鳥羽亮の「はぐれ長屋の用心棒 第6巻 迷い鶴」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ六弾。華町源九郎らがお家騒動に巻き込まれる。

お家騒動というと多くの場合は大名家における家督相続が絡み、これに他の要素も入った複合的なものが多く、派閥抗争的な側面というのも見逃せない。

派閥闘争的なものであれば、大小の大名家でかなり起きていたのではないかと思う。ただ、それが表面に現われることがなかっただけで、結果として歴史に名を残さなかっただけのことであろう。

歴史に名を残すお家騒動は、言い方は変だが、やはり派手である。例えば、本シリーズの時代に近いところでは、薩摩藩でのお由羅騒動が有名である。

さて、このお家騒動には「はぐれ長屋」も巻き込まれる。長屋自体が巻き込まれるのはいつものことだが、考えてみれば、たくましい連中である。

伝兵衛店というもっともらしい名があるが、近所のものははぐれ長屋と呼んでいる。牢人者、いかがわしい大道芸人、日傭取り、無宿人など、世間の者に冷たい目をむけられるはぐれ者が多く住んでいたからである。

その長屋の連中がぞろぞろ出てきては、手にした石や薪を一斉に投げつける。

敵が追いかけてくれば、わあーっと逃げる。

逃げている一方で背後からは別の長屋の連中が石や薪を投げつける。

追いかけられると逃げる。

するとさっき逃げていたはずの長屋の連中が再び戻ってきて石や薪を投げつける。

これを繰り返し撃退するのが、はぐれ長屋の戦法である。

さて、二月ほど前に生まれた華町源九郎の倅・俊之介の娘は八重と名付けられた。孫娘はよほど可愛いらしく、源九郎はデレデレである。

内容/あらすじ/ネタバレ

白い衣装を着た巡礼姿の娘が、武士らしき二人の男に無理矢理連れて行かれそうなのを華町源九郎が助けた。

助けた娘は自分の名が思い出せないという。それに娘は武家言葉をつかっており、小太刀を学んだことがあるような風でもある。

いったん長屋に連れて行き、名がないと不便ということで、「お鶴」と呼ぶことになった。

お鶴には身許を示す物が何もなかった。源九郎らは娘の素性だけでもつきとめ、しかるべき所へとどけてやることにした。

孫六は栄造の所へ行った。すると、三人の武士が巡礼姿の若い男を取り押さえて去った場面をみた者がいるという。源九郎がお鶴を助けたのと同じ頃だ。そして、峰山という名が出た。

この若い男を連れた三人組は、新大橋から来て汐留橋を渡り、酒井雅楽頭の中屋敷の裏手を右に入っていったという。だが、そこから先が分からない…。

源九郎を捕まえようとする一団が現われた。その一人に奇妙なかたちの八相を構える武士がいた。だが、こんなことにはかまわず源九郎は逃げた。

お鶴は大名家のお家騒動にでも巻き込まれているのではないか、源九郎はそう思った。

長屋を見張っている武士がいる。その後をつけ、武士が入った町家の近くで聞き込むと、巡礼姿の男が目撃されていた。

武士の入った家は黒江藩七万石の町宿で、住んでいるのは峰山百蔵だという。ここにきて峰山の名が出た。お鶴は黒江藩の家臣の娘かも知れない。

その峰山らが源九郎を訪ねてきて、房江がいるだろうという。お鶴は房江というらしかった。峰山らを撃退はしたものの、この長屋にはおけず、お鶴をいったんお吟の所であずかってもらうことにした。

黒江藩士の溝口信平と北山真吾があらわれた。この二人はどうやらお鶴の味方のようだ。そして、お鶴と同じ頃に連れ去られた巡礼姿の男はお鶴の兄で田代鉄之助であることがわかった。

兄妹で巡礼姿に身をやつしたのは、どうやら黒江藩の国許で起きた事件が原因ではないかと思われる。国許では田代兄妹の父・田代助左衛門が斬殺されるという事件が起きていた。田代助左衛門は大目付の一人であり、国家老の内藤宗重に絡む汚職を調べていたようだ。

黒江藩の勢力は二分され、国家老の内藤宗重派と江戸家老の野沢与左衛門派に分れているそうだ。

源九郎と菅井紋太夫が江戸家老の野沢与左衛門と会うことになった。そして剣の腕を貸してもらいたいと頼まれる。百両の手当を出すというのだ。

いつものようにこの百両は源九郎、菅井、茂次、孫六、三太郎の五人で分けることにした。そして、まずはお鶴の兄・鉄之助の行方を捜すことに決めた。そうしたなか、お鶴が連れ去られてしまう…。

本書について

鳥羽亮
はぐれ長屋の用心棒6
迷い鶴
双葉文庫 約二九〇頁
江戸時代

目次

第一章 巡礼娘
第二章 黒江藩
第三章 小太刀
第四章 記憶
第五章 奪還
第六章 敵討ち

登場人物

華町源九郎
菅井紋太夫
茂次…研師
孫六…元岡っ引き
三太郎…砂絵描き
お吟…浜乃屋女あるじ
お熊…長屋の住人、助造の女房
栄造…岡っ引き
お鶴(房江)
田代鉄之助
(田代助左衛門)
溝口信平
北山真吾
野沢与左衛門…江戸家老
峰山百蔵
沢口彦右衛門
垣崎吉兵衛
下田文蔵
宇津木平八
工藤市之丞
内藤宗重…国家老

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