鳥羽亮の「はぐれ長屋の用心棒 第9巻 父子凧」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第九弾。

今回は華町源九郎の倅・俊之介が窮地に立たされる。倅を救うために、源九郎は鏡新明智流の剣を振るう!

今回、華町家のことが初めて語られた。華町家は五十石の御家人だが、給地を拝領している。

もともとは百石を喰む御家人で、御納戸衆や御腰物方などを勤める家柄だった。ところが、源九郎の親の孫右衛門が上司の巻き添えを食らい五十石に減石されたのだ。

減石で済んだのは、御納戸頭と御目付の奔走があったからで、いずれ家禄を戻すという意味合いもあったようである。そのため、知行取りのまま据え置かれたというわけだ。

本作で、俊之介は減石されていた石高が元に戻されるかもしれない好機に恵まれる。だが、その好機を潰され、さらにはお取りつぶしにもなりかねない窮地に立たされる。

源九郎は倅を救うために動き、そして、俊之介も己の武士の一分をかけて動く。

本作の題名は「父子凧」であるが、これは「父子鷹」とかけているのだろう。

孫六は言う。

「やっぱり父子ですぜ、旦那と俊之介さまは。同じように顔が真っ黒だ」

さて、お吟が敵情を探るために料理屋や料理茶屋などに座敷女中として入り込むことが度々ある。

この時に世話になるのが、柳橋の口入れ屋・森田屋だ。ここから、お吟を料理屋や料理茶屋などに座敷女中として斡旋してもらうのだ。

森田屋の主・徳兵衛にお吟が

「あたし、島津屋さんのような老舗で働きたいんです」

と、もっともらしく言うと、

「いいですとも、お吟さんなら、どの店も喜んで引き受けますよ」

とあっさりと斡旋が決まる。本当にあっさりと決まるのだ…、まっ、いいか。

内容/あらすじ/ネタバレ

華町源九郎は倅の俊之介から、御納戸組頭の小西恭助から御納戸衆に栄進できるのではないかという話を聞く。御納戸頭の戸田助左衛門が推挙してくれたというのだ。めでたい話だ。

この話を聞いた後日。凄まじい斬り口で殺された死体を源九郎は見ることとなる。手練れにやられたようだ。殺されたのは日本橋の越野屋の番頭・房蔵だという。

越野屋の主・徳右衛門が御納戸組頭の小西恭助、御納戸衆の原島史四郎を饗応している。この席には俊之介も同席していた。徳右衛門は先に番頭が殺された時に三百両の大金を奪われていたが、その事は黙っていた。

この帰り、原島と一緒に帰ることになった俊之介は、原島の口から、近頃筑前屋がいろいろ動いており、裏で御納戸頭の小熊宗之助や御納戸組頭の赤石八十郎にだいぶ働きかけているという話を聞かされた。

その話の中、二人を突如襲ってきた者がいる。この襲撃で、俊之介は傷を負い、原島史四郎は殺された…。

原島が一太刀に頭を割られたという話を聞き、源九郎は越野屋の番頭の死体がよぎった。同じ太刀筋かもしれない。越野屋に関わったことで、俊之介も命を狙われたのではないか?

御納戸頭の戸田助左衛門が源九郎を呼んだ。そして、今度の事件で、俊之介の栄進の話が立ち消えになりそうになり、あまつさえ士道不行届きで処罰すべしという意見もあると聞かされた。

そこで、戸田は原島と俊之介を襲った下手人を捕まえてもらいたいという。手当をだすという。今回のことは倅の出処進退に関わることと、源九郎は固辞したが、百両を受け取ることとなる。

孫六は岡っ引きの栄造を訪ねた。福耳の繁蔵の賭場に御家人崩れの腕の立つ牢人がいると聞いたことがあるという。名は樫村という。孫六は樫村を追ってみることにした。

源九郎は越野屋を見に行った。すると近くに筑前屋が近くにあることが分かった。筑前屋の主の名は市蔵という。この市蔵を探るのも必要かもしれない。

それに、御徒目付の飯坂半太夫はだいぶ前から、筑前屋と幕府御納戸の関わりを探っていたようだ。筑前屋はちかごろ商いを広げるために盛んに動いているようだ。筑前屋が働きかけているのは御納戸頭の小熊宗之助だ。

筑前屋の市蔵は一筋縄ではいかない相手のようだ。以前は深川の州崎で料理屋をやっていたが、裏で高利貸しをして金を貯め込んだという。どうも胡散臭い男のようだ。

俊之介の家が襲われた。しばらくの間、俊之介の家族を長屋で匿うことにした。

樫村という牢人を追っていた孫六は牢人・樫村助次郎が筑前屋とつながっていることを突き止めた。そして、樫村ともう一人牢人・塚本十四郎というのがいることが判明する。

 越野屋で騒ぎがあった。侍二人が越野屋の店の中で大暴れをしたのだという。手代が出した反物に汚れがついており、それに怒ったということだが、胡散臭い話だ。おそらくは越野屋に対する嫌がらせだろう。

この騒ぎで得をするのは筑前屋だ。主の市蔵をたぐるのが解決への近道なのかもしれない…。

本書について

鳥羽亮
はぐれ長屋の用心棒9
父子凧
双葉文庫 約二八五頁
江戸時代

目次

第一章 辻斬り
第二章 探索
第三章 襲撃
第四章 長屋暮らし
第五章 凧
第六章 夕暮の死闘

登場人物

華町源九郎
菅井紋太夫
茂次…研師
孫六…元岡っ引き
三太郎…砂絵描き
お吟…浜乃屋女あるじ
お熊…長屋の住人、助造の女房
元造…飲み屋「亀楽」の主
おみよ…孫六の娘
お梅…茂次の女房
吾助…浜乃屋の板前
栄造…岡っ引き
お勝…栄造の女房
村上彦四郎…南町奉行所定廻り同心
戸田助左衛門…御納戸頭
佐々木百助…戸田助左衛門の用人
小西恭助…御納戸組頭
原島史四郎…御納戸衆
徳右衛門…越野屋の主
市蔵…筑前屋の主
樫村助次郎
塚本十四郎
寅次
小熊宗之助…御納戸頭
赤石八十郎…御納戸組頭
飯坂半太夫…御徒目付
荒船幾三郎…御小人目付
福耳の繁蔵

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