宮本昌孝の「ふたり道三(中)」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント


★★★★★★★☆☆☆

斎藤道三。父は長井新左衛門尉(豊後守)。

名として伝わっているものとしては、法蓮房、松波庄五郎、松波庄九郎、西村正利、西村勘九郎、長井規秀、長井新九郎、長井秀龍、斎藤利政、斎藤新九郎、斎藤道三などである。

信頼できる史料に現れてくる名前は、藤原(長井)規秀、斎藤利政、道三などで、少ない。

息子に義龍、孫四郎(龍元、龍重)、喜平次(龍之、龍定)、利堯(利堯、玄蕃助)、長龍(利興、利治)、日饒(妙覚寺19世住職)、日覚(常在寺6世住職)。

娘に姉小路頼綱正室、帰蝶(織田信長正室)など。

また、長井道利は弟とも、道三が若い頃の子であるともされる。

内容/あらすじ/ネタバレ

松波庄九郎の軍団は京都を発して、東海道を下っていた。

途中、賊に襲われた。賊を撃退し、さらに相模国鎌倉をめざした。

玉縄城にたどりついた。

庄九郎は伊勢宗瑞と会った。宗瑞は新井城攻略に苦戦していた。庄九郎はそれを打破してみせようという。

庄九郎はその約束を果たす。新井城攻めで抜群の働きを見せた。

庄九郎は伊勢宗瑞とはいささか距離を置いて接した。その方が冷静に宗瑞のやり方を眺められると思ったからであった。

山崎屋の荷駄警護の者として、たびたび戦陣へ赴き、宗瑞の戦ぶりをつぶさに学んだ。そして、時には自身も戦場を馳駆した。

時は瞬く間に過ぎ、二年がたった。

相模の国を平定し終え、宗瑞は小田原を居城とする嫡子氏綱へ家督を譲った。

庄九郎の旅立ちを意味していた。

別れ際、宗瑞は庄九郎に美濃へ行け、といった。それを聞いて放魚は、あっと驚いた。

そして、撫子十郎の本当の名が斎藤十郎光彬、美濃守護土岐家に仕える家柄だという。

美濃。

山崎屋庄九郎と名乗る油売りが評判であった。

美濃入りした庄九郎だが、まっすぐには福光をめざさなかった。戦の始まる寸前だと聞いたからである。初めての国で、いきなり争乱の中に飛び込むのは無謀であった。しばらくは情報を集め、傍観するのが得策だろう。

西村勘九郎は長井新左衛門尉と名を改めた。

斎藤利良と彦四郎の合戦は、勘九郎がにわかに矛先を転じて、利良を急襲したことで、一気に形勢が逆転した。彦四郎方が大勝し、利良は土岐頼武を擁して越前の朝倉氏へ逃げた。

長井新左衛門尉は油屋の姿を見て、かつての破天丸を思い起こしていた。

油屋の名を聞いて、新左衛門尉も関の方も眼をむいた。偶然であろうが、松波庄九郎とはなんと似通った名前であることか…。
互いに知らずとはいえ、親子の対面の場であった。

庄九郎が守護代斎藤彦四郎に拝謁したのは、冬も半ばであった。

これで各家から出入りを望まれ、かれらの内情を知ることができるようになるだろう。

欲が絡むと、人は本性を現す。将来の美濃盗りのためには重要なことだった。

雪が解けると、越前に逃れていた斎藤利良が朝倉氏の支援により美濃へ進撃してきた。

この軍に、長井新九郎規秀がいた。膨大な軍資金の拠出とひきかえに賜った姓名である。松波庄九郎改め長井新九郎規秀の新しい戦いの始まりである。

そして、この戦の中、長井新左衛門尉と新九郎の両名は、互いを父と子であるともしらずに、武人同士の盟約を結んだ。

長井新左衛門尉は自ら建立した祠堂を道三堂と名付けていた。それは亡き破天丸のためのものだった。

自分が地獄道、母が俗世道、そして破天丸が天上道、ということである。

夏、守護土岐政房が急死した。

越前から土岐頼武が福光の守護所に落ち付き、美濃は表面上平穏を取り戻していた。

だが、頼武は凡庸。いずれ、頼芸を担ぐ者が出てくる。それまでに、頼芸の寵愛を新九郎はえることにした。

無量斎が美濃に入った。やつらが皆、美濃にいる。復讐に燃えている者にとっては好都合であった…。

新九郎は小夜から本当の母の名を知らされた。播磨・赤松政則の娘・松姫。そして、父がおどろ丸こと長井新左衛門尉であることを。

だが、このことを関の方も知ってしまった。

斎藤利良暗殺により、美濃の勢力図が劇的に変化した。

新守護代が誰になるかで、斎藤氏一門は持是院家に対する発言権の強い利貞尼に諮った。

そして斎藤氏の最長老の豊後守利隆が斎藤又四郎の後見人として、みずから持是院妙全と号するようになった。

新九郎はまずは長井新左衛門尉を妙全と藤左衛門と対等の立場にしてみるという。それは守護代家の後見人にすることである。

幕府は未だに斎藤又四郎が守護代になることを認めていない。

この策が功を奏した。幕府は美濃斎藤氏に斎藤利茂を美濃守護代として承認する旨の書状を送った。これを知って持是院妙全は眼をむいた。

本書について

宮本昌孝
ふたり道三(中)
新潮文庫 約五七〇頁

目次

第十一章 東国下り
第十二章 三浦攻め
第十三章 美濃へ吹く風、再
第十四章 長井新左衛門尉
第十五章 恩讐の一撃
第十六章 父子、盟約
第十七章 幽鬼
第十八章 紅の墓
第十九章 闇の住人
第二十章 三つ巴
第二十一章 甲山の虎
第二十二章 戦雲たなびく

登場人物

西村勘九郎(おどろ丸)→長井新左衛門尉
関の方(錦弥)
松波庄九郎→長井新九郎規秀
放魚(松波庄五郎)
小夜
お阿耶
撫子十郎(斎藤十郎光彬)
無量斎…裏青江
伊勢宗瑞
風魔小太郎
日運(南陽房)