佐伯泰英の「夏目影二郎始末旅 第13巻 忠治狩り」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第十三弾。前回から数ヶ月後。

国定忠治の子分は一人一人捕まり、とうとう忠治は一人で逃げ回る羽目になっている。しだいに追いつめられる忠治から、夏目影二郎に助けを求める遣いがやってくる。見慣れぬ男で六郷の参次と名乗った。

ここから話しは始まり、今回は雪深い道を、北へ北へと進み、ついには現在の秋田県の横手や角館までいくことになる。

しかも一直線で北へ向かわず、日光などによってから向かうことになるので、とんでもない道中となる。

この日光では六年ぶりの再会があった。シリーズ第一作「八州狩り」に登場した「みよ」である。思えば、この第一作で「あか」も影二郎に拾われたのだった。そして国定忠治との因縁もここから始まったのだ。

全ての因縁が始まった時と同じ登場人物を登場させた所に、本書に対する佐伯泰英氏の思いがあるのではないだろうか。

さて、元和元年(一六一五)に一国一城令が出されたが、本書で登場する横手城は原則に反する形で残された。領主は佐竹氏で、実質的には一国一城令を無視した形のようだ。大館城も一国一城令に反した形で残されたように書かれているが、実際はどうなのだろうか。

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内容/あらすじ/ネタバレ

天保十三年(一八四二)も残り一月。

夏目影二郎を忠治でも幸助でもない見知らぬ渡世人が待っていた。上州無宿の六郷の参次と名乗った。参次の実家は機織問屋で、昔若旦那と呼ばれたこともあったそうだ。参次は忠治の子分の日光の円蔵が捕まったといった。

参次は忠治からの遣いで来たという。豆州での貸しを取り立てたいという。忠治の遣いである証拠に忠治愛用の銀煙管を見せた。

中山道板橋宿の外れに夏目影二郎と愛犬あかの主従が現われた。この戸田の渡しから影二郎とあか、参次らは一気に進んだ。そしてほぼ一昼夜で高崎宿に着いた。

忠治が一人旅で奥州会津路へ逃げたという噂である、だが噂である。そこで影二郎は国定村の忠治の叔父・長岡の久左衛門に真相を問い合わせることにした。

久左衛門からの返事が来て、影二郎は日光へ向かうことにした。

幕府では来春に日光社参を行うことになっている。これを忠治らに邪魔されたくないので、八州廻りらが一生懸命に忠治を追っている。

この忠治について、ただの渡世人ではないと考えるものもいた。そうした一人に関東代官の羽倉外記がいる。

影二郎は忠治の死に際しては首を落す約定をした仲である。

影二郎らは雪の深くなった金精峠を進んだ。途中で久左衛門が手配してくれた山案内人の松蔵を加えて一行は雪山を進んでいった。

松吉は八州廻りと違う役人衆がいることを告げた。南町奉行鳥居忠耀の配下だという。

影二郎らを襲ってきたものがいる。連発が利く元込め式の南蛮鉄砲を持っている。赤装束をまとった連中は、なんと女忍びだった。

日光に着いた影二郎は旅籠の「いろは」にみよを訪ねた。そして六年ぶりにみよと再会を果たした。

この「いろは」に関東代官の羽倉外記が姿を現し、一刻半に及ぶ内談をした。

会津街道を影二郎と参次は馬で疾駆した。そして大内宿の本陣に宿泊した。その夜、参次はひっそりと本陣を抜け出した。

翌朝、影二郎は蝮の幸助と再会した。顔には疲労の色がこびりついていた。そこに若い八州廻りの園田泰之進というのが現われた。

園田は忠治の回状が信濃、越後、武蔵、下野国境に送られているといった。これは影二郎が羽倉外記と謀ってのことだった。

蝮の幸助は、今の忠治にはやり残したことが一つだけあるという。

影二郎は蝮の幸助に導かれて、羽州街道を北上した。蝮の幸助はさらに横手まで行かなければならないといった。その道中で再び赤装束が姿を現した。

途中で栗毛の大きな馬・アオを借りて一行は一気に前へ進んだ。そして菱沼喜十郎、おこまの親子と合流した。

関八州を逃げ回るのが難しくなっているのは確かだが、土地勘のある会津ならともかく、なぜ忠治はさらに北を目指したのかが、その動機がわからないでいた。

蝮の幸助は種明かしをした。忠治の女・おれいが忠治の子・千太郎を産んだのだ。それを蝮の幸助が出羽の横手に送り込んだのだ。忠治は一目子供に会いたいと雪の羽州街道を一人北へ旅していたのだ。

忠治が心配しているのは、妾のお徳のことだった。このことを知ったら何をしでかすかわからないからだ。

蝮の幸助が姿を消した。だが、じきに連絡があるだろう。影二郎らは予定通りに横手にはいることにした。

八州廻りの関畝四郎が影二郎に接してきた。なんと、六郷の参次は関の下にいるという。関も参次を信用していないようだ。そして、関は参次がある人物の刺客ではないかと推測していた。

忠治は角館にいた…。

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本書について

佐伯泰英
忠治狩り
光文社文庫 約三二〇頁
江戸時代

目次

第一章 円蔵の死
第二章 女忍び
第三章 雪の道中
第四章 峠越え
第五章 忠治死す

登場人物

夏目影二郎(暎二郎)
あか…愛犬
常磐豊後守秀信…父、大目付道中方
菱沼喜十郎…勘定奉行監察方
おこま…娘
国定忠治…上州の侠客、博打打ち
蝮の幸助…忠治の子分
おれい
千太郎
お徳…忠治の妾
長岡の久左衛門…忠治の叔父
松吉…山案内人
六郷の参次…渡世人
羽倉外記…関東代官
園田泰之進…八州廻り
関畝四郎…八州廻り
鳥居忠耀(耀蔵)…南町奉行
辻平忠実…内与力
谺金三郎
みよ
光太郎…みよの夫
幹右衛門…「いろは」の主
芳三郎
おより
弘蔵…紅花問屋の最上屋喜左衛門の番頭
角澄…若松寺の納所坊主
アオ…馬

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