佐伯泰英の「夏目影二郎始末旅 第3巻 破牢狩り」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第三弾

本作の副題は「夏目影二郎始末旅」。本書以後、シリーズはこのサブタイトルが付くことになる。

本書の一つの読みどころとしては、真犯人捜しがあげられると思う。

伝馬町の牢屋敷を抜け出した六人。五街道で繰り広げられる不正。その不正から得られた金額がおよそ十万両。

一体どのような方法でその十万両をためたのか。そして、この不正の中心となった人物とは誰なのか。さらには、影二郎の行く先々で待ちかまえる刺客の裏にいる人物は誰なのか。

意外な犯人に驚き、そして物語の中で度々登場するヒントに納得するラストである。

さて、おこまの武器の代名詞となる連発短銃。つつの礼次郎から阿米利加の古留戸(コルト)連発短銃を手に入れるのが本書である。

そして、おこまの母についても少し語られている。おこまの母は、影二郎の最愛の人だった萌と同じく苦界に身を沈めた女で、出は永の浪人暮らしの娘だったそうだ。それがどういういきさつで菱沼喜十郎と結ばれたのかは語られていない。その内語られるだろう。

このおこまだが、水嵐亭のおこまと名乗り、水芸を商売としているにもかかわらず、水の上の乗り物は大の苦手。それが、天竜川下りをさせられ、荒れた遠州灘を船で航海する羽目になる。気の毒なようなおかしいような…

本書では、国定忠治や蝮の幸助といった馴染みの面々も少し登場するところが嬉しい。

内容/あらすじ/ネタバレ

天保十年(一八三九)、一月。カラカラに乾いた空気。

伝馬町の牢屋敷に新入りが入ってきた。つつの礼五郎という無宿である。この礼五郎が牢名主にあることを耳打ちした。そして、牢名主の命の元、呼木の用意をすることになる。赤猫(火)が現れたらつかまえるためである。

果たして期待したとおりに火事が起き、牢も火事になる。牢火入りは切放しになる。三日後までに戻ればよい。

…その切放しの中で、牢名主らが殺された。そして、三日たっても戻ってこない連中がいた。その中に、御勘定所道中方伊丹主馬がいた。菱沼喜十郎はこの伊丹の行方に興味を抱いていた。

というのも、道中方で不正があったようなのだ。禁制品の密輸により年に何千何万両も没収品がある。それが十数年前よりわずかずつ減少しており、往時の五分の一程度になっている。

道中方の取締の成果とも考えられるが、物品の交易は今の方が断然多い。おかしい。このことについて精通しているのが伊丹主馬なのだ。

この伊丹を含め、戻ってこないのが六名いる。伊丹の他は、常方相左衛門、神谷無門、はつ、礼五郎、久六である。

…菱沼喜十郎は下諏訪宿へ向かうことになった。それは不正の事実を確かめるためである。どうやら、五街道の主立った宿場で不正が行われている形跡がある。その調べの一つとして下諏訪宿へ赴くのだ。

この矢先、伊丹主馬から父・秀信宛に、不正を自ら告白し、影二郎の追っ手を待っていると、挑発的な手紙があった。

影二郎は愛犬のあかを伴い、伊丹主馬を追い、江戸を出発した。

…伊丹の出身が金峰の里だという。影二郎はさっそくそこに向かう。が、金峰の里では、金峰の本家が付け火で燃えていた。伊丹主馬と激しい口論があったという。

そして、荷車を運ぶ一行を見たという情報が入る。伊丹主馬が隠し持つ金を運び出したのか。それを別の隠れ家に写そうというのだろう。

伊丹主馬らが行きそうな先がわかった、下諏訪宿伝馬問屋春見屋駿太郎、宇都宮宿伝馬問屋奥州屋武太夫、浜松宿伝馬問屋遠州屋五郎兵衛、内藤新宿薬種問屋金峰伊丹。

まずは、菱沼喜十郎もいる下諏訪宿へ向かうことにした。

本書について

佐伯泰英
破牢狩り
光文社文庫 約三九五頁
江戸時代

目次

第一話 赤猫伝馬町
第二話 武州十文字峠
第三話 風雲下諏訪宿
第四話 天竜血飛沫
第五話 遠州灘翻弄
第六話 金峰念仏踊り

登場人物

伊丹主馬
礼五郎
鼠の久六
常方相左衛門
神谷無門
はつ
飛脚の典助
金峰庸左衛門
春見屋駿太郎…下諏訪宿伝馬問屋
奥州屋武太夫…宇都宮宿伝馬問屋
遠州屋五郎兵衛…浜松宿伝馬問屋
秋水左衛門丞…大目付
近石十四郎
日傳…龍願寺住職
権十
蚊六
栄吉
追風の陣右衛門
車善七

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