藤沢周平の「天保悪党伝」を読んだ感想とあらすじ

この記事は約3分で読めます。

覚書/感想/コメント

物語の構成は「闇の歯車」に似ている。

本作では市井にうろつく六人の悪党を描いている。それぞれに一癖も二癖もある人間たちであるが、その反面人間味がある悪党でもある。そういう意味では真の悪党とは言い切れないのかもしれない。

本当の悪党とは”悪党の秋”の最後で河内山宗俊がつぶやいているように、お偉いさんなのだろう。

いつの世の中でも、表面に出てくる悪党よりも表面に現れない悪党の方がたちが悪いということか。

内容/あらすじ/ネタバレ

蚊喰鳥

片岡直次郎が入れ込んでいる花魁がいる。三千歳という。三千歳も直次郎のことを憎からず思っており、直次郎に貢いでいた。その直次郎と三千歳が大胆なことをしようとしていた。

闇のつぶて

金子市之丞は金に困ると、辻斬りをした。金子市之丞は花魁・三千歳に入れ込んでいたのだ。その辻斬りをしたところを、くらやみの丑松に見られた。

しかし、金子市之丞はそんなことを気にしない。やがて、くらやみの丑松から助けを求められる。くらやみの丑松の妹・お玉を救い出したいというのだ。

赤い狐

献残屋・森田屋清蔵は裏の顔を持っていた。盗賊としての顔だ。その森田屋が嵌めようと考えている相手がいる。本庄藩の殿さまである。

かつて、本庄藩の足軽だった男が狩りの際の些細な失態で詰め腹を切らされた。森田屋の父である。その怨みを晴らそうと考えていたのである。

泣き虫小僧

くらやみの丑松は河内山宗俊の紹介で料理屋で働き始めた。その女将・りくが政次郎という男に脅されているのを知った。

三千歳たそがれ

三千歳は金子市之丞に惚れ込んでいた。そこに河内山宗俊の使いとして片岡直次郎がやってきて、水戸藩で行われている影富の情報を探って欲しいと頼まれる。

最初は断ったが、惚れた金子市之丞に金が必要なのが分かると、河内山宗俊の頼みを聞くことにした。

悪党の秋

河内山宗俊は焦っていた。自分の所行の悪さによって、自分が出世できないのは仕方のないことにしても、息子の出世に響くのを何とかしたいと考えていた。

そのためには裏から手を回さなければならない。頼む相手は中野碩翁しかいないが、金がかかる。金を作るには、水戸藩の影富について脅すしかない。

本書について

藤沢周平
天保悪党伝
新潮文庫 約二九〇頁
連作短編
江戸時代

目次

蚊喰鳥
闇のつぶて
赤い狐
泣き虫小僧
三千歳たそがれ
悪党の秋

登場人物

片岡直次郎
河内山宗俊
しず…河内山の妻
くらやみの丑松
お玉…丑松の妹
三千歳…花魁
森田屋清蔵…献残屋
金子市之丞

大川鉄蔵(馬の沓)
三次郎…水戸浪人

五斗米市

小保内主膳…本庄藩家老

りく

比企東左衛門…水戸藩家臣

タイトルとURLをコピーしました