池波正太郎の「闇は知っている」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

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覚書/感想/コメント

背景にあるのが、筒井藩の跡継ぎを巡るお家騒動。実は主人公の山崎小五郎もこれに関わりがあるのだが、どう関わりがあるのかは、本書の最後で語られているので、是非確かめられたい。

さて、寺の僧から殺し屋へと身を持ち崩す主人公。その主人公の住む世界には、お馴染みの香具師の元締達が巣くっている。羽沢の嘉兵衛、芝の治助、白金の徳蔵、五名の清右衛門…。主人公はこうした香具師の元締達の要望を叶える殺し屋である。だが、作中では馴染みの「仕掛人」とは呼ばれない。

本作は、こうした殺し屋を描いた池波正太郎作品の中でも、ドライで殺伐とした雰囲気をたたえている。そして、彼らの生活ぶりは荒廃している。そのことが端的に表れるセリフがある。

『「殺しで得た金は、真の金ではねえのだよ。汗水たらして稼いだ金でねえと、残りはしねえ」
「うむ、なるほど…」
「人なみに家をかまえ、女房や子といっしょに暮らして行けねえ無宿者のおれたちがつかう金は、人なみの価値をもっていねえのだ」』

山崎小五郎と杉山弥兵衛との会話である。彼らは、殺しをした後、法外な金をすぐに使い果たしてしまう。そのことについて触れた部分である。本人達が深くは意識していなくとも、悪事をしているという深層心理が荒廃した生活をさせるのだろうか。悪銭身につかず、とはいったものである。

内容/あらすじ/ネタバレ

隆心は十七才になる僧である。隆心は孤児だったが、真方寺の隆浄和尚にいつくしみ育てられてきた。だが、僧の生活に嫌気をさしていた。
そんなある日、顔見知りの後家・お吉が蝮に噛まれた。それを介抱した隆心だったが、このあとお吉に誘われ交渉を持つ関係になる。

そのことが噂として広まった頃、隆心は別の寺に預けられそうになる。これを機に寺を抜け出そうと考えた隆心はお吉に一緒に逃げてくれと頼むが断られる。これにカッとした隆心はお吉を絞め殺してしまった。

隆心はひたすらに逃げた。そして数年がたつ。

荒みきった生活をしてきた隆心が出会ったのは一人の浪人だった。浪人はついこの間行った隆心の悪事を見ていたのだ。だが、それで脅そうという了見じゃなかった。

浪人は一緒に組まないかという。何をと隆心が尋ねると、殺しをと答えた。浪人は杉山弥兵衛と名乗った。これを機に隆心は山崎小五郎と名を変える。

そして、二人での旅が始まった。二人が行う殺しは依頼殺人である。依頼主との仲介には香具師の元締が絡んでいる。山崎小五郎と杉山弥兵衛は度々こうした仕事をしてきたのだ。そして、その間に小五郎は杉山弥兵衛から剣術を習っていた。

大坂の香具師の元締・生駒の九兵衛からの依頼のとき、杉山弥兵衛は相手に返り討ちにあったようである。小五郎はこの相手を屠ろうと決意する。その相手は竹内平馬という浪人で、小五郎達と同じ稼業のもののようである。竹内は江戸の羽沢の嘉兵衛の手のものであるようだ。小五郎は江戸へ向かう。

江戸では羽沢の嘉兵衛の世話になる。そうすれば竹内平馬が戻ってくるだろう。

羽沢の嘉兵衛の世話になっている間に、芝の治助からの依頼がやって来た。駕籠に乗っている人物をやってもらいたいというのだ。だが、この暗殺はあることから失敗した。失敗が明るみに出ると自分が狙われる。小五郎は羽沢の嘉兵衛と芝の治助を殺すことを決意する。この依頼を知っているのはこの二人以外にいないはずだからだ。

本書について

池波正太郎
闇は知っている
新潮文庫 約二二〇頁
江戸時代

目次

後家殺し
家老の子
駕籠の中
元締殺し
雨夜の陰謀

登場人物

山崎小五郎(隆心)
杉山弥兵衛
羽沢の嘉兵衛…香具師の元締
五名の清右衛門…嘉兵衛の配下
日野の佐喜松…嘉兵衛の配下
芝の治助…香具師の元締
白金の徳蔵…香具師の元締
金杉橋の長助…御用聞き、五名の清右衛門の実弟
生駒の九兵衛…大坂の香具師の元締
隆浄…真方寺の和尚
堀井又左衛門…筒井家国家老
お吉…後家

池波正太郎の仕掛人・江戸の暗黒街

仕掛人

江戸の暗黒街

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