藤沢周平の「本所しぐれ町物語」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

本所のしぐれ町という架空の町を舞台にした、一風変わった物語。

プロットがとても面白い作品である。長編ともいえ、連作短編ともいえる。

というのは、決まった主人公がいるわけではない。話のそれぞれで主人公が異なるからである。かといって、連作短編というほどには短編として独立しているわけでもない。

一つの物語では主人公だったのが、別の物語では脇役にまわったりしており、これを繋ぐ役として狂言回し的な大家の清兵衛と書役の万平の存在がある。こういう風に個々の物語が密接に絡んでいるので、そういう意味では長編として捉えてもよいのだと思う。

内容/あらすじ/ネタバレ

鼬の道

新蔵の弟・半次が上方から十五、六年戻ってきた。その姿格好から上方では思わしくないのがわかる。半次が上方に行ったのは逃げるようにしてだった。一体それはなぜだったのかは新蔵も知らない。それにしても、急に戻ってきた半次はどうするつもりなのか。

栄之助は実家に戻ってしまった女房のおりつを迎えにおりつの実家に行ってみたものの何の成果もなく戻ってきていた。腹ただしい気分でいるところ、足許にまとわりつく猫を蹴飛ばした。

そうしたら、この猫を探している女の声がする。女の声には聞き覚えがあった。何処かの旦那の妾であるというおもんである。

朧夜

「福助」をよい気分で出た佐兵衛はすっかり酔っていたので道ばたで寝てしまう。その佐兵衛を起こしてくれたのは、先程まで飲んでいた「福助」の女中おときである。佐兵衛はおときに送ってもらい、そして身の上の話をする。

ふたたび猫

何処かの旦那の妾であるというおもんといい仲になった栄之助であったが、女房おりつが家に戻りたがっていることを知る。このことをおもんにそれとなく話をする栄之助だが…

日盛り

長太の母親は家を出てしまっていた。その母親に町中で声をかけられた。そのことを父親に話すと放っておけという。しかし、母親が病気になってしまうとそういうわけにはいかなかった。

さて、このごろ頻繁に泥棒騒ぎがある。岡っ引の島七が必死になって探しているが…

政右衛門が種油を買いに来たおきちにおまけをした。おきちの姿形が、幼馴染のおふさに似ていたので、久しぶりに会いたくなった。そこで「福助」のおりきに頼むことにした。

約束

おきちの父親・熊平が酒を飲んだ帰りに倒れ、そのまま目を覚まさない。そして始めて知ったのだが、熊平は方々に借金をこさえていたらしい。おきちはどうすればよいのか途方に暮れてしまう。

春の雲

千吉は住み込みの奉公人である。千吉の唯一の楽しみはめし屋のおつぎに会うことだった。ある日、臨時雇いの職人・佐之助がやってきた。この佐之助に誘われておつぎのいる店に行くことができて嬉しかった千吉だが、佐之助を見るおつぎの目がいつもと違うのが気になった。

みたび猫

栄之助はおもんと話をつけ、別れたはずだが、栄之助の前におもんが姿を現わす。

一方、岡っ引の島七は泥棒をまだ追っていた。捕まらないのだ。

乳房
おさよは気が動転していた。家に帰ってみると、夫の信助が後家のおせんを組み敷いていたからである。どうしていいのかわからないでいるおさよに声をかけたのがいる。与次郎という男だった。

おしまいの猫
栄之助がいつものようにおもんの家に入ろうとすると…

秋色しぐれ町
大家の清兵衛と書役の万平が、おきちのことや、栄之助のこと、岡っ引の島七の話をする。こうしている間にも、本所しぐれ町の日常は過ぎてゆくのである。

本書について

藤沢周平
本所しぐれ町物語
新潮文庫 約三一〇頁
長編(連作短編)
江戸時代

目次

鼬の道

朧夜
ふたたび猫
日盛り

約束
春の雲
みたび猫
乳房
おしまいの猫
秋色しぐれ町

登場人物

清兵衛…大家
万平…書役(通称:加賀屋)
島七…岡っ引

おりき…「福助」おかみ
おろく…「おろく」おかみ

新蔵…菊田屋
おたつ…新蔵の女房
半次…新蔵の弟

栄之助…紅屋の若旦那
おりつ…栄之助の女房
おもん
たま…おもんの飼い猫
駿河屋宗右衛門

佐兵衛…隠居
おとき…「福助」の女中
亀次郎…佐兵衛の息子
おくに…亀次郎の女房

長太
新吉

政右衛門
おたか
おいと…政右衛門の娘
おふさ…政右衛門の幼馴染

おきち
熊平…おきちの父親
おつな…祈祷師

千吉
おつぎ
佐之助

おさよ
信助
おせん…後家
与次郎…女衒

吉助

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