佐伯泰英の「酔いどれ小籐次留書 第4巻 一首千両」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆

シリーズ第四弾。今回は追腹組だけでなく、阿呆な分限者たちが賭け事で赤目小籐次の首を狙う。一首千両の賭けである。

追腹組にしてみれば、武士の面子を賭けてでも、小籐次の首を分限者たちよりも先に挙げなければならない。

余計な刺客が現われることで、小籐次を狙う刺客の種類がややこしくなっていく。とはいっても、今までに比べれば、追腹組の刺客たちの出番は少ない。

こうした中、小籐次は久慈屋昌右衛門と手代の浩介と一緒に常陸国西野内村に西ノ内和紙を買い付けに行く。途中でも色々とトラブルに見舞われ、なかなか賑やかな道中である。

一日十里が江戸時代の通常の行程だという。約四十キロである。フルマラソンの距離に若干満たないくらいなので、意外と楽勝じゃんと思ったら大間違い。一度この距離を歩いてみて、江戸の旅を経験してみるのも良いと思う。

この距離を歩いたことがあれば分かるが、現代は道路も舗装されており、履く靴もそれなりの物であるのに、かなりしんどい。

一日だけでも結構しんどいのに、この距離を何日もこなさなければならないのだから、江戸時代の舗装状況や履物を考えると、かなり辛い行程だったと想像される。

さて、常陸国西野内村滞在中に余興でつくった行灯の評判が予想外によかった小籐次。その行灯が江戸に戻って水戸家第八代の斉修の目にもとまるなど、水戸家との繋がりができそうである。

だが、この水戸家は小城藩と昵懇の間柄だという。どういう関係になっていくのだろうか。

この水戸家の藩主は、本書で水戸(徳川)斉修と記載されているが、「斉脩」と書くこともあるようである。この後の藩主が幕末に登場する斉昭で、斉修の弟である。

水戸家の藩主は全部で十一代。将軍家十五代に比べると代が少ないが、初代の頼房が約五十年、二代の光圀が四十年という、この二人がかなりの長期間を藩主の座にあったためである。

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内容/あらすじ/ネタバレ

文化十五年(一八一八)の新年明け。赤目小籐次は依然として肥前鍋島家その支藩ら四藩との死闘を繰り返している最中であった。

初日の出を小舟の上から拝んで帰る途中、流人とおぼしき男が海に漂っているのを見つけ、助け出した。男は赤馬の千太郎と名乗った。熱があるので長屋で寝かせていたのが仇になった。

千太郎は小籐次の小舟や小金を奪って逃げてしまった。小籐次は慌てて難波橋の秀次親分のところへ向かった。

それまでのいきさつから、千太郎は千住へ逃げたものと思われる。そこで、小籐次は銀太郎と一緒に千住へ向かった…。

年明けの仕事を始めた小籐次は、いつものようにうづと会った。その後、久慈屋を訪ねた。昌右衛門の供で常陸国西野内村に西ノ内和紙を仕入れに行く約束をしていたので、その日取りが決まったようである。

この日取りの件とは別に、昌右衛門が小籐次に意外な噂を伝えた。分限者の十人が一人百両、合計千両の金で、赤目小籐次の首を、誰の刺客が最初に挙げるかを賭けているというのだ。

鍋島家の追腹組以外にも刺客が現われそうである。そして、刺客が早速一人現われた。

小籐次は昌右衛門と手代の浩介と一緒に常陸国西野内村に向けて出発した。一首千両の刺客の件もあるため、出発は内密の内に行われた。そして、その間に、この賭けを始めた分限者たちの洗い出しを難波橋の秀次らが行うことになっていた。

水戸街道を下っている途中で、若い武家娘を主とする一行に会う。姫は久坂鞠といった。小籐次らはこの一行に降りかかった危難を助け、水戸城下まで送り届けた。そして、その足で西野内村を目指した。

小籐次が西野内村にいる内に、座興でつくった行灯の評判がよく、細貝忠左衛門は昌右衛門に小籐次を再び西野内村に寄こしてくれと言う。そして、行灯の作り方を職人たちに覚えさせ、商品化するというのだ。

江戸に戻ると、一首千両の酔狂者たちの身許が割れた。だが、一方で分限者ごときに先を越されては恥だと思う追腹組の心に火を付けてしまっていた。

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本書について

佐伯泰英
一首千両 酔いどれ小籐次留書4
幻冬舎文庫 約三一〇頁
江戸時代

目次

第一章 赤馬の千太郎
第二章 ほろ酔い初仕事
第三章 梅香酔いどれ旅
第四章 ほの明かり久慈行灯
第五章 七番籤の刺客

登場人物

赤馬の千太郎
おこう
佐倉屋六平太
留次
治田和兵衛…剣客
千住の源五郎…御用聞き
東作
新兵衛…大家
お麻…新兵衛の娘
近藤清兵衛…南町定廻り同心
久坂鞠…久坂華栄の娘
久坂華栄…水戸藩前之寄合
津村玄五郎…久坂家用人
太田拾右衛門…小姓頭
太田静太郎…拾右衛門の息子
市塚染之助
水戸(徳川)斉修
細貝忠左衛門…久慈屋の本家
早乙女図書助…御台所頭
肥田頼常

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