:ビル・コン
脚本:リー・フェン、チャン・イーモウ
撮影:クリストファー・ドイル
衣装デザイン:ワダエミ
音楽:タン・ドゥン

配役/出演:
無名(ウーミン)/ジェット・リー
残剣(ツァンジェン)/トニー・レオン
飛雪(フェイシエ)/マギー・チャン
如月(ルーユエ)/チャン・ツィイー
長空(チャンコン)/ドニー・イェン
秦王(チンワン)/チェン・ダオミン

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