佐伯泰英の「居眠り磐音江戸双紙 第18巻 捨雛ノ川」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第十八弾。

本作でも主要な人物たちの身辺の変化が続く。

まずは、おそめ。そろそろ今津屋での奉公も一年になろうとし、おそめの行く先を決めなくてはならなくなる。ここ数作では磐音やおこんらの近いところにいて、一生懸命働く姿が描かれていたおそめだけに、今津屋からいなくなるのには一抹の寂しさもある。

そうかと思えば、めでたい話。

本作でスポットライトを浴びるのは佐々木道場の住み込み師範・本多鐘四郎。これに縁談が持ち上がる。ひょんなことから持ち上がった縁談で、めったにない程いい縁談だ。

この本多鐘四郎の出自なども紹介され、悲しい過去が明かされる。そして、本作ではこの鐘四郎の幼い頃の恋もクローズアップされる。

このめでたい話は次作以降でもしばらく続く予感がある。

もちろん、最もめでたいのは磐音とおこんの祝言だろが、すぐに行われそうにない。その前に、もう一人か二人にめでたい話が舞い込みそうだ。

残っているのは、品川柳次郎、木下一郎太あたりか。それとも意外な人物に舞い込むか?

久々の登場という感があるのが、笹塚孫一。

「重ねて申しますが、それがしは南町の配下ではございませぬ」

磐音のこの台詞を聞くと、居眠り磐音江戸双紙シリーズを読んでいるような気分がして、とてもスッキリするのは私だけだろうか。

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内容/あらすじ/ネタバレ

安永五年(一七七六)も残り数日。磐音とおこんが上州法師の湯から戻って一月が過ぎようとしていた。

佐々木道場の改築工事現場から古い甕が二つ現れた。小さい甕には古い銭がはいっており、大きい甕には大小二振りの太刀がはいっていた。

長いこと湿り気を帯びたところに入っていたため錆び付いていたが、豪奢な作りのものである。だが、これには切支丹の印である十字架があった。

おそめの奉公がそろそろ一年経とうとしていた。今津屋ではおそめの奉公を気に入り、永年奉公にしたいと考えていたが、おそめとの約束がある。磐音とおこんがおそめの考えを聞くことになった。果たしておそめは苦しくても一人前の職人になりたいという。

磐音と品川柳次郎、竹村武左衛門が年越しの蕎麦を地蔵親分のところで食べようということになり、地蔵の親分のところに行くと、事件が待っていた。亀戸村の不動院で大賭博が開帳されるというのだ。それを一網打尽にするという。笹塚孫一自らの陣頭指揮だ。

この現場に行く時に不測の事態が起きた。竹村武左衛門が賭場に入り込んだというのだ。

磐音は今津屋の支配人・和七につきそって旗本池田左衛門尉邸に返金を受け取りにいくことになった。この度遠国奉行の山田奉行に就任することになり、ことのついでに借りた金を返すというのだ。だが、この話はちと訝しい。

年が明けて、佐々木道場での恒例の行事も終わった。そこで磐音は師範の本多鐘四郎らと湯島天神から神田明神にお参りした。そこでのこと、酒に酔った若侍が武家娘に狼藉をしようとしていた。助け出たのが鐘四郎だった。

後日、この娘・お市と父親の西の丸御納戸組頭・依田新左衛門が礼を言いに佐々木道場を訪ねてきた。

この時の様子から、依田新左衛門は鐘四郎を婿養子にと考えているのではないかと推測された。果たしてそうであった。

お市との縁談の前に、鐘四郎は気持ちに区切りをつけたいことがあった。それは昔に鐘四郎が思慕していたお千代に一度会ってみたいということだ。これに磐音も同行した。

だが、お千代は鐘四郎の想像していなかった生活をしていた。

おそめが新たな奉公へと準備している頃。

木下一郎太が奇妙な殺しが三件ばかり続いたという。いずれも名うての剣客で、刀傷で殺されたものではないという。その現場を見た磐音にはある推測がたっていた。

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本書について

佐伯泰英
捨雛ノ川
居眠り磐音 江戸双紙18
双葉文庫 約三四〇頁
江戸時代

目次

第一章 土中の甕
第二章 おこぼれ侍
第三章 鐘四郎の恋
第四章 履と剣
第五章 面影橋の蕾桜

登場人物

一膳…座頭
早田彩蔵…剣客
池田左衛門尉…旗本
紀子…奥方
白鳥達蔵…用人
谷口一八…林崎夢想流
副賀常太郎…柳生新陰流
依田新左衛門…西の丸御納戸組頭
お市…娘
後藤助太郎
お千代
大五郎
偉陽明
矢平次
おゆき
おはつ…おそめの妹

シリーズ一覧

  1. 陽炎ノ辻
  2. 寒雷ノ坂
  3. 花芒ノ海
  4. 雪華ノ里
  5. 龍天ノ門
  6. 雨降ノ山
  7. 狐火ノ杜
  8. 朔風ノ岸
  9. 遠霞ノ峠
  10. 朝虹ノ島
  11. 無月ノ橋
  12. 探梅ノ家
  13. 残花ノ庭
  14. 夏燕ノ道
  15. 驟雨ノ町
  16. 螢火ノ宿
  17. 紅椿ノ谷
  18. 捨雛ノ川
  19. 梅雨ノ蝶
  20. 野分ノ灘
  21. 鯖雲ノ城
  22. 荒海ノ津
  23. 万両ノ雪
  24. 朧夜ノ桜
  25. 白桐ノ夢
  26. 紅花ノ邨
  27. 石榴ノ蠅
  28. 照葉ノ露
  29. 冬桜ノ雀
  30. 侘助ノ白
  31. 更衣ノ鷹上
  32. 更衣ノ鷹下
  33. 孤愁ノ春
  34. 尾張ノ夏
  35. 姥捨ノ郷
  36. 紀伊ノ変
  37. 一矢ノ秋
  38. 東雲ノ空
  39. 秋思ノ人
  40. 春霞ノ乱
  41. 散華ノ刻
  42. 木槿ノ賦
  43. 徒然ノ冬
  44. 湯島ノ罠
  45. 空蟬ノ念
  46. 弓張ノ月
  47. 失意ノ方
  48. 白鶴ノ紅
  49. 意次ノ妄
  50. 竹屋ノ渡
  51. 旅立ノ朝(完)
  52. 「居眠り磐音江戸双紙」読本
  53. 読み切り中編「跡継ぎ」
  54. 居眠り磐音江戸双紙帰着準備号
  55. 読みきり中編「橋の上」(『居眠り磐音江戸双紙』青春編)
  56. 吉田版「居眠り磐音」江戸地図磐音が歩いた江戸の町
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