北方謙三の「三国志読本」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

「北方三国志」をより楽しむための副読本である。

第一章で北方謙三のインタビュー。第二章で小説の舞台背景説明。第三章、第四章はキーワードでの分析や人物紹介。第五章では単行本の付録として制作された「三国志通信」を再録。

【ピックアップ】

三国志を書くに当たり、取材旅行をして、参考になったのは白帝城、五丈原、蜀の桟道くらいだったようだ。あとは全く参考にならなかったという。

当時と地形が大幅に変ってしまっているのだろうから、考えてみれば当然のことだ。

三国志を書くに当たり、他の作家の三国志は一切読まないようにしたそうだ。そして、三国志演義も読まないようにしたという。そのかわり、「正史三国志」だけを見つめる作業をして書いたという。

だから、桃園の契りなどがなくなっているのだ。正史三国志にはない記述だからである。

馬超については、曹操に負けてから、正史のなかで消えてしまっているので、逆に魅力的だったようだ。作家としての裁量が生きる人物ということであろう。

馬超と同系列に位置する呂布や張飛といった登場人物には苦労したようだ。とくにその死に様が大変だったようである。

三国志の中で本当の英雄は曹操であると思っていると語っている。

対する、劉備に関しては、泣くのが許せない、気絶するのが許せないという。いかにも北方謙三らしい好みである。

また、この劉備を中心とした義兄弟の関係については、三人で一人という関係性を強く意識していたようだ。

だから、一人が欠けただけでバランスが崩れる。物語でも、その部分が強くでている。関羽が死んでしまうと、張飛がおかしな死に方をし、劉備は歯止めが効かなくなり突っ走ってしまう。

諸葛亮については、日本で誤解されすぎだと思っている。内政には優れていたが、運がなく、軍事的才能がなかったというのが北方謙三の見解である。

他に思い入れのある人物として、許隍嘯竰」遼を挙げている。

そして、最も思い入れのある人物が、呂布だそうだ。確かに北方三国志の呂布はかっこいい。

さて、「正史三国志」を主体に書かれている本書であるが、この「正史」とは国家に「正当な歴史」として認定されたものであり、二十四史ある。陳寿が著した「三国志」は二十四史の一つで、「三国志演義」と区別して「正史三国志」と呼ばれる。さらに、宋代に歴史家裴松之が注釈を加えて現在に至っている。

一方、民間で編まれた歴史書を外史、民間伝承などを集めたものが稗史と呼ばれる。民間伝承や芝居の中で発展していった三国志は、やがて明代になって劇作家羅貫中によって「三国志演義」としてまとめられる。

日本では、この「三国志演義」が戦国時代頃から読まれていたようだが、人口に膾炙するようになったのは、江戸の元禄時代のようだ。

その後、様々な小説、戯曲、研究書が発表されたが、現代の決定版となったのが、日本人好みに三国志演義をアレンジした吉川英治による「三国志」である。

北方謙三による「三国志」は「正史三国志」の系統に属するので、吉川英治の「三国志」とは系譜が異なることになる。

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本書について

三国志読本
ハルキ文庫 約二六〇頁

目次

はじめに-「北方三国志」世界への手引き
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
あとがきに代えて-その後の三国志

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