池波正太郎の「おせん」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★★☆☆

本短編集に収録されているのは、すべて主人公が女である。まぁ、一部には牝猫や牝の狐が出てくるので、人間だけではないのだけれども…

さて、「烈女切腹」での言葉。「法には道義がふくまれてのうてはなりませぬ。人…人の道義があればこそ…人は法を、信じるのでございます。」現代を上手く批判している言葉だと思う。

「力婦伝」の主人公・松田さつ女の敵討ちは芝居となり、「加賀見山旧錦絵」の外題のもとに江戸・堺町の外記座で初演されたそうだ。事件後五十八年のことである。

「女の血」の終盤に登場する佐々木留伊は「剣客群像」の「妙音記」に登場する佐々木留伊と同一人物である。あわせて読まれると面白いだろう。

「狐の嫁入り」はコミカルな要素がある。

「平松屋おみつ」と同じ筋書きで、これに仕掛人の世界を加えたものに「夜明けの星」がある。

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内容/あらすじ/ネタバレ

蕎麦切おその

蕎麦粉と酒だけしか受け付けない体質のお園。そのお園のつくる蕎麦切りは評判となり、桔梗屋はお園のおかげで繁盛していた。だが、同業者のやっかみが日増しに強くなる。

そんな中で、お園は身籠った。それを桔梗屋のおかみは亭主が相手だと思いこみお園を追い出してしまう。

お園は他の店に奉公し、たちまち評判を得る。しかし…

烈女切腹

りつは側用人の渡辺茂太夫をたずね、茂太夫を脇差しで刺し殺した。殿はこれを聞き激怒し、りつに切腹を命じた。

渡辺茂太夫は家中で評判はよくない。そのため、りつに切腹の命が出ると助命運動が広がった。だが、切腹は撤回されなかった。

そして、切腹前夜、りつは大須賀五郎兵衛に会うことを得る。

おせん

紅白粉問屋の福田屋庄助に脅迫状が届いた。だが、この脅迫状の送り主はすぐに捕まった。飾り職人の弥四郎という男だった。

弥四郎の詮議に参考人としておせんが呼ばれた。弥四郎がおせんの客だったからである。弥四郎は島送りとなった。

その後すぐに、弥四郎の女房が弥四郎の母親をおせんに押しつけた。弥四郎が罪を重ねたのはお前のせいだから責任を取れと言うのだ。

力婦伝

さつは武芸に優れた女だった。このさつが武家奉公をすることになった。仕えるのは岡本道女である。さつは道女に好感を抱いた。そして、道女への冷たい仕打ちをさつは身を挺して守ったのである。

その道女が自害をした。奥方づきの年寄で沢野という老女の嫌がらせの果てであった。

御菓子所・壺屋火事

惣次郎があらぬ冗談のせいで主の勘気を被り、事件へと発展して牢内で死んでしまった。

このことがあってから後のこと。おしまのもとをお伝が訪ねた。

女の血

土屋金之助と八千代は似合いの夫婦であった。二人が夫婦となってすぐの夏、八千代の実父が急死した。そして、この実父の通夜でとんでもない事件が起きた。

それは、石井弥十郎が引き起こした。石井弥十郎はかつて八千代を嫁にしたいと使用に願っていたが、八千代の父に断わられた。それを恨みにしていたようである。通夜の席での無礼な振る舞いに金之助が注意すると、逆に斬り殺してしまったのである。

三河屋お長

お長が弥市に一年ぶりにあったのは、女中のおさいと出かけたときである。弥市の姿を見たお長は無我夢中で弥市の後を追っていた。

一年前、お長は弥市に「まるで、不作の生大根をかじっているようだ」と言われて捨てられてしまった。その時の屈辱がフツフツとわき上がってきていた

あいびき

お徳が覚順とあいびきをしているのを見ている者がいた。それは井筒屋の文吉であった。

文吉はお徳を脅した。あいびきのことを亭主にばらされたくなかったら、三十両を工面しろと言うのだ。

お千代

大工の松五郎がおかねと所帯を持ったのは棟梁の強いすすめがあったからである。それまでは所帯を持つことを考えていなかった。松五郎にしてみれば、飼い猫のお千代との生活で満足していたのである。

梅屋のおしげ

幼いころに疱瘡を患って、おしげの顔はいちめんの痘痕であった。そのおしげを宗助という男がつけていた。おしげの姉・おうめを探していたのである。

話を聞いてみると、姉は宗助にずいぶんひどい仕打ちをしたらしい。姉を捜し当て、そのことをなじると、姉は邪険な態度を取る。あまつさえ、暴言を吐き、かぁっとなったおしがは姉を金火箸で刺してしまう。

平松屋おみつ

おみつが外に買い物に出て帰ってくると、父の徳之助が殺されていた。犯人はどうやら侍のようだが、その相手が見当もつかない。復讐心に燃えるおみつだが、手がかりがないままに月日は流れてしまう。

やがて、おみつは平松屋で奉公することになる。内儀のおりんは口やかましい人間だったが、おみつはよく仕えた。やがておりんもおみつを可愛がるようになっていった。

おきぬとお道

木村万次郎に婿話が持ちあがっていた。平山甚五郎という御家人で、相手はお道という娘であった。だが、噂によると容姿にかなり問題があるらしい。さっそく万次郎が確かめに行くと、げっそりとして帰ってきた。

ちょうどこの時にもう一つ万次郎に婿話が飛び込んできた。こちらは商家であったが、相手のおきぬという娘はとても美人であった。万次郎は迷いもなくおきぬとの縁談に踏み切ったが…

狐の嫁入り

弥治郎の夢で牝の狐が向う一年間この家においてくれという。弥治郎は承知した。

夢が覚めると女房のおせつが苦しんでおり、夢のことをすっかり忘れてしまった。そしておせつの介抱のため下女のおだいを呼びつけた。このおだい。何をやらせてもダメな下女であった。だが、この時は別人のように働いた。そして、翌日からもそれは変わらなかったのである。

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本書について

池波正太郎
おせん
新潮文庫 約三四〇頁
短編集 江戸時代

目次

蕎麦切おその
烈女切腹
おせん
力婦伝
御菓子所・壺屋火事
女の血
三河屋お長
あいびき
お千代
梅屋のおしげ
平松屋おみつ
おきぬとお道
狐の嫁入り

登場人物

蕎麦切おその
 お園
 治太郎
 おない
 相模屋幸右衛門

烈女切腹
 りつ
 渡辺茂太夫
 大須賀五郎兵衛

おせん
 おせん
 おみね
 弥四郎

力婦伝
 松田さつ
 岡本道女
 沢野

御菓子所・壺屋火事
 お伝
 おしま
 惣次郎
 よね
 渡辺寅之助…同心
 鎌吉…御用聞き

女の血
 八千代
 土屋金之助
 石井弥十郎
 海野平馬
 佐々木留伊

三河屋お長
 お長
 おさい
 弥市

あいびき
 お徳
 覚順
 井筒屋文吉

お千代
 松五郎
 おかね
 お千代…猫

梅屋のおしげ
 おしげ
 おうめ
 宗助
 友五郎

平松屋おみつ
 おみつ
 徳之助
 甚五郎
 平松屋利七
 おりん
 利太郎
 安蔵

おきぬとお道
 木村万次郎
 お道
 おきぬ

狐の嫁入り
 弥治郎
 おだい

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