宮城谷昌光の「太公望(上)」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★☆☆☆☆

呂尚。別名は太公望。日本では釣り好きを指して太公望という。

言い伝えでは、渭水で釣りをしていた呂尚を文王が「これぞわが太公が待ち望んでいた人物である」と言って召し抱えたとされる。

実態は、謎に包まれた人物である。なにせ、中国がまだ神の時代、伝説の時代の人物だから、わからないことが多い。

望(=呂尚)は兵法家の祖といわれるように軍略に精通していた。

彼が名を成したのは、神を信仰した時代において、合理性を追求したからかもしれない。この物語を読めばそう感じるようになるだろう。

さて、舞台は「商」の時代。

世界史を学んだことがある人ならば、殷で知られる。「夏」→「殷(=商)」→「周」へと移っていく時代が舞台だ。

「商」民族は太陽信仰であり、太陽は10個あると考えていた。「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」である。

ちなみに「商人」というが、この「商」からきている。

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内容/あらすじ/ネタバレ

望は、泣けない、という哀しみがあることを知った。

この少年の中に、商王を殺すという復讐の炎が立ち、ついに消えなかった…。

この年、商王「帝乙」が崩御している。この死んだ王の従者が必要と考えられ、そのために異民族が殺された。

この「帝乙」の跡を継ごうとしているのが「受」であり、後に「紂王」と呼ばれることになる。

受の下には叔父の箕子と親友で部下である祖伊がいる。他に神速の飛廉がいる。

望は羌族に生まれた。羌族は大勢力を作ろうとしない。もしそうすれば商帝国となんら遜色のない勢力になれた。

だが、彼らには平等の思想があり、身分の上下の考えが薄く、強力な指導者が育たない。侵略の概念もなく、結果として戦闘力は低かった。

望はのちに「呂望」と呼ばれる。

望の一族が襲われ、望を含め六人の子供が生き残った。

彪、班、呉、詠、継が望のそばにいる。この六人がのちに斉という国を建て、呂氏の繁栄の基を築くことになる。
望は皆を連れて北の弧竹という邑を目指した。

望は黄金の喬木を目にしていた。

木の下には鳥の羽をつづり合わせた衣をまとった女がおり、呪文を唱えている…。

望には自然界の霊徳をうけいれたくわえる稟質がそなわっていたのだろう。

旰と名乗る男に出会った。羌族だという。なるほど男は辮髪をしている。

この羌族は羊の代わりに馬を飼っていた。それに族の大きさに驚いた。舎が5百はあるだろう、およそ二千五百人以上がいることになる。多馬羌と呼ばれる族である。

そして、この族には身分があるらしい。旰の下に仍と呼ばれる男がおり、仍の下に員という部下がいる。

この族での自分たちに対する扱いに望は疑問を持った。ある日、望は皆を連れて逃げ出した。六人は危うく商に差し出されるところだったのだ。

望は常人では打破できない苦難にかずしれず遭遇することになるが、幸運にも助けられ長寿を全うする男である。その奇蹟に満ちた生涯の一端が始まる。

望の前に現れたのは鬼方の主だった。

鬼公は望が心機に優れた少年であることを見抜いた。そして、望たちを迎え入れた。

鬼方は西北の大族で、東北の大族の土方に匹敵する勢力を持っている。鬼公はそこの王にあたる人物であり、それに望は見込まれたのである。望はたちどころに鬼公を尊敬した。

望は彪に弧竹に行くことを忘れたのかと聞かれた。父母を商に殺されたことは忘れない。だが、羌族だけでは戦えない。

望は、ここに商に対抗しうる勢力があることを知った。

鬼方と土方が接するあたりに箕邑がある。三十年以上も前に出現した邑だ。商の宰相というべき箕子の食邑である。

その箕邑から兵が出て鬼公を襲おうとしている。あちこちの異民族もそれに応じているという。凶報だった。

そして、箕子の使者が現れ、鬼公に土公に会わないかという。この使者は箕子本人だった。鬼公を窮地に立たせたのが箕子であれば、その窮地から救おうとしているのも箕子である。箕子に翻弄されたのだ。

土公がやってきた。

はからずも望はこの時代を代表する三英傑を目前することになる。

会見の中で、九夷、周をはじめとして異民族が続々と商に入朝するということが判った。

望は鬼公が眠っている間に土公と話をしたようだ。土公に弧竹へ連れて行ってもらう事になった。

望は鬼公に誓った。弧竹から戻ることがあれば、たとえ鬼公が商王の臣となっていても仕えると。

望は鬼公と別れる前に、ひとつ訴願した。

鬼方が馬羌を急襲した時に、捕虜を得た。その中に員がいることを知った。望は員を頂けないだろうかと願ったのだ。

員は馬羌には戻らないという。そのかわりに望の近くにいるという。だが、何か秘めたものを持っているようであった。望はあえてそれ以上を問わなかった。

弧竹には何があるのか。望は斿にたずねた。そこには山岳の神を祀るものがいるという。神は伯夷と呼ばれているという。

弧竹につき、望たちは熹に案内された。父と別れてから一年がたっていた。その間にあったことが頭をよぎった。死にかけたこともある。だが、自分も無事で、五人の子も無事であった。

弧竹は二本の柱が立ってる門だけがあった。

望は山に招かれた。老人が招いたのだ。

老人は望に剣を見せた。そして剣を学ぶために二載半を洞窟で過ごすことになった。そして、次に学んだのは文字であった。

望は十九歳となった。班が十五歳となっている。望は大きく成長していた。

望が留守の間に彪と呉、詠がいなくなってしまっていた。

そして、二十歳になったとき、弧竹をあとにするときがきた。

望が鄭凡と出会った。

鄭凡は望に商の新しい町である新邑を見に行かないかと誘った。

鄭凡は道々で望に、鋸橋と呼ばれる巨大な倉のこと、貨幣のことを説明した。

受王が即位して六年目になっていた。

本書について

宮城谷昌光
太公望 上
文春文庫 約四九〇頁

目次

黄金の喬木
鬼方
いのちの渦紋
孤竹へ
伯夷の邑
老人と剣
朝歌
大河の光
春陰

登場人物

望…のちの太公望呂尚
彪…羌族の少年たち
班…羌族の少年たち
呉…羌族の少年たち
詠…羌族の少年たち
継…羌族の童女
員…馬羌族、望の配下になる
受王…商王朝の王、紂王とも呼ばれる
箕子…箕邑の主、受王の叔父
鬼公…鬼方の首長
子良…鬼公の猶子
土公…土方の首長
斿…土公の臣
小子旦…周公の四男、のちの周公旦
旰…馬羌族の長の一人
仍…馬羌族の一人、旰の配下の十人長
呀利…馬羌族の一人、旰の側近
洞人…商の王子、望に剣と文字を教える
熹…孤竹の守護にあたる族長
鄭凡…交易に携わる大賈
逢尊…望に協力する東方の豪族
逢青…逢尊の娘、望の妻となる
飛廉…受王の臣、神足をもって仕える

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