映画「グリーン・デスティニー」(2000年)を観た感想と作品のあらすじや情報など

感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆

臥虎蔵龍

原題は「臥虎蔵龍」。英語の題名は「Crouching Tiger , Hidden Dragon」。原作は、1920年代に上海の作家ワン・ドウルーが書いた4巻になる武侠小説。

「臥虎蔵龍」は、場所が見かけ通りでないことを表す中国の古い格言をもとにしている。

題名には、本作の登場人物の個性を反映させている。

英雄リー・ムーバイの内側に潜む愛。女武侠ユー・シューリンの穏やかな外見の下の熱い想い。政略結婚を強いられる若い貴族の娘イェンの可憐な姿からは想像も出来ない秘めた激しい愛と武術の技。

だから、邦題のように「グリーン・デスティニー」としてしまうと、何のことだかわからなくなってしまう。

19世紀初め

舞台となる19世紀初めは、老荘哲学(道教)の価値が尊重され、武術の英雄たちが尊敬されていた。

400年前に作られ、太古のパワーに満ちた秘剣・碧名剣(グリーン・デスティニー)を巡り、英雄リ-・ム-バイ、その女弟子であるシュ-リン、貴族の娘イェン、盗賊の頭ローらが激しく交錯する。

中国圏においては武侠片(英雄時代劇映画)と呼ばれる。映画や小説で非常に高い人気を誇っているジャンルである。主人公たちは人間の領域を超えたパワーを持ち、剣やカンフーの達人という特色がある。

さしずめ、日本でいえば剣豪ものの時代劇といったところか。

ワイヤーアクション

この武侠ものだが、アクション場面はあり得ない動きをするところに特色がある。いわゆるワイヤーアクションだが、これがスピード感を持たせ、あるときには優雅さすら感じさせる。

この優雅さが一種のファンタジー的な要素に結びついている。

この悪くいえばニセモノの人間の動きが、どうしても好きでないという人は本作は見ていても面白くないだろう。そうでなければ、それなりに楽しめると思う。

音楽

音楽もいい。それは、チェロ演奏がヨーヨー・マということもある。が、それ以上に、この映画にマッチしたスコアであるということだ。

個人的な感覚だが、武侠ものには、一種の悲劇的な要素がなければならないと思う。単なる英雄譚では面白みがない。人智を超越した技量の持ち主が、その超越した力を持ってしても回避できない事故や死というものと直面しなければいけない。

一種の滅びの美学を表現するということなのだが、これを盛り上げる音楽が、壮大な英雄賛歌であっては困る。限りなく情緒のあるもの悲しさの漂うものでなければならない。

本作の音楽は、まさにぴったりである。そして、低音で感情の入ったチェロが心に染み入る。

どことなく雰囲気が似ているのが次の映画。
映画「HERO」
映画「LOVERS」

あらすじ/ストーリー/ネタバレ

(以下は基本的に公式ホームページからの抜粋)

清の時代。天下の名剣・碧名剣(グリーン・デスティニー)の使い手として名を轟かせるリー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)は、剣を置く決意をし、ム-ダン山での瞑想修行を途中で切り上げ、女弟子ユー・シュ-リン(ミシェル・ヨ-)の元へやって来た。

リー・ムーバイは、荷送の警護で北京に行くユー・シュ-リンに、彼の碧名剣をティエ氏(ラン・シャン)に届けるように頼む。リー・ムーバイは自分の師匠を殺したジェイド・フォックス(碧眼狐)を探し求めていたが、時は流れ、剣を置く決意をして、その許しを乞うために墓参りの旅を考えていた。

北京に到着したユー・シュ-リンは、剣をティエ氏に渡し、彼の邸に泊まることとなる。二人のことを昔から知るティエ氏は、リー・ムーバイの引退が二人の結婚を意味すると思った。だがユー・シュ-リンはそれを否定する。

二人は密かに惹かれ合っていたが、愛する気持ちがあっても、師弟ではそれが許されるものではなかった。

ティエ氏の書斎へ剣を置きに行ったユー・シュ-リンは、そこで貴族のユィ長官の娘イェン(チャン・ツィイー)に出会う。イェンは、西方で行政長官を務めていた父親の北京への赴任に伴い、両親の野望のため有力な一門ゴウ家に嫁ぐことになっている。碧名剣を見て、結婚するよりもユー・シュ-リンのような武侠になりたいという。ユー・シュ-リンは結婚が女の幸せだと諭すのだった。

