映画「巴里のアメリカ人」(1951年)を観た感想と作品のあらすじや情報など

感想/コメント

★★★★★★☆☆☆☆

ミュージカル映画

ミュージカル映画である。だが、映画で使われている音楽は一曲も知らなかった。

曲自体が地味で、一般的に流行するようなメロディラインでないこともあるのだろうが、音楽と同時に踊りやストーリー展開で惹きつける映画である。

本来のミュージカル映画というのはこうしたものなのかもしれない。とはいえ、個人的には、世間一般に受け入られる曲が多い映画のほうが楽しい。

ジーン・ケリー

ジーン・ケリーでなければこの映画は成立しなかったのではないかと思う。

見事なタップダンス、そして様々なダンスをジャンルを超えて踊り、歌えるのはジーン・ケリーくらいではないか。

がっちりした体格だが、しなやかな体は、単なる肉体派の俳優とは一味も二味も違う。

レスリー・キャロン

そのジーン・ケリーが見出したのがヒロインのレスリー・キャロン。バレリーナで巡業中に見出されたという。本作がデビュー作。

美人ではないが、愛嬌のあるチャーミングな女性である。

オスカー・レヴァント

そして、この映画においては、何を置いてもオスカー・レヴァント!!!

コメディアンでありながら、ピアニストという異色の経歴。

本作では、ピアニストの本領をいかんなく発揮している。

後半でアダムの妄想シーンで、オーケストラを自分が指揮して、あらゆる楽器を自分が演奏するシーンがあるが、ピアノのシーンは圧巻だ。

なんなんだ??あのピアノ演奏のテクニック?

映画で見ることのない、それこそピアノリサイタルでも見ているかのような映像が繰り広げられた。

思わず見入ってしまったが、途中でハッと我に返って、このシーンってそんなに必要はないよなぁ、と感じたが、それでも引き込まれるシーンである。

ジェリーの部屋

オープニングで主人公のジェリーが住んでいる一室は、究極的に効率的な部屋になっている。

子どもなんかはとても喜びそうなつくりの部屋だ。小学生のころだったら、あんな部屋がほしい、と心底思ったに違いない。

シャレード

オードリー・ヘプバーンとケイリー・グラントが主演のミステリー映画「シャレード」でセーヌ川を二人が歩いているシーンがあるが、ヘプバーンが「巴里のアメリカ人」で主人公たちが歌いながら歩いていたのよねぇ、とご機嫌に語るシーンがある。

合わせて「シャレード」を見ると面白いと思う。

あらすじ/ストーリー

パリのアパートメント。

ジェリーは絵を学びにパリにやってきたアメリカ人だ。狭い屋根裏部屋に住んでいる。

絵は売れないが、同じアメリカ人のピアニストのアダムや近所の子供たちと仲良しになり、それなりに楽しく暮らしている。

ピアニストのアダムは奨学金で留学をしている音楽学生だ。

パリのあるアパートメント

昔、この界隈に住んでいたフランス人歌手のアンリが久しぶりにやってきた。

今は有名な歌手になっている。アダムに会うためにやってきたのだ。二人は旧知の仲だ。

アンリはアダムに近いうちに結婚すると話した。相手は幼いころから知っている女性で、戦争の時に一時的に預かったことが縁だというう。

ジェリーもこの話を聞き、皆で祝福した。

モンマルトルの展覧会

ジェリーはいつものように絵を抱えて、モンマルトルの路上に絵を広げていた。

そこにアメリカの資産家のミロが訪れ、ジェリーの絵を買いたいと申しでた。そして、パトロンになることを申し出た。

ミロに気に入られたジェリーは、ミロを誘って安い酒場へ繰り出した。

そこでジェリーはパリ娘のリズに一目惚れした。リズの電話番号を聞き出し別れた。

その様子を見ていたミロは面白くなかった。帰りの車の中でジェリーに不満を述べた。

だが、ジェリーは有頂天になっており、ミロの小声に全く耳を傾けなかった。

リズとのデート

翌日。ジェリーはリズが務めている店へ行き、強引にデートの約束をこぎつけた。

やがて、二人はたびたびデートを重ねるようになり、愛し合うようになった。

リズはジェリーに婚約していることを告げていなかった。相手はジェリーも知っている歌手のアンリだ。

アンリがアダムを再び訪ねてきた。ジェリーは愛している女性がいるが、思いを告げていないことをアンリに言うと、アンリは告白をしろと背中を押した。

ジェリーもアンリも、相手がリズであることを知らないでいた…。

アンリの求婚

ある晩、デートの約束をしたジェリーとリズ。同じ日にアンリのコンサートがあり、リズは行く約束をする。

だが、デートが長引き、アンリのコンサートには間に合わなかった。

コンサートが終わって出てくるアンリは、リズを見つけると、アメリカへ演奏旅行に出発することが決定したことを告げた。

そして、結婚して一緒にアメリカへ行こうと申し出た。

リズは複雑な心境だったが、これを諸諾した。リズにしてみればアンリは恩人である。愛には結びつかなかったが、昔から知っている相手で、何の問題もない。

そして、リズはジェリーにすべてを打ち明けた。ジェリーは落胆した。

舞踏会

ジェリーはミロを連れて美術学生の舞踏会に出かけた。そこにアンリとリズも来ていた。

ジェリーとリズは他人を装った。そして、ジェリーはアンリからリズと結婚することを言われた。

ジェリーはさらに落胆した。その気持ちをミロにも話した。

バルコニーで一人黄昏ていたジェリーのそばにリズがやってきた。二人は最後の別れを惜しんだ。そしてリズが去った。

この二人の様子をアンリが偶然立ち聞きしていた…。

映画情報(題名・監督・俳優など)


巴里のアメリカ人
(1951年)

監督 / ヴィンセント・ミネリ
製作 / アーサー・フリード
脚本 / アラン・ジェイ・ラーナー
撮影 / アルフレッド・ギルクス、ジョン・アルトン
音楽監督 / ジョニー・グリーン、ソウル・チャップリン
作曲 / ジョージ・ガーシュウィン

出演
ジェリー / ジーン・ケリー
リズ / レスリー・キャロン
アダム / オスカー・レヴァント
アンリ / ジョルジュ・ゲタリ
ミロ / ニーナ・フォッシュ

受賞

アカデミー賞

  1. 作品賞
  2. 美術賞
  3. 撮影賞
  4. 衣装デザイン賞
  5. 作曲賞(ミュージカル)
  6. 脚本賞
  7. 名誉賞 (ジーン・ケリー)

ゴールデングローブ賞

  1. 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)

映画ベスト100

  1. AFI選 偉大なアメリカ映画ベスト100 1998年版