佐伯泰英の「酔いどれ小籐次留書 第10巻 薫風鯉幟」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第十弾。

前作の水戸行きから戻ってきたばかりの赤目小籐次。二十日ばかり留守にしていたので、方々で庖丁研ぎの仕事がたまっている。

文政二年(一八一九)仲夏のことである。

今回はうづに持ち上がった縁談話を中心に物語が展開していく。

うづに持ち上がった縁談の相手というのがとんでもない相手で…というのが筋である。

さて、今回登場したのが五代目岩井半四郎。恐らくは顔見せ程度で、今後のシリーズの中で度々登場することになるのだろうと思う。

岩井半四郎は歌舞伎役者で、安永五年(一七七六)から弘化四年(一八四七)までの化政年間に活躍した女形。屋号は大和屋。目に魅力があり、「目千両」と呼ばれ人気役者になった。

四代目鶴屋南北と組んだということであるから、これからシリーズの中で鶴屋南北も登場してくるのかもしれない。

考えてみれば、このシリーズは化政文化の真っ只中が舞台になっているのだから、有名な文人達が数多く登場してきてもおかしくはない。

化政文化を代表する人物達といえば、黄表紙の山東京伝、滑稽本の十返舎一九、式亭三馬、人情本の為永春水、俳諧の与謝蕪村、小林一茶、読本の上田秋成、曲亭馬琴、脚本の鶴屋南北、漢詩の頼山陽、国学の賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤、蘭学の杉田玄白、前野良沢、大槻玄沢、シーボルト、絵では鈴木春信、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、円山応挙、発明の平賀源内などがいる。

上記の中で、このシリーズの中で登場してくる可能性があるのは、十返舎一九、式亭三馬、為永春水、小林一茶、曲亭馬琴、鶴屋南北、頼山陽、平田篤胤、大槻玄沢、シーボルト、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重であり、他の人物達はシリーズの始まる以前に死んでいる。

さて、これからどのような人物達が登場してくるのだろうか。

今回の物語の最後に、鎌倉河岸の豊島屋の酒が登場する。

これはもちろん「鎌倉河岸捕物控え」シリーズの重要な舞台の一つである豊島屋のことである。

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内容/あらすじ/ネタバレ

文政二年(一八一九)仲夏。

水戸から戻ってきた赤目小籐次は駿太郎を背負い、吉原の大門をくぐった。清琴太夫に新しいほの明かり久慈行灯を見せるためである。新しい行灯には一つ百両吉原明かりと命名している。これを清琴太夫に送った。

清琴太夫は思いのほかに喜んでくれた。

小籐次は三人組のかっぱらいを捕まえた。十手持ちの難波橋の秀次が現われ捕縛した。狙われたのは鼈甲細工で松田屋茂兵衛のものである。この三人組は男二人に女一人かと思われたが、女は男が女装した姿だった。

小籐次が久慈屋に寄っている時に知らせがやってきた。捕まえた女装の男は旗本京極家の房之助だという。

いつもの船着き場にうづの姿がなかった。

馴染みの場所でいつものと研ぎ仕事を始めた小籐次に竹藪蕎麦の美造が縞太郎とおきょうの仲人を頼んできた。一端は断ったものの、引き受けざるを得なくなった。

小籐次はうづを訪ねることにした。

うづには嫁入り話が来ている。相手は寺島村の大百姓小左衛門の総領息子で、小作人が何十人もいる花大尽だ。総領息子はこれで三度目の祝言だという。評判は芳しくない。

何とかうづを呼び出した小籐次だが、うづはこの縁談に乗り気ではない。

相手の由太郎が本当にうづを嫁にする気があるのかを疑っているのだ。由太郎は別れた女房達と会っているからだという。

話し込んでいるところに頬のそげた男が現われた。百鬼の吉蔵という。うづを連れにきたのだという。一端は引き上げたものの、小籐次は百鬼の吉蔵が並々ならぬ相手だと感じていた。

小籐次はうづを連れて久慈屋に向かった。そして、うづは小籐次と同じ長屋に匿われることになった。

難波橋の秀次に頼んで小籐次は由太郎のことを調べて貰った。

由太郎に近づいているのに遠州屋増蔵というのがいる。先代までは真っ当な船問屋だったが、増蔵の代になって賭場を開き、一端のやくざ稼業をはじめた。

百鬼の吉蔵らも遠州屋増蔵の息がかかっているという。さらには、隠岐流人無刀流という剣術遣いの武田津官兵衛というのがいるようである。

ところで、女装していた京極房之助が逃げたという…。

小籐次は遠州屋を覗いてみることにした。小籐次が現われることで大混乱になった遠州屋。

遠州屋増蔵は小籐次の腕前に恐れおののき、うづの件から手を引くことを約束した。

だが、あろうことか、曲物師の万作の倅・太郎吉をさらっていった。逆に小籐次も由太郎を捕まえ、人質交換をもちかけた。

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本書について

佐伯泰英
薫風鯉幟
酔いどれ小籐次留書10
幻冬舎文庫 約三〇〇頁
江戸時代

目次

第一章 花菖蒲
第二章 うづの難儀
第三章 役者千両
第四章 羽織のお化け
第五章 陰間役者

登場人物

赤目小籐次
駿太郎
清琴…花魁
松田屋茂兵衛…鼈甲細工屋
久慈屋昌右衛門
観右衛門…久慈屋大番頭
おやえ…昌右衛門の娘
浩介…手代
国三…小僧
おまつ…女衆
喜多造…久慈屋の船頭
勝五郎…版木職人
おきみ…勝五郎の女房
新兵衛…長屋の差配
お麻…新兵衛の娘
お夕…お麻の娘
空蔵…読売屋
綾香
陸之輔
うづ…野菜売り
義右衛門…うづの父親
小左衛門…花大尽
由太郎…小左衛門の倅
遠州屋増蔵
百鬼の吉蔵
武田津官兵衛
曲物師の万作
太郎吉…万作の倅
美造…竹藪蕎麦の親方
おはる…美造の女房
縞太郎…倅
おはま
備前屋梅五郎…畳職
神太郎…梅五郎の倅
捨吉
おさと…捨吉の姉
永次…魚源五代目
難波橋の秀次…御用聞き
近藤清兵衛…南町定廻り同心
京極房之助…旗本の倅
岩井半四郎…五代目

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