鳥羽亮の「はぐれ長屋の用心棒 第2巻 袖返し」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント


★★★★★★★☆☆☆

シリーズ第二弾。

今回はかつて源九郎が捕まえた女掏摸のお吟と再会するところから事件始まる。

お吟は「袖返しのお吟」と呼ばれた凄腕の女掏摸だったが、源九郎に捕まり、見逃してもらって以来掏摸の道を洗っていた。だが、誰かと間違われたのか、掏った物を返せと詰め寄られ、その場を源九郎に助けられるのだ。

お吟に間違われた女掏摸が掏った物は三通の書状。その中身とは一体何なのか?そして、その書状の持つ意味とは?はたまた、その書状を掏った者の意図とは?

華町源九郎、菅井紋太夫、茂次、孫六の四人が降りかかる事件に立ち向かう。

華町源九郎は鏡新明智流の遣い手、菅井紋太夫も田宮流居合の遣い手で、それぞれかなり遣う。だが、このシリーズの主人公たちは、スーパーヒーローではない。前作でもそうだったが、何らかの手傷を負う。

前作では菅井紋太夫が斬られた。本作では華町源九郎が斬られる。

これくらいの方がリアリティがあって、物語の中に緊迫感が生まれるのは確かだ。

さて、物語は端午の節句の翌日から始まる。相変わらず年代は不明だ。

この端午の節句だが、菖蒲の節句とも呼ばれる。菖蒲は古くから邪気を祓うとされ、節句には軒下に飾ったり、菖蒲湯をわかしたりする。

菖蒲は尚武に通じるとされ、男児は菖蒲刀で合戦の真似事をしてあそぶ。菖蒲打ちは、菖蒲を編んだもので地面を叩き、音の大きさを競う子供の遊びだそうだ。

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内容/あらすじ/ネタバレ

旧暦五月六日。端午の節句の翌日。華町源九郎は前方で甲高い女の声を聞いた。女がふたりの男に挟まれている。武士と中間のようだ。

源九郎は男たちを追い払い、女を助けた。女は「やっぱり、華町の旦那だ」といって源九郎に近づいてきた。

女は袖返しのお吟。つまり女掏摸である。数年前にお吟が源九郎の懐を狙ったことがあった。その時はお吟の父親で中抜の栄吉と呼ばれた掏摸の親分の懇願もあって見逃した。

お吟はさっきのふたりの男に掏り取った物を返せと言われたようだ。数年前の一件以来お吟は掏摸の道から足を洗っている。何のことだか分からない。誰かと間違えたのかもしれない。

そのままお吟と栄吉が営む浜乃屋という飲み屋に入った。

菅井紋太夫が将棋盤を抱えて源九郎の長屋に入ってきた。そこに源九郎が士学館に通っていた時の同門・石川孫四郎が訪ねてきた。傍らには昨日お吟に絡んでいた武士がいる。昨日の武士は岩倉俊蔵と名乗った。

石川は奥田兵部之介という千石の旗本の用人をしているという。岩倉はその若党だ。

主の奥田が百嘉という料理茶屋で遊び、屋敷へ帰る途中で懐に入れていた大事な書状を若い女に取られたというのだ。

石川が源九郎を訪ねてきたのは、その書状を取り戻す手助けをして欲しいというのだ。久瀬家の騒動の一件を知っており、はじめからそのつもりでやってきたらしい。手付け金として十両わたされた。

源九郎は菅井、茂次、孫六の手を借りることにした。十両はいつもの通り山分けである。一人二両。残りは世話になっている長屋の連中に分けることになる。

源九郎は栄吉を訪ねた。栄吉なら女掏摸の見当もつくのではないかと思ったからだ。

一方で孫六は岡っ引きの与助を訪ねた。与助は今回の事件のことを知っている。与助は転びのお松の仕業ではないかと思っているという。

だが、という。お松は車坂の常蔵の情婦になっているのだ。この常蔵は掏摸の親分で、残忍なことでも知られていた。

お吟が慌てた姿で源九郎を訪ねてきた。栄吉が帰ってこないという。そして、大川端で栄吉の殺された姿が発見された。

菅井は旗本の奥田が遊んだ料理茶屋の百嘉の前にいた。菅井の疑問は、奥田が何者かと密会してその書状を受け取ったのではないかというものだった。

その菅井は牢人体の男に勝負を挑まれた。立ち会っていたら斬られていたかもしれないほどの腕前だ。

茂次が常蔵の後をつけてみたが、逆に腹を切られて、血を流しながら長屋へ戻ってきた。

ここに来て、源九郎らは掏られた書状とは一体何なのかという疑問が浮かんできた。

お吟も誰かに狙われているらしく、いったんお吟の身は源九郎らの長屋に移すことにした。

石川孫四郎と岩倉俊藏が源九郎を訪ねてきた。昨夜屋敷に投げ文があり、書状を三百両で買い戻してくれと書かれていた。「常」の一文字が書かれており、やはり常蔵のようだ。

ここにきてようやく石川は書状の中身を話した。起請文と艶書だという。だが、奥田家にとっては今後の存続を左右する大事な書状だという。石川は奥田家の事情を説明し始めた…。

三百両受け渡しの日、源九郎と菅井、茂次の三人は、受け渡し場所に潜んだ。だが、この時は常蔵が一枚上手であった。後日、千両での買い取りを求めてきた。

源九郎らは別の手段によって書状の在処を確かめなければならない。常蔵の手下の利根吉を捕らえ、どうやらお松が書状をもっていることが分かった。

その常蔵と手下たちが何者かに襲われ殺された…。

源九郎が襲われ、腹を薄く切られた。馬庭念流のようだ。やがて牢人の名が知れた。名は渋江又兵衛。

どうやら今回の騒動は渋江とお松が書いた筋書きのようだ。それにしてもと源九郎は思う。こちらの行動が筒抜けになっているような気がする。だれかが内通しているのか…。

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本書について

鳥羽亮
はぐれ長屋の用心棒2
袖返し
双葉文庫 約二八五頁
江戸時代

目次

第一章 袖返しのお吟
第二章 転びのお松
第三章 強請
第四章 野良犬
第五章 裏切り
第六章 対決

登場人物

華町源九郎
菅井紋太夫
茂次…研師
孫六…元岡っ引き
お熊…長屋の住人
元造…飲み屋「亀楽」の主
おみよ…孫六の娘
お吟
栄吉…お吟の父親
石川孫四郎…奥田家用人
岩倉俊蔵…奥田家若党
奥田兵部之介…旗本
お松…女掏摸、転びのお松の異名
常蔵…車坂の掏摸の親分
利根吉…常蔵の手下
渋江又兵衛
与助…岡っ引き
村上彦四郎…南町奉行所定廻り同心
喜八…元掏摸
元八…元掏摸
おれん…料理茶屋・百嘉の女将
お静…料理茶屋・百嘉の女中
内藤隼人正…勘定奉行
堀山幹之助…御目付
山田朝次郎…源九郎の同門
俊之介…華町源九郎の倅
君枝…俊之介の嫁
新太郎…俊之介の息子

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