加藤廣の「信長の棺(下)」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント


★★★★★★☆☆☆☆

主人公の太田牛一(おおたぎゅういち)の略歴を見てみる。

和泉守。通称は又助。文才に優れ、特に「信長公記」で知られる。

弓の腕で織田信長の直臣となったが、武辺の道を捨て、信長の側近として仕えた。本能寺の変後、豊臣秀吉に召し出される。晩年は、大坂天満に隠棲する。

「信長公記」全十六巻は写本を入れると二十種類以上も残されているという。表題も様々のようだ。首巻は十五巻が書かれた後のもののようである。

下巻では次々と謎の核心に触れていく。

豊臣秀吉の出生の秘密。

本能寺に隠された秘密。

阿弥陀寺の秘密。

南蛮寺の秘密。

信長の墓の秘密。

…などなど。

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内容/あらすじ/ネタバレ

慶長三年。太田牛一は脱稿した「信長記」を携えて伏見を訪ねた。

秀吉との対面の席には楠流軍学者の楠正辰が陪席を命ぜられていた。思わぬ事態に牛一は苦虫をかみつぶした。

そして秀吉によって、避けて通ろうとした信長の朝廷に対する不遜な行動や残虐な事績を書き足すことになった。

正辰は牛一に語った。秀次を殺したことによって、太閤の世間の評判が良くない。そこで信長がもっと残酷だったと書けば、まだましたど思われるので、言い訳になるのではないか。牛一はとんでもないことだと思った。

「信長記」は完成をみたものの、書き手として忸怩たるものがある。

屈折した日々を吹き飛ばしたのは、太閤の容体が悪化したという知らせを受けたからである。

今のうちに「信長記」の写本を取っておかなければならない。

さっそく写本に行くと、楠正辰が先にいて写本を終えている。正辰の他に三成も写本したらしい。迂闊なことだった。

だが、この機会に牛一は差し込みをして全十六巻の「信長記」にするつもりでいる。将来十五巻と十六巻の二種類が存在することで混乱が生じるかもしれないが、仕方のないことだ。

隠居所に戻るとすぐに牛一は異変を感じた。荒らされている。

紗耶は縛られている。指を折られているようだ。そして紗耶が語るには自分は筆屋源兵衛によって送られた忍びだという。

書を写し取るのが目的だという。

書き写すのは「信長記」である。牛一は顔から血が引くのが自分でも判った。

牛一は紗耶の骨が無事になったら有馬温泉に行こうと考えている。

その紗耶を今度から多志と呼ぶことにした。多志とは荒木村重の妻女の名である。

有馬の太閤願いの湯の出湯が細くなってきているという。その話を多志にすると、丹波ものの仕業に違いないという。太閤と丹波ものには縁があるらしい。

丹波に入った牛一は、つくづく丹波が古来から不和の国といわれる意味を実感した。

そして摂津三田についた。多志の故郷だ。そして多志の本当の名が楓であることを知った。

楓の家族は祖父の惣兵衛と弟の四郎である。

惣兵衛は秀吉の出自を語った。秀吉は丹波ものだという。蜂須賀、前野もそうだというのだ。そして、桶狭間の合戦のことも語ってくれた。牛一には驚愕する内容である。

惣兵衛の弟の子・清如が信長の死にまつわって何かを知っているらしい。

信長の遺骸は本能寺から遠い阿弥陀寺が引き取っていたという。そこに清如はいたのだ。

しかし、どうやって監視の厳しい明智軍の網の目をくぐって運んだというのか。

牛一は阿弥陀寺のことを調べる気になった。

そういえば、秀吉は信長の火葬をする前に、真っ先に阿弥陀寺に来ている。それ自体が不思議である。

清如から連絡があった。花が咲き始めた故、近々あえるだろう。

その清如が訪ねてきて、牛一に聞きたいことがあるという。その上で、阿弥陀寺の信長の遺骨と、火葬の秘密を明かすという。

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本書について

加藤廣
信長の棺(下)
文春文庫 約三一〇頁

目次

第四章 舟入学問所
第五章 隠れ里・丹波
第六章 吉祥草は睡らない

登場人物

太田牛一
楓(多志、紗耶)
才蔵
羽柴秀吉
大山伯耆守
楠正辰
大村由己
田屋明人…神官
惣兵衛…楓の祖父
四郎…楓の弟
清如(権兵衛)…叔父
筆屋源兵衛
織田信長
清玉
磯野良秋(ジェリコ良秋)

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