映画「雷桜」(2010年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

時代劇映画や歴史映画(日本)
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感想/コメント

最初に一言。原作と全然違うし、原作の方がはるかに面白い。原作のプロットを改編して見事にぶち壊した映画というのも珍しい。

監督の意向なのか、プロデュース側の意向なのか、脚本能力が低いのか、はたまたその全てなのか。音楽もひどい…。

宇江佐真理さんの時代小説「雷桜」の映画化。宇江佐さんにとっては初の映画化作品だったので、楽しみにしていたが…。

原作の「雷桜」は、情景が美しい、それこそおとぎ話のようなファンタジーのような物語である。 美しく甘酸っぱい思い出の物語である。 その原作の雰囲気をどのように映画化するのか、とても楽しみだったのだが…。

原作の紹介は「時代小説県歴史小説村」で。宇江佐真理「雷桜」

宇江佐真理の「雷桜」を読んだ感想とあらすじ(映画の原作)
江戸という都会から少しだけ離れた山里。その山里にある不思議な山という特殊な空間が、現実を忘れさせてくれる舞台となっている。そして、そこで出会うお遊と斉道というのは、まるでシンデレラ・ストーリー。

映画では腹を斬ってしまう榎戸角之進だが、この榎戸角之進の想い出の物語である。

思い出というものは美しいものである。その美しさは時とともにますます美しくなっていく。幻影のかなたにあり、それは雑味のすべてが取り除かれた純粋な美しさになる。

だからこそ、原作はファンタジーのような、おとぎ話のような感じになったのである。

そして、原作はこうした思い出の美しさに、サスペンスの要素を取り入れて奥行きを出している。

映画では、ただ単に清水斉道の暗殺を狙う集団が現れるだけになってしまっている。

映画を駄目にしている決定的なのは、原作を単なるラブストーリーにしようとしたからだ。

単なるラブストーリーにすると、時代小説はすぐにプロットが破たんすることを制作の連中は誰も理解していないのだろう。きっと一行も時代小説を読んだことがない連中が作ったに違いない。

それに、映画のうたい文句が「日本版ロミオとジュリエッ」という点にマジで頭を抱えてしまった。そもそもロミオとジュリエットのプロットが分かっているのか?

制作および宣伝の連中の頭が悪いのは良く分かるが、シェイクスピアを侮辱するこたぁないだろ。

どうにもこうにもひどい仕上がりになった映画だが、役者の演技には多少助けられた部分がある。

かわいそうに、こんな映画に出演してしまって、とご同情申し上げる。間違いなく、ゴールデンラズベリー賞ものであるのだからね。

原作のプロットを大事にして、誰かもう一度映画化しないかね?ドラマ化でもいいよ。

その際には、ぜひとも、榎戸角之進が最後の最後の場面でいうセリフを入れてほしい。

『その顔が斉道と重なった。
「殿、榎戸、おいとまを致します。ごめん」』

この一言が、思い出を美しいまま、永遠に封じ込めた瞬間なのであるから。

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映画情報(題名・監督・俳優など)

Raiou

雷桜
(2010年)

監督: 廣木隆一
原作: 宇江佐真理「雷桜」
脚本: 田中幸子、加藤正人
音楽: 大橋好規

出演:
清水斉道/岡田将生
雷/遊/蒼井優
瀬田助次郎/小出恵介
榎戸角之進/柄本明
田中理右衛門/時任三郎
たえ/ 宮崎美子
瀬田助太郎/和田聰宏
お初/須藤理彩
榊原秀之助/若葉竜也
今泉鉄之助/忍成修吾
鹿内六郎太/村上淳
友蔵/高良健吾
茂次/柄本佑
高山仙之介/大杉漣
早坂門之助/ベンガル
田所文之進/池畑慎之介(ピーター)
徳川家斉/坂東三津五郎

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