2016年最高の映画だと思います。脚本も良く、音楽も良かったです。俳優のキャスティングは素敵でしたし、何よりも見ることで希望を感じる映画でした。「観てよかった」と思える映画です。
アカデミー賞作品賞の最有力候補でしたが、残念なことに、栄冠に輝きませんでした。
ミュージカル映画の「主役」は音楽なので、オリジナル曲で勝負するということは極めて冒険です。
これまでのミュージカル映画はブロードウェイなどで上演実績があるものや、オリジナルストーリーに曲だけはヒット曲を集めて作られる手法が多いです。
そうしたなかで、本作は異例でした。
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映画を代表する曲たち
City Of Stars
「City Of Stars」の雰囲気が、この映画の雰囲気を最も端的に伝えています。哀愁漂うのですが、希望も感じさせます。映画を体現している曲と言えます。
ロケ地:City Of Starsを歌ったハモサビーチの桟橋
セバスチャンが「City Of Stars」を歌うのはハモサビーチの桟橋。ハモサビーチは小さな海岸の街で、 ハリウッドから車で40~50分南にある人口2万人ほどの町です。
住所 1 Pier Ave, Hermosa Beach, CA 90254
Audition
「Audition」もこの映画を代表する曲です。オーディションでミアが夢を追いかける人の素晴らしさを謳います。ロマンチックであり内省的な曲ですが、「City Of Stars」同様に、希望を感じさせる曲です。
この映画は、どん底にいながらも、夢をあきらめないでいる者へ、希望を与え続けます。
日本のテレビcmで使われた曲
2021年3月、サントリーのザ・プレミアム・モルツで「アナザー・デイ・オブ・サン」が使われました。
ライアン・ゴズリングが最高だった
このオリジナル曲を魅力的にした最大の功労者はセバスチャン役を演じたライアン・ゴズリングです。間違いありません。
もともとの設定は、エマ・ストーン演じるミアのシンデレラストーリーを飾りたてる、狂言回しのようなものだったのかもしれません。
彼の飄々とした演技は、表に出るというよりは、ミアを引き立てる狙いがあるように感じたの、そう思ったのですが、この演技が絶妙に良かったです。
これほどに映画にマッチした俳優はおらず、彼がいなければ、この映画はここまで評価されなかったのではないかと思います。
脚本も良かった
夢を追いかけるも、挫折に挫折を重ね、夢をあきらめそうになる女優の卵のミア。
才能があり、一度はつかんだ栄光への階段を、己の本当の夢のために捨てるミュージシャンのセバスチャン。
共通するのは、二人とも自分の夢をあきらめなかった/捨てなかったということです。
最高なのは、ミアが大女優となり、セバスチャンの経営するバーで偶然再会する場面です。
二人の間に思い出が走馬灯のように駆け巡り、やがて現実とは違うアナザーストーリーを二人で共有します。
ですが、それはひと時の夢物語であり、二人が夢を捨ててこそ訪れる夢物語でした。
今ではお互いに夢を叶えて現実を生きています。
音楽が終わった時に、二人のアナザーストーリー は終わり、つかんだ夢の生活に戻ります。
そして、二人の本当の別れの場面。寂しそうだが、どことなく満足した顔。
セバスチャンがふと笑って頷く。分かっているよ、これで良かったんだ、という顔。
涙のない別れのシーンは深い余韻を生みました。ライアン・ゴズリングの最高のシーンです。
最後のセブとミアのアナザーストーリー部分に使用される「Epilogue」。
この映画のクライマックスに使われる曲で、これまでに流れてきた音楽の色合いをすべて凝縮した一曲で、アナザーストーリーにふさわしい曲です。
映画タイトルのLa La Landの意味
ロサンゼルスの略であるLAが重なっていることから、ロサンゼルスを指します。
特にハリウッドを指すことがあります。タイトル通り、映画の舞台がハリウッド。
また、現実離れをした世界、夢の世界という意味や、陶酔感といった意味もあります。
この映画の場合、ハリウッドということと夢の世界ということになるのでしょう。
ミュージカル映画なので、韻も踏んでいるのかもしれません。ラ・ラ・ランドって、口ずさむのにいい語呂ですから。
ロケ地
マウント・ハリウッド・ドライブ
映画の前半で、二人がタップダンスを踊るシーンで使われたのが、グリフィス・パークの丘にあるマウント・ハリウッド・ドライブがヘアピン状にカーブする所です。
近くには有名なマルホランド・ドライブがあります。
敷地に天文台、ゴルフコース、テニスコート、動物園などがあり、映画でグリフィス天文台が登場するエリアになります。
このシーン辺りまでは、昔ながらのミュージカル映画という印象でした。
ストーリー展開も、ダンスが入るシーンも、典型的なパターンと感じましたが、このシーンを最後に、オールドスタイルのミュージカル映画とは別れて、本作独特の世界へと入っていきます。
そういう意味で、印象的なシーンです。6分にも及ぶシーンはワンカットです。
映画のポスターイメージにも使われているシーンなので、ここがクライマックスと思われるかもしれませんが、映画は、音楽を含め、このシーン以降からが本番です。
ミアが働くカフェ
ミアが働くスタジオにあるカフェは残念ながらセット。
カフェの外の風景は、ワーナー・ブラザースのスタジオ。映画「カサブランカ」に登場した窓から通りを挟んだところにある設定でえ。
カサブランカをあえて映画に出してきたのは、セバスチャンとミアをハンフリー・ボガードとイングリット・バーグマンになぞらえるということなのでしょうか…。
