映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」を観た感想と作品のあらすじや情報など

感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆
あなたは、どちらの話を信じる?

ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルの世界的ベストセラー小説を映画化。

映画は第85回アカデミー賞で11部門ノミネートし、監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞の最多4部門を受賞した。

前半は冒険譚。そして、最後の数十分ですべてがメタファーだったのかも?という疑念にとらわれ、走馬灯のように話のあらすじを思い出すことになる。

小説のネタを探していたカナダ人作家は、パイ・パテルというインド人男性を訪ね、彼の語る驚愕の冒険譚を聞く。

インドのボンディシェリで動物園を営む一家が、パイが16歳となったとき、インドからカナダへ移住するところからは冒険は始まる。

大海原で嵐に巻き込まれ、家族を失った一人の少年。

小さな救命ボートに乗り合わせたのは、オランウータン、ハイエナ、シマウマ、ベンガルトラ。ベンガルトラの「リチャード・パーカー」は少年・パイが昔から知っているトラだ。

漂流の中でパイはリチャード・パーカーと折り合いをつけていく方法を探っていく。

そして、漂流生活の中では、数々の不思議な出来事に遭遇する。

きれいに光る海。ザトウクジラのジャンプ。そして、ミーアキャットがたくさんいる不思議な島…。

いずれも映像は美しい。

だが、漂流生活も長くなり、パイもリチャード・パーカーも衰弱していく。

そして、ようやく砂浜にたどり着き、漂流生活から解放された二人。

ここまでは、単なる冒険譚だ。

だが、そのあと、パイが語るもう一つの物語を聞くと、すべての解釈ががらりと変わっていく。

オランウータン、ハイエナ、シマウマ、ベンガルトラ…。それらはすべてメタファーだったとしたら。

オランウータンがパイの母、ハイエナはコック、シマウマは船員、そしてベンガルトラはパイ。

全てを置き換えて見直してみると、残酷な物語が小舟の上で繰り広げられたことになるということだ。

となると、漂流から解放された瞬間、何の別れもせずに去って行ったリチャード・パーカーは、心の中の猛獣が去って行ったということなのか。

解釈、ということでいえば、漂流の中で見せた数々の出来事にも意味があるということになる。

光る海、ザトウクジラのジャンプ、そして、人食い島。

ミーアキャットの大群と人食い島はいったい何のメタファーなのだろうか。

いや、そもそも、そのように小難しく考えなくてもよいのかもしれない。パイも言っているではないか。あなたは、どっちの話を信じる?

もちろん、私は最初のだ。

なぜなら、後の話は、あまりにも悲しくて、絶望的だからだ。

映画情報(題名・監督・俳優など)

LifeOfPi
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
(2012年)
監督:アン・リー
原作:ヤン・マーテル『パイの物語』(竹書房刊)
音楽:マイケル・ダナ

出演:
パイ・パテル(少年)/スラージ・シャルマ
パイ・パテル(成人)/イルファン・カーン
サントッシュ・パテル/アディル・フセイン
ジータ・パテル/タブー
カナダ人ライター/レイフ・スポール
コック/ジェラール・ドパルデュー