風野真知雄の「大江戸定年組 第5巻 金狐の首」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

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覚書/感想/コメント

夏木権之助の足取りもしっかりとしてきている。七福仁左衛門も五十六になってできた息子が可愛くて仕方がないらしい。あとは、家を出てしまった藤村慎三郎の妻・加代と仁左衛門の倅・鯉右衛門の女房・おちさが戻ってくれば平和になる。

だが、シリーズは次作から緊迫しそうな気配が濃厚である。げむげむを追いかけている鮫蔵。その鮫蔵に危機が迫っている。

あいつがげむげむの教祖だったなんて…。鮫蔵すら予想していなかったげむげむの教祖とは一体誰なのか?

いよいよ初秋亭の三人組がげむげむと対峙することになりそうだ。

それにしても、このシリーズは設定がよく作り込まれている。感心してしまう。

本作に登場する辰巳芸者。江戸の中心から深川を見ると辰巳(東南)の方角にあるため、深川の芸者を「辰巳」と呼んだりしたようだ。辰巳芸者は男の名を付け、男っぽい言葉づかいをして、黒の羽織、おきゃんと呼ばれた気っ風のよさを売りにしていたそうだ。

他の小説でもお目にかかる「小便組」。川柳に「小便をして逃げるのは妾と蝉」と読まれたそうで、一時流行った詐欺のようである。支度金をもらって妾にはいり、夜中にワザと寝小便をする。旦那は支度金を諦めて解雇する。

だが、次に別の旦那を見つけて、同じことを繰り返す。

さて、藤村慎三郎の倅・康四郎だが、新しい女ができたようである。だが、これが問題がある。以前に夏木をきつくふった芸者の小助のようなのだ。それが知れたら、夏木が再び倒れてしまうかもしれない…

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内容/あらすじ/ネタバレ

十日ほど前に藤村慎三郎の妻・加代が役宅を出ていった。書き置きには「いささか我慢の限界に達しましたので、この家から出ていきます」とあった。同じように、七福仁左衛門の倅鯉右衛門の嫁・おちさがいなくなったままである。

そうした中、初秋亭に客が来た。隣人の嫌がらせに迷惑しているのだという。菊代と名乗る女性が言うには、嫌いな犬を飼い始め、ぴょんぴょん跳ねては地面をゆらし、生姜を煮て、妖怪まで登場するのだとか。

これが菊代の嫌いなものすべてで、嫌いなものがすべて隣で起きるなんておかしいというのだ。しかも、この嫌いなものをすべて知っている人物は思い当たらないという。

菊代は先月まで千代田のお城の大奥で働いており、宿下がりをしてきたのだという。隣は儒学者の林仁々斎というらしい。

さっそく、藤村と夏木の二人で訪ねることにした。どうやら、林を動かしているのは一人ではなさそうだ。そこで、藤村が菊代の家を見張ることにした。

すると、怪しい男がやってきた。だが、藤村は男を追いかけられなかった。びっしょり汗をかいている。菊代はいったい何を抱えて大奥から出てきたのだ…。

夏木権之助の三男の洋蔵が骨董を学ぶために京都に行くことになった。見送りには夏木権之助の実兄・黒川団之丞も来ており、帰り際相談があるといって別れた。

相談とはこうだ。深川の岡場所の牛太郎が行ってもいないのに催促に来るというのだ。飲み屋には入ったことがあるが、岡場所には上がっていないという。

牛太郎は源吉というらしい。源吉が言うには、黒川団之丞が遊女のお染めを気に入ったらしく、落籍してもいいとまで言っていたらしい。勘定の催促ではなく、お染めに会ってやってくれと言うのだ。黒川団之丞は最近飲むと記憶を無くすことがあるらしく、その辺の自信がない。
そこで黒川団之丞とお染めを会わせてみることにした。

加代は志乃に勧められて、夏木家の西外れにある部屋で起居している。夏木権之助は全く知らない。志乃が言うには、夏木の知っている部屋はせいぜい五つくらいだろうという。だから見つかる気遣いはないというのだ。そして、男たちに対抗して自分たちも隠れ家を作ろうという。

深川きっての売れっ子芸者だった佐助が依頼主となった。最近、佐助は木場の大旦那の三原屋角兵衛に口説かれて落ちたはずだった。だが、たった一晩でお払い箱になったという。その理由が知りたいという。
藤村が三原屋に聞きに行っても理由を教えてくれない。そこで、佐助に再び思い当たることがないかと聞いてみると、もしかして、あれをやったかな、という。酔っ払うとやる下らない芸だそうだ。

その頃、志乃と加代が七福仁左衛門より早くおちさを見つけ出していた。そして、おちさも夏木家に世話になることになった。女三人はおちさが考案した匂い袋を作り始めた。おちさの洒落っけに、加代の匂いの趣味の良さが加わり、志乃が豪華さを演出していた。

藤村の倅・康四郎に新しい女ができたらしいが、これがまずい。夏木権之助をふった芸者の小助が相手のようなのだ。

「頑丈屋」という錠前屋をやっている代吉がやってきて、商売を初めて十年目の節目に、世話になった人を招いて酒宴を開くことにしたいのだが、そこでの挨拶に不安があるのだという。初秋亭の三人は代吉の挨拶の稽古に付き合うことにした。

代吉の招く客に中に若狭組の棟梁と鍵清がいるらしい。若狭組の名を聞いて藤村はあることを思い出していた。そこで、今度若狭組の仕事があるという場所に出向いてみることにした。

七福仁左衛門が質屋「我楽多堂」あるじ・雅兵衛に誘われて怪しげな見世物を見に行った。艶めかしげな巫女が出てきたかと思ったら、その巫女が剣を振り、男の首にたたきつけられ、首がごろんと落ちた。

一目散に逃げたが、雅兵衛がこわごわながら忘れものを取りに行ったら、誰もいないし、死体は消え、血のあとさえなかった。

この話をすると藤村と夏木は人形だろうというが、では一体何のためにそんなことをしたのか…。

その矢先、仁左衛門が行った見世物に行ったという質屋の上州屋主・若右衛門がやってきた。何やら不気味な脅かされ方をしているらしい。そして、文が届き、そこには金狐の首を渡せと書かれていた。

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本書について

風野真知雄
大江戸定年組5 金狐の首
二見文庫 約二六〇頁
江戸時代

目次

第一話 大奥の闇
第二話 黄昏の夢
第三話 意地の袋
第四話 人生の鍵
第五話 金狐の首

登場人物

藤村慎三郎…元北町奉行所定町回り同心
夏木権之助…旗本の隠居
七福仁左衛門…町人の隠居
藤村康四郎…倅
おさと…仁左衛門の若い女房
鯉右衛門…仁左衛門の倅
おちさ…七福仁左衛門の息子・鯉右衛門の嫁
志乃…夏木権之助の女房
洋蔵…夏木の三男
小助…深川芸者
入江かな女…俳諧の師匠
安治…「海の牙」の主
鮫蔵…深川佐賀町の岡っ引き
長助…下っ引き
菊代…元大奥の女中
林仁々斎…儒学者
黒川団之丞…夏木権之助の実兄
源吉…牛太郎
お染め…遊女
佐助…辰巳芸者
三原屋角兵衛…木場の旦那
代吉…錠前屋「頑丈屋」
若狭組の棟梁
鍵清
雅兵衛…質屋「我楽多堂」あるじ
若右衛門…質屋「上州屋」

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