佐伯泰英の「密命 第4巻 刺客-密命・斬月剣」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第四巻。

金杉惣三郎も四十の半ば。再び動き出した尾張の兄弟の野望を打ち砕くために一人戦いに挑む。

今回は全編を通じて剣豪小説となっている。様々な流派の刺客と対峙する金杉惣三郎。四十も半ばになり、体力的な限界を感じながらの対決である。幾度となく危機が訪れる。

そして剣技の冴えも往年ほどではなくなっており、焦りを感じる。こうしたピンチをどう切り抜けるのか?ハラハラどきどきの決闘シーンが見所である。

一方、息子の清之助は師匠・石見銕太郎から八十を超える常陸鹿島の米津寛兵衛の元で修行を行うように言われ、勇んで出発する。しかし、周りの人間達は清之助が根気よく修行を続けられるのか心配している。これからどのように清之助が成長するのかが楽しみである。

本書で、絵島生島事件の当事者絵島が登場する。有るものを惣三郎に託すのだが、これが一体何なのか気になるところである。

内容/あらすじ/ネタバレ

享保三年(一七一八)。京の葵祭の競馬会神事の当日。禁裡御普請の常佐古治衛門が何者かに射殺された…

享保四年(一七一九)。半年ほど前から金杉惣三郎の様子がおかしい。さらには、金杉家ではしのとつやの関係がうまくいかず、清之助も力をもてあまして暴れているという。

家庭崩壊が密かに進行していることも心配の種である。当の惣三郎は昼間から酒浸りとなり、荒神屋喜八やお杏を心配させていた。
その惣三郎が何者かに襲われ、惣三郎は川に落ちた…

京で…。禁裡御普請の小堀紀信は常佐古治衛門の後任と対面した。仙石十四郎と名乗るその者は、実は金杉惣三郎その人であった。

惣三郎は所司代の松平伊賀守忠周を訪ねた。そして、一年ほど前から幕府の役人がねらわれている事件が起きていることを聞かされた。一部の話では、これらの事件の裏に尾張の京屋敷が絡んでいるという。

惣三郎は尾張屋敷に潜入している密偵・志津と連絡を取った。

尾張の徳川宗春が極秘に上洛するという。そのことが分かってすぐ、刀鞘拵処の明珍慈光斎が殺された。この明珍慈光斎から預かりものの刀が何本か失われているようだ。

宗春は権中納言四辻季次、瑞竜山太平興国南禅寺住職紫暈禅師、亀甲屋右近、敬礼門院藤原孝子、奈良興福寺塔頭宝蔵院覚弦房、からとや庄兵衛の六人と会っていた。

その席で単刀直入に宗春は言う。我らの共通の敵は紀州の山猿。つまり現将軍吉宗であると。その上で、昨年以来の幕府の人間を殺害する事件に集まっている人間達が絡んでいることを知っていると、また、それぞれが養っている武芸者達のことも知っているという。

四辻季次は日置流の弓の名手で陰流の継承者・橘重籐、藤原孝子は無住心剣流の西三条実里、紫暈禅師は薩摩示現流の堀内権太左衛門、覚弦房は宝蔵院流槍術の孤月斎牛蒡、亀甲屋は富田流の鐘巻治左衛門、からやは棒術の古蜘蛛暗軒。

また、御所の宝物殿から葵斬り七剣と呼ばれる七振りの一文字則宗を持ち出していることも知っていた。

そして、尾張自らも尾張柳生の巨勢大学頭守義を用意しているという。

吉宗を暗殺する前に、京に忍び込んでいる金杉惣三郎を始末しなければならない。これには順に当たることになった。最初の刺客は日置流の弓の名手で陰流の継承者・橘重籐。

惣三郎はようやくにして橘重籐との戦いに勝った。そして、そのまま行方を絶つことにした。大岡忠相との連絡も絶つということである。

そもそも、今回惣三郎が京に現れたのも大岡忠相の命によるものであった。またぞろ尾張の兄弟が動き始めたというのだ。尾張に悟られずに京に入ってもらいたいという。折しも金杉家では少々の面倒を抱えている。これを利用するのだという。

次の刺客は棒術の古蜘蛛暗軒。この戦いで惣三郎は剣者として迫り来る老いを痛感することになる。

まだ刺客には無住心剣流の西三条実里、宝蔵院流槍術の孤月斎牛蒡、富田流の鐘巻治左衛門、薩摩示現流の堀内権太左衛門、尾張柳生の巨勢大学頭守義らがいる。満身創痍の惣三郎、この戦いに生き残れるか…

本書について

佐伯泰英
刺客 密命・斬月剣
祥伝社文庫 約三四〇頁
江戸時代

目次

序章
第一章 王城暗雲
第二章 一息三射
第三章 風車変幻
第四章 血雨桑名
第五章 高遠悲恋
第六章 諏訪乱戦
終章

登場人物

松平伊賀守忠周…京都所司代
小堀紀信…禁裡御普請
常佐古治衛門
新庄孫七
志津
稲二郎…八百稲主
明珍慈光斎…刀鞘拵処
四辻季次…権中納言
橘重籐
紫暈禅師…瑞竜山太平興国南禅寺住職
堀内権太左衛門
亀甲屋右近
鐘巻治左衛門
敬礼門院藤原孝子
西三条実里
宝蔵院覚弦房…奈良興福寺塔頭
孤月斎牛蒡
からとや庄兵衛
古蜘蛛暗軒
徳川宗春
稲村左近…尾張藩用人
倉林鹿之助
巨勢大学頭守義
滝沢草伯…医者
近江左団次…研ぎ師
ひさ
扇五郎
絵島
さよ

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