塩野七生の「ロードス島攻防記」を読んだ感想とあらすじ

この記事は約3分で読めます。

覚書/感想/コメント

前作の「コンスタンティノープルの陥落」は歴史上とても重大な事件であった。それに比べると、今回の舞台となるロードス島の聖ヨハネ騎士団の盛衰は、重要度が格段に落ちる。

また、ロードス島の要塞自体もコンスタンティノープルに比すると規模を比べるまでもなく小さい。コンスタンティノープルは一時は百万を越える人間が住んでいたのだ。

つまり、前作に比べるとテーマのスケールが小さいのである。

だが、この作品は続く「レパントの海戦」を考えると、とてもいいテーマを選んでいると思っている。

前作では、オスマン・トルコは新興の国であった。戦い方にも新たな戦法を導入している。新興国に見られる勢い等が感じられた。今作では、成熟しつつあるオスマン・トルコであるが、戦法には変化がない。安定しつつある国であるが、革新性を失い始めている。

前作と今作で、新興国が隆盛して成熟するまでを、描いている。すると次作は当然、衰退の始まりとなる。

内容/あらすじ/ネタバレ

マホメッド二世の曾孫にあたるスレイマン一世の時代。コンスタンティノープルの攻略から七〇年の時を経ている。

スレイマン一世の時代のヨーロッパは中央集権化が加速しており、各国の国王が若くまた優れていた。ハプスブルク家のカルロス、フランスのフランソワ一世、イギリスのヘンリー八世。ヨーロッパの勢力図が大幅に動き始めた時代であった。

この中で、ロードス島に拠点を置く聖ヨハネ騎士団は、オスマン・トルコにとって厄介な存在だった。というのも、首都コンスタンティノープルからシリア、エジプトに行くのにも、途中に位置するロードス島の付近を通らなければならない。

その通過するイスラムの船を聖ヨハネ騎士団が襲うのである。オスマン・トルコでは聖ヨハネ騎士団を「キリストの蛇たちのねぐら」と呼ばれ怖れられていた。

オスマン・トルコにしてみたら、ロードス島に居る聖ヨハネ騎士団を追い出さなければならない。スレイマン一世は大軍を率いて聖ヨハネ騎士団に宣戦布告をした。

コンスタンティノープルの攻略から築城方法が大幅に変わった。大砲を想定した築城方法に変わってきたのである。ロードス島の要塞もこれにならって築城されたものであった。

一方、オスマン・トルコはコンスタンティノープルの攻略時と同じく、大砲と人海戦術による物量による勝負に出る。

本書について

塩野七生
ロードス島攻防記
新潮文庫 約二四〇頁
16世紀初頭地中海

目次

第一章 薔薇の花咲く古の島
第二章 聖ヨハネ騎士団の歴史
第三章 「キリストの蛇たちの巣」
第四章 開戦前夜
第五章 一五二二年・夏
第六章 一五二二年・冬
エピローグ

登場人物

フィリップ・ド・リラダン……聖ヨハネ騎士団長
ジャン・ド・ラ・ヴァレッテ・パリゾン…聖ヨハネ騎士団
ジャンバッティスタ・オルシーニ…聖ヨハネ騎士団
アントニオ・デル・カレット…聖ヨハネ騎士団
ガブリエル・マルティネンゴ…築城技師
スレイマン1世…オスマン・トルコのスルタン
コルトグル…海賊

タイトルとURLをコピーしました