井上靖の「楼蘭」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

西域ものが中心となっている短編集。

「楼蘭」は1900年にスウェーデンの冒険家スウェン・ヘディンの「さまよえる湖」からヒントを得た題材。楼蘭はスウェン・ヘディンによって発見された都市である。

だが、楼蘭が楼蘭として確定するまで色んな議論が起きた。というのも楼蘭の近くにはロブ湖があるとされているのだが、肝心の湖がない。

スウェン・ヘディンが見つけたのは本当に楼蘭なのか。これによってロブ湖の謎が浮上することになった。

「狼災記」は中島敦の「山月記」を彷彿させる内容。

内容/あらすじ/ネタバレ

楼蘭

西域にある小国・楼蘭が歴史上に名を現わすのは、紀元前百二、三十年頃から紀元前七十七年までである。わずか五十年ほどのことである。楼蘭の紹介者は漢の武帝時代の張騫である。

武帝が張騫を派遣したのは匈奴を撃つために大月氏と協力するためである。その途中に楼蘭があったのである。

楼蘭も匈奴の脅威に怯えている国である。これに加えて漢との関係ができると、どちらに組みするかで楼蘭は揺れ始める。

洪水

後漢の献帝の時代に、索ばいは敦煌の兵を率いて新しい軍事植民地を建設するために出発した。索ばいは途中でアシャ族の女を自分の側に置くことにした。

匈奴の兵がクム河河畔に集結している情報を得る。索ばいは匈奴の兵を屠るために進軍するが、河は増水していた。索ばいはクム河と戦うこととに決めた。

異域の人

班超が匈奴討伐軍に参加して西域に出発したのは四十二の時だった。

班超は西域で匈奴と戦い、勝利を収め、そして徐々に名声を高めていく。

狼災記

陸沈康の率いる部隊は故郷に戻ることになった。その途中で陸沈康はある女と通じることになった。

女は言う。我々の種族は、他種族のものと七夜契ると狼になると言われている。今夜は六夜である。

羅刹女国

宝州に属する小島に羅刹女が棲んでいるという話がある。

ある年、その島にソウカラを首長とする船が難破した。羅刹女たちはそれを見ると、船へ向かった。向かう途中で羅刹女たちは美女に変わっていった。羅刹女たちは千日人間の女の姿を変えないでいると、人間界の女になるといわれていた。

僧伽羅国縁起

南印度の小さな王国の姫が隣国に嫁ぐ途中で虎に襲われた。姫はそのまま虎に捕われ、そして、虎との間に一男一女を設ける。

子供達はある時突然に人語を理解するようになり、母になぜ我々の父は虎なのかを問いただす。

官者中行説

漢の文帝は匈奴に嫁がせる娘の付き添いとして、官者の中行説が選んだ。匈奴に着いてからの中行説は特に何かをするわけではなかった。

だが、ある年に漢からの使者がやって来た時に、中行説は漢の使者と対峙することになった。これ以後、徐々に中行説は忙しくなっていった。

褒じの笑い

褒じが幽王の後宮に上がった年、不吉な予言がなされていた。それは、十年以内に周は滅びるというものであった。

後宮に上がった褒じは幽王の寵愛を受けたが、笑うことのない女だった。これを笑わさんがために幽王は様々なことをするが…

幽鬼

明智光秀は主君・信長を討つかどうかを迷っていた。というのも、討つのは容易いがその後の展望がよく見えなかったからである。

その光秀は波多野氏の武士の姿を見た。だが、これは光秀にしか見えない。

補陀落渡海記

補陀落寺の住職・金光坊は六十一歳になろうとしていた。六十一歳になると補陀落渡海するというのが、この数代の住職で続いていた。当然金光坊も補陀落渡海をするのだと皆は思っていた。

小磐梯

田畑測量のために檜原へ分け入った。途中で気味の悪い女がぶつぶつ呟いていた。帰れ、帰れ、この先は行かない方が身のためだ。

後になってみると、この女の言うことはあたっていた。小磐梯が噴火によって消えてしまったのだ。

北の駅路

私は未知の人から長い題名の書物を送られてきた。この未知の人は手紙をつけて寄越していた。

本書について

井上靖
楼蘭
新潮文庫 約三二五頁
前漢 紀元前1世紀頃=「楼蘭」ほか

目次

楼蘭
洪水
異域の人
狼災記
羅刹女国
僧伽羅国縁起
官者中行説
褒じの笑い
幽鬼
補陀落渡海記
小磐梯
北の駅路

登場人物

洪水
 索ばい

異域の人
 班超

狼災記
 陸沈康

羅刹女国
 ソウカラ

僧伽羅国縁起

官者中行説

中行説

褒じの笑い
 褒じ
 幽王

幽鬼
 明智光秀

補陀落渡海記
 金光坊

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