鳥羽亮の「はぐれ長屋の用心棒 第12巻 瓜ふたつ」を読んだ感想とあらすじ

この記事は約4分で読めます。

覚書/感想/コメント

シリーズ第十二弾。前作では藩の権力闘争に巻き込まれた「はぐれ長屋の用心棒」達だったが、今度は旗本の御家騒動に巻き込まれる。

源九郎らに助けを求めてきたのは、源九郎の同門である向田武左衛門。この武左衛門と源九郎の姿形が良く似ている。なので、題名が「瓜ふたつ」なのである。

旗本・清水家の現当主は八十郎。先代の当主の弟だ。この先代の当主とその妻の死には不可解な点があった。向田武左衛門は悪辣な陰謀があったという。先代当主夫婦は毒殺されたのではないかというのだ。

先代の当主には嫡男があった。喬之助という。この喬之助が八十郎の後の清水家当主となるはずだったが、八十郎に嫡男が生まれたために、喬之助を疎んじ始めている。

危機感を覚えた向田武左衛門は喬之助を清水家から連れ出して逃げ、華町源九郎らの助けを借りることにしたのだ。
そして、いつものように「はぐれ長屋の用心棒」達が活躍するわけである。

だが、誰かにスポットが当るわけでもなく、主要人物達に何かしらの変化が起きるわけでもないので、目新しさがない。可もなく不可もなしといった感がある。

少々変わっているとしたら、今回怪我をするのが三太郎と孫六というくらいだろうか。

最後に。この所、お吟が登場していないのが少々寂しいが、次作で登場してくれるのを楽しみに待つほかない。

内容/あらすじ/ネタバレ

華町源九郎の二歳になる孫の八重が風邪を引いた。

長屋に戻ると、お熊が来客だという。菅井紋太夫と一緒にいるというのだが、源九郎にそっくりなのだと怪訝な顔をする。老武士は向田武左衛門。源九郎とは蜊河岸の鏡新明智流の同門だった男だ。三十余年ぶりの再会だった。

向田は旗本の清水家に仕えていたはずだ。だが、どうも源九郎と同じ牢人暮らしのようである。

三日後ふたたび向田が長屋に姿を見せた。少年を同行しており、倅の喬之助だと紹介した。そしてこの長屋に越してきたのだという。向田は清水家を追い出され、借家住まいだったが、家賃が払えなくなっていたのだ。

この向田に若い侍の客があったという。向田の倅の欽次郎だという。先妻の子だといった。

茂次が飛び込んできた。御舟蔵の近くで人殺しがあったという。殺されたのは侍だ。これを聞いて向田の血相が変わった。

向田は仏を知らないといったが、源九郎は向田の縁者か知己だと察した。そしてそのことを隠そうとしている。

斬られたのは旗本・清水八十郎の家士だという。やはり向田とつながりがあるようだ。近くでは黒布で面垂れのように鼻から垂らした妙な武士が目撃されていた。

向田が横川八之丞を連れて源九郎に頼みがあるといってきた。源九郎らがはぐれ長屋の用心棒と呼ばれていることも知っていた。

頼みとは喬之助のことだ。喬之助は旗本・清水家の先代当主の嫡男だという。喬之助の両親は相次いでなくなっている。診断は玄仙という医者が行っていた。

これについては毒殺の噂が流れた。跡目を継いだ八十郎は喬之助に跡目を継ぐという約束をしていたが、自分に子が生まれると、喬之助への態度が変わってきた。そこで向田は喬之助を清水家から連れ出したのだという。

その喬之助を守って欲しいという。

源九郎は菅井、茂次、孫六、三太郎らに図った。皆が承知した。

清水家には牢人が出入りしているという。最初に名のわかったのは佐々木稲七郎、中畝権十郎。中畝は福井町の賭場に出入りしているらしい。他に名のわかったのは島次郎に木谷泉市である。

源九郎は向田にこれからどうするつもりかを聞いた。向田は喬之助を守り清水家を継いでもらうという。そのために、先代夫婦の死の真相を暴き、詰め寄るつもりだという。

八十郎の手のものが長屋を襲ってきたが何とか撃退した。その後、中畝と木谷の塒がわかった。

源九郎と向田は医者の玄仙の屋敷を確かめに行った。すると玄仙を佐々木らが守っていることが判明する。他にも菅谷仙九郎、小野甚太郎という清水家の若党が詰めていることが判明した。

その矢先、三太郎と孫六が襲われた…。

源九郎らは玄仙を攻めることにした。そして玄仙をおびき出した。守っているのは佐々木、菅谷、小野に島次郎だ。これらを斬り捨てて玄仙を捕まえた。

そして玄仙を連れて清水八十郎のところに乗り込んだ…。

本書について

鳥羽亮
はぐれ長屋の用心棒12
瓜ふたつ
双葉文庫 約二八五頁
江戸時代

目次

第一章 貧乏牢人
第二章 悪計
第三章 長屋の攻防
第四章 攻勢
第五章 旧悪
第六章 対決

登場人物

華町源九郎
菅井紋太夫
茂次…研師
孫六…元岡っ引き
三太郎…砂絵描き
お熊…長屋の住人、助造の女房
元造…飲み屋「亀楽」の主
おみよ…孫六の娘
お梅…茂次の女房
栄造…岡っ引き
お勝…栄造の女房
村上彦四郎…南町奉行所定廻り同心
華町俊之介…華町源九郎の倅
君枝…俊之介の嫁
新太郎…俊之介の息子
八重…俊之介の娘
向田武左衛門
向田欽次郎…武左衛門の倅
清水喬之助
横川八之丞
栗田安蔵
村山彦三郎
清水八十郎…旗本
玄仙…医者
佐々木稲七
中畝権十郎
木谷泉市
島次郎
菅谷仙九郎
小野甚太郎
お島
長吉

タイトルとURLをコピーしました