佐藤雅美の「幽斎玄旨」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

樓岸夢一定-蜂須賀小六」と同じく、信長、秀吉に仕えた細川藤孝(幽斎)を主人公にしている。

文武両道というのを地でいくような武人である。

武の方では、突進する牛の角をつかみ、投げ飛ばしたとの逸話もある持ち主である。その一方、文においても、歌道を極め古今集を伝授されるほどの教養も身につけていた。

教養の高さと、家柄から考え、信長、秀吉にとって渉外担当として欠くべからざる武将だったはずである。同じように、教養の高さから重宝された明智光秀とは親交があつかった。

しかし、決定的なところで両者を違えたものがあるはずである。本能寺の変直後、細川藤孝(幽斎)は明智光秀に見方をしないことを態度で明言した。そうしたのはどうしてだったのだろうか。本書を読むと、そのあたりの心理が分かるかもしれない。

その細川藤孝(幽斎)の激動の人生を丹念に描いている小説である。「信長」「樓岸夢一定-蜂須賀小六」と併せて読むとより一層楽しめる。

内容/あらすじ/ネタバレ

城州長岡の青龍寺城の城主、細川兵部大輔藤孝に将軍弑逆の一報が入る。十三代将軍義輝の腹違いの二つ上の兄である藤孝は、主を失って呆然とするが、出家していた覚慶をもり立てて行く。

覚慶は還俗し、名を義秋(のちの義昭)と改めたが、力のない将軍のこと、尾張の織田信長の力を借りてようやく十五代将軍になった。

藤孝は再び将軍に使える身となったが、義昭を固める他の武将の中傷もあり、義昭との関係がぎくしゃくしていた。また、義昭も恩人であるはずの織田信長との関係が悪化しつつあった。この状況の中、藤孝は三条西大納言実枝から「古今伝授」つまり古今集の伝授を受けていた。

やがて藤孝は義昭の下を去り、織田信長の麾下の武将となった。そして義昭と信長の関係はのっぴきならない状況となりついには信長は義昭を京から追い出してしまう。

信長が義昭を追い出してから、藤孝は再び三条西大納言実枝からは「古今伝授」を受け、足かけ三年に及ぶ伝授は終了した。そして「古今集切紙」の伝授が行われた。

信長は部下に厳しい主であった。藤孝は粉骨して信長に仕えたが、同僚の明智光秀の謀反により信長が殺されてしまう。

光秀から味方するようにとの誘いが来るが、羽柴秀吉が追っつけ戻ってくるだろうと予想した藤孝は秀吉がとって返す前に隠居し、名を幽斎玄旨と改めた。秀吉に組みすることを明確にするためでもある。

天下が、秀吉のものとなり、隠居していた幽斎は秀吉の文化面を支える人間として千利休と共に重宝された。

本書について

佐藤雅美
幽斎玄旨
文春文庫 約四七〇頁
戦国時代

目次

将軍弑逆
矢島の里
流浪の果て
天下布武
岐阜への使い
あしき御所
裏切り者
さかむ日数
泥足の使者
袖の露
孫娘於長の縁談
恩讐の彼方
大徳寺山門の木像
死地への使い
秀吉狂乱
家康への礼
田辺籠城

登場人物

細川兵部大輔藤孝
細川忠興(与一郎)
松井胃助康之
米田源三郎貞能
足利義昭(義秋)
和田伊賀守惟政
織田上総介信長
明智十兵衛光秀
羽柴筑前守秀吉
前野将右衛門
千利休
三条西大納言実枝

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