施設見学ツアーがあるそうなので、ツアーでいろんな映画のセットを見て回るのも楽しいと思います。
住所 3400 W. Riverside Dr. Burbank, CA 91505
営業時間・開場時間 8:15–16:00
利用料金や入場料 スタジオ・ツアー 65ドル (要予約)
ザ・ライトハウス・カフェ
ジャズを聞いてもらうためにセバスチャンがミア連れて行ったジャズクラブ。
ハリウッドから南へ車で40~50分ほど行ったハモサビーチに実在します。
住所 30 Pier Ave, Hermosa Beach, CA 90254
営業時間・開場時間 18:00−翌2:00(土日は11:00から)
リアルト劇場とグリフィス天文台
「リアルト劇場」で「理由なき反抗」(1955年)を見た二人が、劇中に登場した「グリフィス天文台」でデートします。
「リアルト劇場」は、ロサンゼルス市の東側サウスパサデナに実在しました。2007年に閉館しています。
建物は1925年建築で、オーケストラピットやバルコニー席も設けられ、劇場として広く利用されていました。
住所 1023 Fair Oaks Ave, South Pasadena, CA 91030
「グリフィス天文台」 はグリフィスパークのある山の頂上付近にあります。夜景がきれいなのが有名です。
住所 2800 E Observatory Rd, Los Angeles, CA 90027
営業時間・開場時間 12:00−22:00(土日は10:00から) 月曜休館
利用料金や入場料 無料
Story
始まりは高速での渋滞。変哲のないシーンから始まるのですが、音楽が鳴りだし、踊りが始まります。
おいおい、このシーンからいきなり始まるか?という始まり方です。
そして、このシーンで流れる音楽が最初に聞く音楽になるのですが、初っ端から良い音楽が流れます。
音楽のレベルが一定水準以上で高いのもこの映画の特徴です。
夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。
http://gaga.ne.jp/lalaland/about.html
渋滞で赤の他人として出会ったように、終わりも渋滞が大きなポイントになり、二人は再び赤の他人になります。
ロケ地:オープニングの高速道路シーン
オープニングの高速道路渋滞のシーンは、ロサンゼルス国際空港から東に伸びるI-105と、サンペドロからパサデナまで南北に走るI-110が交わるところで撮影されました。
セバスチャンとミアが最悪の出会いをしたシーンでもあります。ミアに激しくクラクションを鳴らしたのがセバスチャンでした。
映画情報(題名・監督・俳優など)
ラ・ラ・ランド
(2016年)
監督 / デイミアン・チャゼル
製作 / フレッド・バーガー,ジョーダン・ホロウィッツ,ゲイリー・ギルバート,マーク・プラット
製作総指揮 / マイケル・ビューグ
脚本 / デイミアン・チャゼル
撮影 / リヌス・サンドグレン
プロダクションデザイン / デヴィッド・ワスコ
衣装デザイン / メアリー・ゾフレス
編集 / トム・クロス
振付 / マンディ・ムーア
作詞 / ベンジ・パセック,ジャスティン・ポール
作曲 / ジャスティン・ハーウィッツ
音楽 / ジャスティン・ハーウィッツ
音楽監修 / スティーヴン・ギジッキ
エグゼクティブ音楽プロデューサー / マリウス・デヴリーズ
出演
ライアン・ゴズリング / セバスチャン(セブ)
エマ・ストーン / ミア
ジョン・レジェンド / キース
ローズマリー・デウィット / ローラ
ソノヤ・ミズノ / ケイトリン
J・K・シモンズ / ビル
フィン・ウィットロック / グレッグ
映画賞など
第74回ゴールデングローブ賞
- 作品賞(ミュージカル・コメディ部門)
- 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
- 主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)
- 監督賞
- 脚本賞
- 主題歌賞
- 作曲賞
第70回英国アカデミー賞
- 作品賞
- 監督賞
- 撮影賞
- 作曲賞
- 主演女優賞
第89回アカデミー賞
- 監督賞
- 主演女優賞
- 撮影賞
- 美術賞
- 作曲賞
- 歌曲賞
第82回ニューヨーク映画批評家協会賞
- 作品賞
第41回トロント国際映画祭
- 観客賞
第73回ヴェネツィア国際映画祭
- 女優賞
第22回放送映画批評家協会賞
- 作品賞
- 監督賞
- 脚本賞
- 撮影賞
- 編集賞
- 美術賞
- 作曲賞
- 歌曲賞
第64回ゴールデン・リール賞
- 長編映画・ミュージカル部門
第53回映画音響協会賞
- 実写映画部門
第21回全米美術監督組合賞
- 現代映画部門
第24回ハンプトンズ国際映画祭
- 観客賞ナラティヴ部門
第88回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
- 作品賞トップ10
パームスプリングス国際映画祭2017
- ヴァンガード賞
第32回サンタバーバラ国際映画祭
- パフォーマー・オブ・ザ・イヤー
ハリウッド映画賞2016
- プロデューサー賞
- 撮影賞
ハリウッドメディア音楽賞2016
- 主題歌賞
第21回サテライト
- 監督賞
- 主演女優賞
- 撮影賞
- 作曲賞
- 主題歌賞
- 美術賞
第41回日本アカデミー賞
- 最優秀外国作品賞
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