佐伯泰英の「古着屋総兵衛影始末 第11巻 帰還!」を読んだ感想とあらすじ

この記事は約3分で読めます。

覚書/感想/コメント

シリーズ第十一弾。このシリーズの最終巻である。

あとがきでは第一部の幕を下ろすとなっているので、六代将軍徳川家宣の時代の間部詮房、新井白石、荻原重秀といったところを敵役にして新シリーズが出てくるかもしれない。

六代目総兵衛の続きを書くのもイイかもしれないが、別の方法もあると思う。それは、六代目以前の歴代総兵衛の活躍を描いてみるというものである。

シリーズの最初の方で、鳶沢一族が「影」の呼び出しを受け、その影の仕事をしたのは十数度というくだりがあった。

それを書いてみるのも面白いと思う。というより、むしろ読んでみたい。

また、本シリーズでは一切戦闘シーンでの活躍のなかった笠蔵や分家の次郎兵衛の若い頃の活躍というのも読んでみたい。これは外伝として書いてみてもいいのではないか。

このシリーズの「元々」の設定(終盤では海洋冒険小説となってしまった古着屋総兵衛影始末シリーズであるが…)自体は結構好きなので、六代目総兵衛に限らず、「鳶沢一族シリーズ」というかたちでのシリーズが続くのを楽しみにしたい。

さて、最終巻となる本作であるが、長い航海を終え江戸に戻ってきた総兵衛一行。そこに待ち受けているのは柳沢吉保との最後の戦いであった。

それにしても、無理矢理にシリーズを終わらせた感じが強い。

内容/あらすじ/ネタバレ

安永五年(一七〇八)の年の暮れ、琉球の首里に一隻の大型帆船が入港しようとしていた。一年以上に海賊船カディス号に襲われ消息を絶った大黒丸である。これを迎えた信之助とおきぬは信じられない思いであった。

ここで総兵衛は五代将軍綱吉が重い病に倒れていることを知る。死去となると寵愛を受けた柳沢吉保の権勢も衰えることになるだろう。

琉球を事実上支配している薩摩の手先が大黒丸を狙っている可能性がある。薩摩が抜け荷のための船団を定期的に動かしている。十文字船団と呼ばれているのだが、これに組み込むつもりなのではないかと信之助はいう。十文字船団の旗艦は大隅丸で砲備もされている。

総兵衛は滞在の間、尚貞王の招きも受けた。そして、いよいよ相州浦郷村深浦湾を出て一年半余の航海を終えるため、琉球を出発することにした。新たな乗組員が増えた。琉球の若者、池城安則と幸地朝保だ。琉球と強い結びつきを持つことを大事に考えた総兵衛の判断でもある。
この出発の際、総兵衛は海外を見てきた経験から鳶沢一族の商いと軍備を一新することにした。

大黒丸は江戸に向かって出発をしたが、行く手には薩摩の十文字船団が待ちかまえていた…。

江戸では柳沢家の屋敷に甲府から何人もの侍が来ていることがわかった。そして、その慌ただしさの中、俄に綱吉の容態が悪化して死去した。柳沢吉保がまだ次の政権に完全に移行する直前の今の内に保身のための策を打って出る可能性がある。宿敵鳶沢一族が抱えている財産を狙ってくる可能性がある。

そうした不安を感じている中、美雪と笠蔵の眼に信じられない姿が飛び込んできた。それは総兵衛らの姿であった。

柳沢吉保が甲府から呼び寄せたのは武川衆であった。

柳沢家では大黒丸が戻ってきたことをいち早く突き止め、これを強奪するつもりのようである。大黒丸襲撃の部隊を率いるのは柳沢吉保の次男・柳沢長暢と軍師・影山陣斎

柳沢吉保との最後の戦いが始まろうとしていた…。

本書について

佐伯泰英
帰還!古着屋総兵衛影始末11
徳間文庫 約三七五頁
江戸時代

目次

序章
第一章 首里
第二章 薩摩
第三章 奄美
第四章 深浦
第五章 富沢
終章

登場人物

信之助
おきぬ
琉太郎…信之助とおきぬの息子
栄次…駒吉の弟
又兵衛
曲詮三…薩摩の琉球在番奉行
浜村主水
伊集院五郎八
尚貞王
比嘉具高…湊親方奉行
池城安則
幸地朝保
柳沢長暢…柳沢吉保次男
影山陣斎…軍師
柿沢伊賀之助
歌文字
おたつ

タイトルとURLをコピーしました