山田風太郎の「柳生忍法帖(上)」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆

十兵衛三部作の第1弾。本作品と「魔界転生」「柳生十兵衛死す」で「十兵衛三部作」と言われる。

忍法帖という割には、忍者が出てこないのも本書の不思議なところだが、それにもかかわらず、忍法帖と言われれて、なるほどと思ってしまうとこともあり、不思議な作品である。

物語の最初に出る東慶寺

鎌倉にある臨済宗円覚寺派の寺院である。

北条貞時の時に開かれ、開山は覚山尼によると伝えられている。

開山以来明治に至るまで本山を持たない独立した尼寺だった。

江戸時代には群馬県の満徳寺と共に幕府寺社奉行も承認する縁切寺として知られていた。

物語の初めに出てくるシーン。

「乱世とその余燼ののこるこの時代には、忠義よりもおのれ自身の名誉を重しとした。じぶんの名誉を傷つけるか、あるいは認めない主人に対しては、堂々と絶縁状をたたきつけて退転した。」

堀主水が会津を去る時の注釈的な一文であるが、まだ、徳川家光までの時代は戦国の雰囲気が色濃く残っていたのだ。

※小説の中に登場する東慶寺の紹介

東慶寺の参拝録(神奈川県鎌倉市)江戸時代に縁切り寺として知られたお寺

多くの時代小説で登場する縁切り寺である。江戸時代には群馬県の満徳寺と共に幕府寺社奉行も承認する縁切寺として知られた。女性の離婚に対する家庭裁判所の役割も果たしていた。

※沢庵和尚のお寺と言えば「東海寺」

東海寺の参拝録(東京都品川区)3代将軍・徳川家光が沢庵宗彭のために建てたお寺
東海寺の紹介と写真の掲載。この時知らなかったが、東海寺大山墓地に国の史跡が2つあった。しまったぁ…。ちょっと足を延ばせばよかったぁ。
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内容/あらすじ/ネタバレ

寛永十九年の春。東海道を下っていく異様な大名行列があった。総勢百名以上にのぼろうか。会津で謀反を起こした一門衆を数珠つなぎで歩かせていたのだ。

具足丈之進は一行に江戸に行く前に鎌倉のおんな寺、東慶寺に行くという。

寺に着いて、3人の武士が名乗った。会津藩加藤式部少輔家中の鷲ノ巣廉助、司馬一眼房、大道寺鉄斎。

3人の前に現れたのは、当尼寺の御住持天秀尼公だった。豊臣秀頼の姫君、つまりは豊臣秀吉の孫になる。

その寺に連れて来た堀一族の男たちの前で東慶寺に入った女たちを斬るという。

堀一族は何をしたというのか。

会津は加藤成明が継いでいた。結果から見れば、はなはだ出来がわるかった。幕府に向かっては物静かな顔を見せていたが、内部にあっては淫虐の魔王ともいうべき人物であった。

会津若松の城と江戸の屋敷に秘密の倉がたてられ、おびただしい美女と美少年が連れ込まれ永遠に出てこなかった。

その中で何が行われたかを知っているのは、成明自身と、彼の親衛隊たる会津七本槍衆、そしてその総首領・芦名銅伯だけであった。

ほとんどの者が主君の所業に沈黙した。だが、ただ一人、堀主水綱房だけが屈しなかった。

どちらも引かない対立を、一輪の花が吹き揺るがした。それが堀主水のひとり娘お千絵だった。

娘を差し出せという成明に、堀主水は会津を去ることを決意した。

加藤明成は激怒した。たとえ会津四十万石を棒に振ろうと、堀一族をとらなぶり殺しにする。

千姫が沢庵宗彭を前に宣言した。東慶寺を荒らした七匹のけだものは、かならず女の手によって討ち果たし、会津四十万石を叩き潰す。

千姫の前には七人の堀一族の娘たちがいる。

この娘たちを指南するのが柳生十兵衛三厳であった。剣聖柳生但馬守の嫡男であり、父に勝る天才児であり、無頼の放浪性、将軍家指南番におさまりかねる性向や行状のうわさがあった。

その十兵衛がしばらく寺に滞在して軍学の講義をすることになった。

大道寺鉄斎が木箱をかつがせて吉原の大門を出た。

この大道寺鉄斎が襲われた。

堀一族の女たちは品川にある東海寺にいた。寛永十五年、徳川家光が沢庵和尚のために建てた寺である。

十兵衛は堀一族の女たちがいかに修行をしようと、あの会津七本槍衆には太刀打ちできないと思っていた。

加藤明成は当面は堀の女たちよりも般若面をどうにかしなければならないと感じていた。

あいつはいったい何者か。

誘い出すために、般若面をかぶって盗賊として江戸中を荒らしまわることにした。

そして、今宵祝言をあげようとする男女をさらい、女を当屋敷に、男を天樹院(千姫)のところへ送るという。

般若組。花婿と花嫁をかどわかす般若組。江戸の人々の口にささやかれ始めた。

十兵衛は自分がさらわれる花婿役をやるという。十兵衛のかりそめの祝言の相手になったのはお圭だった。

そして、十兵衛たちは強烈なしっぺ返しを見舞ったのだった。

江戸城竹橋御門の外に二人の男と一匹の犬が鎖でつながれて座っていることが発見された。男は加藤明成と具足丈之進であった。

あまりの屈辱に、加藤明成は会津に帰っていった。

加藤明成は愕然としていた。会津七本槍衆のうち二人が討たれ、自分自身、凄まじい生き恥を味わった。

十兵衛は会津に行く。沢庵和尚もみちのくへ行くことになった。

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本書について

柳生忍法帖 上
山田風太郎
講談社文庫 四八五頁

目次

破戒門
堀主水(もんど)一件
七凶槍
修羅の巷へ
蛇ノ目は七つ

髯(ひげ)を生やした京人形
十兵衛先生
まんじ飛び
般若組
地獄の花嫁
水の墓場
晒(さら)す
江戸土産
北帰行
僧正
女人袈裟(げさ)

登場人物

柳生十兵衛三厳

堀一族の女七人
お千絵…堀主水の娘
お笛…お千絵の端女
お鳥…板倉不伝の娘
お圭…稲葉十三郎の妻
さくら…堀主水の弟・真鍋小兵衛の娘
お品…金丸半作の妻
お沙和…堀主水の弟・多賀井又八郎の妻

天樹院…徳川家光の姉、豊臣秀頼の正室であった千姫
沢庵宗彭…万松山東海寺住職
おとね

会津加藤家
加藤明成…加藤嘉明の子で会津藩40万石・加藤氏の2代目

芦名衆
芦名銅伯…芦名衆の頭目にして七本槍の師
おゆら…明成の御国御前、芦名銅伯の娘

会津七本槍
大道寺鉄斎…長大な鎖鎌を扱う老人
平賀孫兵衛…会津七本槍唯一の槍使い
具足丈之進…3匹の大きな秋田犬天丸・地丸・風丸を操る獣使い
鷲ノ巣廉助…巨体の拳法使い
司馬一眼坊…禿頭の巨漢
香炉銀四郎…最年少
漆戸虹七郎…隻腕の剣鬼

徳川家光…天樹院の弟
南光坊天海
松平信綱…幕府老中
柳生宗矩

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