佐伯泰英の「古着屋総兵衛影始末 第4巻 停止!」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

シリーズ第四弾。前作で「影」との対決に終止符を打った総兵衛ら鳶沢一族。第二の「影」の出現により今まで通りに影の旗本の役目を果たすことになる。

この第二の「影」が早速登場するのかと思いきや、本作では登場しない。とはいっても、第二の「影」らしい人物は登場するが…。

第二の「影」からの指示がない中で始まる本作は、前作までの延長線であるのと同時に、これまでの物語に終止符を打つ意味合いが強い。つまり、古着屋総兵衛シリーズの第一弾終了といってもいい。

本作で再び女武芸者の深沢美雪が登場する。播磨赤穂藩の藩主浅野内匠頭長矩が高家筆頭吉良上野介義央を斬りつけるという事件の折りに、総兵衛と対決しコテンパンにやられた美雪、再び修行を経て総兵衛と対決することを望んで江戸に舞い戻ってきたのだ。

この深沢美雪と総兵衛は再度対決することになり、この対決を経て深沢美雪のポジショニングに変化が起き、次作以降への展開につながる。
さて、本作の話のスタートとなる初代市川団十郎の刺殺事件。生島半六に殺されるというものであるが、実際にあった事件である。

この事件の真相は分かっていないようだが、一説には生島半六が自身の子が団十郎に虐待されたのを恨んでのことといわれている。この点は本作でも触れられているが、この説を採用せずに別の「真相」をストーリーに取り込んでいる。佐伯泰英がしかけた「真相」とは一体何なのか?

内容/あらすじ/ネタバレ

宝永元年(一七〇四)。総兵衛は市川団十郎が招いてくれた舞台を楽しんでいた。この席に女武芸者・深沢美雪の姿を総兵衛は見つけた。

団十郎が総兵衛に相談があるという。だが、その矢先団十郎が役者仲間の生島半六に刺し殺されてしまう。結局団十郎が何を相談したかったのが分からないままに終わった…。

中村勘三郎が総兵衛を訪ねてきた。そして、団十郎を刺し殺した生島半六が自裁したことを告げた。同時に、江戸の町で流れる噂を総兵衛に教えた。それは、大黒屋総兵衛は裏の貌をもっており、城中のどこぞと親密な関係にあるというものであった。そして、団十郎の一件で、以前に団十郎宛の手紙が届き、それに小裂がついており、それを見た団十郎が愕然とした表情を見せたという。

笠蔵は裏の貌を持つという噂の出所を気にした。また柳沢保明との対決が始まるというのか。

大黒屋に好意的な南町奉行松前伊豆守は去り、敵対する北町奉行の保田越前守が残っていた。だが、この保田も町奉行を辞される噂が城中で流れているという。

団十郎に手紙を届けてきたのは京訛りのある美人の町娘だったという。おかしなのは、その娘が海産物問屋の敦賀屋に入り、出てきた時には武家の奥方のような格好をしていたという。

上方で買い付けてきたはずの河内木綿が大黒屋に入らずに巷に大量に出回っているのを作次郎が見つけてきた。運んできたのは駿府丸のはずである。嫌な予感がする。

この河内木綿を売り歩いていたのはつやというあだっぽい女だという。

京都町奉行職を勤め上げた能勢式部大夫が戻ってきて、江戸の町奉行に出世するという噂があるらしい。この能勢が京から五百鈴という女を連れてきている。

江川屋彦左衛門の内儀・崇子が大黒屋に立ち寄り、商いが傾いているというのに近頃彦左衛門は女の所に入り浸っているという。女は京の女だという。

その一方で、町奉行を辞するとされている保田は退任する前に心残りの大掃除をするといっていたそうだ。

北町奉行所の諸問屋組合掛与力久本峯一郎の名で大黒屋総兵衛の呼び出しの差し紙がきた。久本は言いがかりをつけて罪を大黒屋になすりつけるつもりなのだ。

そしてそのまま総兵衛と笠蔵は仮牢に押し込められてしまい、総兵衛は執拗な拷問を受ける。同時に大黒屋には商停止とされた。

残された信之助らは反撃の機会をうかがう…。

信之助らが反撃の糸口を見つける中で、北町奉行の保田は外に妾を囲っているという話を仕入れた。しかもあろうことか若い同心の女房だという。

一方で団十郎刺殺事件に絡んでの新たな情報ももたらされた。

本書について

佐伯泰英
停止!古着屋総兵衛影始末
徳間文庫 約四〇五頁
江戸時代

目次

序章 刺殺
第一章 包囲
第二章 危難
第三章 報復
第四章 拷問
第五章 新生
第六章 決闘
終章 荒事

登場人物

市川団十郎…初代
中村勘三郎
生島半六
上総屋左古八
佃屋桃右衛門
京都屋…袋物屋
敦賀屋
つや
能勢式部太夫…旗本
五百鈴
千登勢
江川屋彦左衛門
崇子
佐総…息子
佐蔵…番頭
久本峯一郎…与力
杉野武三…小人目付
佐々木克乗…同心
沙代
ひな…猫
堀内伝蔵
統五郎…船大工の棟梁
六角朝純…高家

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