映画「敦煌」(1988年)の観賞備忘録(感想とあらすじと情報を添えて)

文芸映画
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感想/コメント

★★★★★★☆☆☆☆
井上靖氏の小説「敦煌」を映画化。

敦煌と言えば莫高窟とそこから出た敦煌文献が有名である。

小説と映画の舞台となっているのは、ちょうど西夏ができて敦煌を占領した時期である。

映画そのままに、この頃に敦煌文書が莫高窟の中に放り込まれ、入口を塗り込められたと考えられている。

小説はそうした時期の敦煌に生きた人々と、敦煌文献を残そうとした人々の姿を克明に描いている。そして、映画もそれを描き出そうとはしている…。

敦煌を占領した西夏もモンゴル帝国に滅ぼされ、敦煌は元の支配下に入った。だが、西方を結ぶルートはシルクロードから南方の海の道へと移行し始めており、敦煌の相対的な地位が低下して没落していくことになる。

忘れ去られた町であった敦煌が注目され始めるきっかけとなるのが1900年のある出来事だった。

ある道士が偶然莫高窟から大量の文献を発見した。だがこの文献はしばらく放置された。というのも、発見した道士もこの地方をおさめていた地方官も文献の価値が分からなかったからである。

1907年、噂を聞きつけたイギリスのオーレル・スタインが数千点の文書・絵画を買い込んでイギリスへと持ち帰った。翌年にフランスのポール・ペリオが同じようにフランスへ持ち帰った。

敦煌の文献の重要性を真っ先に認識したのが西洋の学者たちだったのである。

慌てたのは清政府で、敦煌文書を北京へと持ち帰ったがが、まだ残っていた文書を日本の西本願寺の大谷光瑞によって派遣された大谷探検隊とアメリカ、ロシアの探検隊が持ち帰った。

こうして世界各地に飛び散った文献を、それぞれ持ち帰った国の学者たちが研究して、敦煌学というものが生まれることになる。

莫高窟はその後1987年に世界遺産に登録されている。

原作の紹介は「時代小説県歴史小説村」で。井上靖「敦煌」

井上靖の「敦煌」を読んだ感想とあらすじ(映画の原作)
敦煌が脚光を浴びるのは、20世紀になってからである。特に注目を浴びたのは、敦煌の石窟から発見された仏典である。全部で4万点。

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

11世紀の北宋。

趙行徳は科挙の最終試験殿試を受けるため首都開封にいた。趙行徳に出された問題は「西夏対策を述べよ」であったが、西夏が単なる辺境だと思っていた趙行徳はまともに答えることが出来なかった。試験に落ちた趙行徳は、失望感のあまり自暴自棄になっていた。次回の科挙は3年後…。

その趙行徳が、ひょんなことから街で西夏の女を助けることになる。その礼として、西夏への通行証をもらった。西夏の文字に興味をもった趙は西域へと旅立つ。

灼熱の砂漠を尉遅光の隊商と共に歩いていたが、途中で西夏軍漢人部隊の兵士狩りに会い、無理矢理入れられてしまう。

隊長の朱王礼は文字の読める趙を重用した。朱王礼に拾われて、漢人部隊の書記となったのだ。

辺境だとばかり思っていた西夏は、シルクロードの拠点として仏教文化の華開く砂漠のオアシスだった。

漢人部隊がウイグルを攻略した際、趙行徳は美しい王女ツルピアと知り合い恋におちた。

二人は脱走を試みるが失敗、趙行徳は西夏王・李元昊の命令で都へ文字の研究に行くことになった。ツルピアの庇護を朱王礼に託し留学することとなった。

月日は流れた。

留学期間が延び、ようやく西夏に戻ったときには、ツルピアは既に西夏の皇帝李元昊によって見出され、力ずくで妻にさせられようとしていた。その輿入れの日だった。

趙行徳も朱王礼にもどうすることもできなかった。婚礼の席上、ツルピアは隠し持っていた剣で謀反を企てようとするが李元昊に見破られ失敗、そのまま城壁から身投げしてしまう。

秘かにツルピアに思いを寄せていた朱王礼の怒りは爆発し、敦煌府太守・曹を味方につけて李元昊に謀反を起こした。

敦煌城内で死闘を繰りひろげる漢人部隊と西夏軍本部隊。

初めは漢人部隊が優勢だったが敦煌城に火矢が放たれ、朱側は火に包まれた。
戦うことより文化遺産を戦火から守ることに使命を見出していた趙行徳は、教典や書物、美術品などを城内から莫高窟へ運び込んだ。

映画情報(題名・監督・俳優など)

Tonkou

敦煌
(1988年)

監督:佐藤純彌
製作:武田敦、入江雄三
プロデューサー:結城良煕、馬万良、佐藤正大
製作総指揮:徳間康快
原作:井上靖
脚本:吉田剛、佐藤純彌
音楽:佐藤勝

出演:
朱王礼 / 西田敏行
趙行徳 / 佐藤浩市
ツルビア / 中川安奈
段茂貞 / 新藤栄作
尉遅光 / 原田大二郎
西夏の女 / 三田佳子
呂志敏 / 柄本明
漢人の無頼漢 / 綿引勝彦
没蔵嗣文 / 蜷川幸雄
野利仁栄 / 鈴木瑞穂
曹延恵 / 田村高廣
李元昊 / 渡瀬恒彦

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