南原幹雄の「謀将-山本勘助」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

山本勘助はその存否の論議はあるが、通常川中島の決戦と呼ばれる第四次川中島の戦いで、啄木鳥戦法を見破られた責任を取って戦いに身を投じて死んだとされている。

本書で言えば、ちょうど真ん中がこの川中島の決戦である。

てっきり、後半はこの川中島の合戦を詳細に描き、そして、その後の武田家を勘助の家来である猿丸らの目を通して描かれるものだとばかり思っていた。

ところがドッコイ、驚天動地の展開となる。後半部分が始まってすぐに、エッ!?と驚かされたのだ。

ここに来て、ようやく、納得のいく部分があった。というのは、前半部分で、何カ所か不自然に感じていた部分があったのだ。

また、目次の最後に本能寺の変があるのも非常に不自然に感じていた。一体どうなるのだろうかと思っていたら、後半からトンデモナイ展開となる。

前半で特に不自然だったのは、吉法師と名乗っていた頃の織田信長が登場することである。従来の山本勘助像では何の接点もないので、登場するはずがない人物である。それが、なぜ登場するのか?

また、前半部分で、山本勘助が天下を取れる可能性のある人物を二、三人だと述べている。一人は武田晴信で、もう一人は織田信長であることを示唆している。

だが、もう一人は誰なのか?これは述べられていない。後半になってその人物が誰だか明かされる。

この辺りの不自然な部分が伏線となり、後半へとつながっていく。

さて、本書での山本勘助は兵道、軍法、忍法、占法、城取り、陣取りの名手となっている。ここでいう城取りとは築城のことを指す。

軍師であるから兵道、軍法の名手であるのは、頷ける。築城や占いも、よいだろう。だが、忍法の名人として設定されているのが、本書の特徴であろうかと思う。だから、本書の山本勘助は、軍師として描かれ、忍者としても描かれている。

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内容/あらすじ/ネタバレ

武田家の重臣・板垣駿河守信形が前国主の武田信虎のご機嫌伺いをかねて今川家から戻ってくる途中、刺客に襲われた。

その危急の場を救ったのは、容貌魁偉なる人物で、左目を黒い眼帯で覆った隻眼の人物だった。その人物は山本勘助といい、九年もの間今川家の食客となりながら、仕官できないでいる人物である。

だが、その実、兵道、軍法、忍法、占法、城取り、陣取りの名手である。

後日、板垣信形は今川家を突然に訪れ、山本勘助を武田家家臣にしたいと申し出る。この申し出を庵原忠房と太原雪斎は承諾した。

だが、二人には一抹の不安がある。山本勘助は今川家に仕官できないと世間では目されているが、その裏では太原雪斎の耳となり諸国の情報を集めているのである。

今度も武田家の内情を知るのにはうってつけではあるが、太原雪斎が心配しているのはミイラ取りがミイラになるのではないかということである。

武田晴信はこの時二十三歳の若い国主だった。初の御目見得の席で勘助は晴信から今後の武田家がどこから攻めればよいかを問われる。勘助は迷わず信州だと答えた。

勘助は晴信ならば天下を取れるかもしれないと感じるようになっていた。そして、自分が今川家の耳であることを忘れるようになる。

晴信は諏訪を平定したが、諏訪の状勢はよろしくない。晴信が勘助に相談すると、諏訪の姫・千穂姫の扱い次第だと答える。

晴信は千穂姫を側室とすることにした。その交渉に勘助を派遣した。これで、ひとまず落ち着く気配をみせた。

勘助は天下に覇を唱える可能性のある人物を、二、三人と見ていた。晴信は間違いなくこれに入る。気になるのは以前にあったことのある吉法師(後の織田信長)である。

これがうつけ者なのか、将来の大器なのか、再び会いに行くことにした。

信州での武田家の最大の敵となったのは村上義清である。村上義清との戦いの中では、勘助の恩人でもある板垣信形を失った。

だが、激闘の末、信州への足場を確かなものとしつつある。この信州攻略の中で活躍をみせたのが海野小次郎こと真田幸隆であった。勘助は真田幸隆を好きになれなかった。

村上義清の力を削いだ武田家が直面するのは、越後の虎・長尾景虎(後の上杉謙信)である。この景虎との対決が始まった。

最初の川中島の戦いは、両者とも相手の力量をはかるためのものであり、激戦とはならなかった。

二回目、三回目も激戦とはならずに対峙している。そして、勘助が天下の分け目の合戦と考えたのが第四回目の川中島の決戦であった。

この戦いで勝った方が、天下を取ると想定したのである。勘助は晴信に啄木鳥戦法を進言する…。

戦いは激戦の模様を呈してきた。前半は武田の啄木鳥戦法を見破った上杉軍の優勢。後半は盛り返した武田家の優勢。だが、武田家はこの戦いで、武田信繁を筆頭とする将を失っている。

勘助もこの激戦の中に身を投じた。死んだかに見えた。だが、勘助は瀕死の重傷を負いながら、生き残っていた。

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本書について

南原幹雄
謀将 山本勘助
新潮文庫 計約七七〇頁
戦国時代 主人公:山本勘助

目次

武田の使者
お目見得
佐和
諏訪の姫
相撲
城取り
上田原の合戦
風林火山
戸石崩れ
越後の虎
刺客
妙高山
上洛作戦
風雲桶狭間
天下分け目
川中島の決戦
林泉寺の少年
生き残った男たち
信濃巫女
上洛準備
清水寺
三方ヶ原の戦い
錫杖と如意
長篠の合戦
手取川の合戦
一睡の夢
御館の乱
高野聖
本能寺の変

登場人物

山本勘助(道鬼)
猿丸(猿田兼丸)
大仏庄左衛門
諫早佐五郎
疾太…忍犬
武田晴信(信玄)
板垣駿河守信形
佐和…信形の娘
千穂姫
馬場信春
真田幸隆(一徳斎)
太原雪斎…今川家重臣
庵原忠房…今川家重臣
長尾景虎(上杉謙信)
狭霧のお柳
織田信長(吉法師)

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