佐伯泰英の「吉原裏同心 第4巻 清掻」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★★★☆

シリーズ第四弾。

吉原最大の危機。四郎兵衛会所が新任の隠密廻り同心によって機能を奪われた。裏には、昇進をもくろみ金子を入りようとする北町奉行。そして、さらに後ろには一橋治済がいた。

四郎兵衛ら会所の連中は吉原の自治を取り戻すことが出来るのか?

さて、幹次郎の剣術は独学の薩摩示現流と加賀で学んだ眼志流居合が基本。これに、天真正伝香取神道流が加わりそうだ。

天真正伝香取神道流は飯篠長威斎家直を祖とする。後継者に松本備前守政信らがおり、塚原卜伝へと続く。塚原卜伝の弟子には北畠具教、足利義輝、細川幽斎、師岡一羽らがいる。

この天真正伝香取神道流の津島傳兵衛直実と門弟たちがこのシリーズの中でどのような関わりを持っていくのかはこれからのお楽しみだろう。

吉原の仕来りで興味をそそられた部分。

客が来てくれなければ商売あがったりの吉原。そこで遊女たちは文を馴染みの書いて催促をした。吉原では馴染みの客に直接文を渡すことはあまりしない。そこで、柳橋の船宿か田町の引手茶屋(中宿)に届けさせるのが習わしとなっていたそうだ。

ここでざっくりとした吉原の遊女たちをあらわす言葉を見ようと思う。

花魁は位の高い遊女をいうのであり、太夫などが該当する。このシリーズで言えば薄墨がそうである。

この下に、振袖新造(ふりそでしんぞう)がいる。略して振新。遊女を船に見立てたもので、新艘(しんぞう)の船の意味。15~16歳の遊女見習いで禿が振袖新造になる。

禿(かむろ)。10歳前後の少女で教育は姉分の遊女が行った。

その他に、花魁の世話をするマネージャー役として番頭新造(ばんとうしんぞう)がいる。通常は器量が悪く遊女として売り出せない者や、年季を勤め上げた遊女が務める。

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内容/あらすじ/ネタバレ

幹次郎は汀女と出かけ、汀女が用事を済ましている間、一度見学してみたいと思っていた香取神道流の達人津島傳兵衛直実の道場を訪ねた。

見学を許してくれ、稽古を見ていると、津島傳兵衛が師範の頼近巧助の相手をしてくれと頼み込んできた。実戦を知っている者の剣を感じさせる目的があったようだ。そして、幹次郎は道場への稽古を許されることになった。

魚河岸の藤千の若旦那・参蔵が五十鈴楼の千代女から文を貰い、百両を貸した。だが、千代女はそんな文を出したことはないという。どうやら吉原の仕来りを悪用した者がいるらしい。掛廻りにきた男は千代女と参蔵の間で交わされた話も知っており、文を信じたという。

他にも二件同じような事件が続いた。そして、いづれもが汀女に読み書きを習っている遊女たちである。

汀女は一人の番頭新造をあげた。初音という番頭新造である。禿の頃に右の首筋から頬にかけ傷を負ったため、振新にも太夫にならなかった。だが、傷さえなければ薄墨太夫とも遜色のない絶世の美貌の持ち主である。

豊後岡藩の中間で幹次郎や汀女の幼馴染でもある足田甚吉が久しぶりに江戸にあがり、幹次郎を訪ねてきた。どうらや国許では内紛が起きているらしい。

甚吉と過ごした翌日、幹次郎が吉原会所に向かう途中で見かけない御用聞きを見た。新顔は御用聞きだけではなかった。

隠密廻り同心の山崎蔵人は総名主や四郎兵衛らを呼びつけ、自分が面番所にあるときは、一切を面番所で処理をするといいはなった。会所を閉じよというのだ。新任の同心にしては態度が大きい。一体この不遜な態度はどこから来るのか。

そして、吉原の会所が機能を停止して廓内で引ったくりや掏摸が流行し始めていた。会所を追放したことをなぜか北町奉行の曲淵景漸が強く支持しているという。

会所の機能は六郷屋敷に移った。出羽本庄藩の下屋敷で、藩主六郷伊賀守政速と吉原の関係が近いこともあった。

北町奉行の曲淵景漸は辞任後、ゆくゆくは寺社奉行への昇進を狙っているという。だが、寺社奉行は大名格。曲淵景漸の禄高ではまだまだ足りない。そこで幕閣要人に金子をばらまき加増を願うつもりのようだ。そして、曲淵景漸が頼りにしているのが一橋治済である。

山崎蔵人の過去が調べられ始めた。山崎蔵人は品川宿で辻斬りをして、金品を強奪していた可能性がある。確証が取れれば、山崎蔵人を追い落とせる。

さっそく品川宿で探索に乗り出した幹次郎らだが、山崎蔵人が辻斬りをしていたのではないかとほのめかした、山崎蔵人の剣術の師匠・三木光琢が最近斬られて亡くなっていたことが分かった。三木光琢の娘つぐは斬ったのが山崎蔵人であると知ると、山崎蔵人の性癖を教えてくれた。それは衆道ということだ。吉原会所の反撃が始まる。

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本書について

佐伯泰英
清掻 吉原裏同心4
光文社文庫 約三二五頁
江戸時代

目次

第一章 初春無心文
第二章 雪隠勝負
第三章 五十間道大黒舞
第四章 陰間の刺客
第五章 妖しの辻斬り

登場人物

一橋…女郎
翔鶴…紙問屋伊勢喜の隠居
津島傳兵衛直実…香取神道流
頼近巧助…師範
千代女…女郎
参蔵
初音…番頭新造
安造
山崎(兼康)蔵人…隠密廻り同心
赤元結の岩松…御用聞き
曲淵景漸…北町奉行
島貫精兵衛
新門諒源
鍬方五郎左衛門…与力
三木光琢…念流師範
つぐ…娘
おなは…孫
八重垣(おまん)
籐八郎
和泉弥九郎平…八重垣の清掻の師匠
迫水源四郎…元御家人
六郷政林…出羽本庄藩隠居
吉兵衛…石亀の親分
陽次郎
おうめ
稲荷の金三郎…御用聞き
種五郎

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