その夜、ティエ邸に賊が忍び込み、碧名剣が盗まれる。夜間警護のボーが賊を発見し、邸内は大騒ぎとなる。ユーもすぐに駆けつけて賊と戦うが、賊の右手を負傷させ後一歩のところまで追い詰めたところで何者がのじゃまが入り、取り逃がしてしまう。賊がユイ長官邸内に消えたと報告を受けたティエ氏は、リー・ムーバイを呼ぶことにする。

長官邸近辺では、ジェイド・フォックスの人相書きが貼られていた。賊はもしかするとイェンではなかったのかという疑問を持ちながら、ユー・シュ-リンはそれを確かめるために彼女を訪ねる。

彼女のそばには家庭教師(チェン・ペイペイ)がいてユー・シュ-リンの来訪に不快感を示すが、イェンは喜んでユー・シュ-リンを迎え入れる。賊なら負傷させた右手は使えないはずだが、彼女はユーの目の前で見事に筆で書した。イェンはユー・シュ-リンに姉になるように頼み、ユーはそれを快く受け義姉妹の契りを交わしたのだった。

一方、ボーは妻の仇を討つためにジェイド・フォックスをこの地まで追って来たという西の警官ツァイとその娘を知る。そこヘジェイド・フォックスから決闘状が届き、三人は待ち合わせ場所へ向かう。現われたジェイド・フォックスはイェンの家庭教師だった。

ジェイド・フォックスは賊の隠れ蓑として、貴族の使用人の顔を使い分けていたのだった。ジェイド・フォックスの強さに手も足も出ない彼らの前に、リー・ムーバイが現われ対決する。

リー・ムーバイにとっても、ジェイド・フォックスは長年捜し続けていた師匠の仇。だが、リー・ムーバイのとどめの一撃が加わろうとしたその時、覆面をしたジェイド・フォックスの弟子が碧名剣を持って現れる。その一瞬の隙を縫ってジェイド・フォックスはツァイを殺し、弟子を連れて逃げおおせてしまう。

犯人が長官邸にいるとわかり、ジェイド・フォックスを誘い出すためにユー・シュ-リンはイェンに昨夜の闘いで西の警官ツァイが死んだことを伝え、碧名剣が戻ることが解決の一つだと話す。

その夜、ティエ邸に碧名剣を返しにジェイド・フォックスの弟子が現われるが、それを待ち受けていたのはリ-・ム-バイだった。ジェイド・フォックスの弟子の正体がイェンだと分かったリ-・ムーバイは、剣の才能を見抜きイェンを正しい武術の道に導きたいと言うが、イェンは剣を置いて逃げ、家庭教師のジェイド・フォックスに警官殺人を犯した以上、自分の家から出て行くように促す。

一方、リー・ムーバイはユーにイェンを弟子にしたいと相談するが、ユー・シュ-リンはそのまま結婚させるほうが望ましいと話す。それは自分と同じ道を歩ませたくないという彼女の姉心だった。

そしてイェンにも心乱れることが起こる。ある夜、砂漠で永遠の愛を誓った盗賊の頭ロー(チャン・チェン)が夜中にイェンをたずねて忍んできた。

ローは、北京に赴任途中のイェン一家の幌馬車を襲い、イェンをさらっていったが、いつしか彼女を愛するようになり、立派な人間になって彼女と結婚することを誓って彼女を解放したのだった。けれど、すでに政略結婚が決まっている彼女は彼に別れを告げなければならなかった。

イェンを諦めきれないロー、式直前で自由への夢とローへの想いに揺れるイェン、イェンに正しい道を学ばせようとするリー・ムーバイ、イェンに普通の女の幸福を願うユー・シュ-リン、そして姿をくらましたジェイド・フォックス。そして、いよいよ結婚式の当日…。

映画情報(題名・監督・俳優など)

GreenDestiny

グリーン・デスティニー
(2000)

監督:アン・リー
アクション監督:ユエン・ウーピン
製作:ビル・コン、シュー・リーコン、アン・リー
製作総指揮:ジェームズ・シェイマス、デヴィッド・リンド
原作:ワン・ドウルー
音楽:タン・ドゥン、ヨーヨー・マ
主題歌:ココ・リー

出演:
リー・ムーバイ/チョウ・ユンファ
ユー・シューリン/ミシェル・ヨー
イェン/チャン・ツィイー
ロー/.チャン・チェン
テイエ氏/ラン・シャン
碧眼狐(ジェイド・フォックス)/チェン・ペイペイ
ユィ長官/リー・ファーツォン
ユー夫人/ハイ・イェン
ツァイ/ワン・ターモン
メイ/リーリー

受賞

  1. 英BBC 21世紀最高の映画100本 2016年版
  2. 英エンパイア誌 世界の名映画ベスト100 2014年版
  3. 米Yahoo! 死ぬ前に見たい映画100 2009年版