吉村正和の「フリーメイソン 西欧神秘主義の変容」を読んだ感想

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覚書/感想/コメント

★★★★☆☆☆☆☆☆

国際陰謀事件の黒幕である秘密政治結社として、ほとんど都市伝説並みの扱いを受けているフリーメイソン。その発足が社交クラブからと聞いたらどうだろうか?

ヨーロッパを初めとして、アジア、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカに支部を持つ世界的な組織で、会員数は六百万人を超えるといわれ、その三分の二はアメリカに住んでいるといわれているそうだ。

そのアメリカで平均的な人が持っているフリーメイソン像は、病院や福祉施設に多額の寄付をする慈善団体や相互扶助団体というイメージのようだ。日本でいえば、ライオンズクラブのようなロータリークラブに近いイメージなのかもしれない。

同時に、アメリカでは親睦クラブとしてのイメージもあるようだ。フリーメイソンの会員が老人が圧倒的に多いというのもあるようだ。

そもそもが、フリーメイソンは貴族あるいは上層市民層の社交クラブとして発足していたのだから、こうした傾向は元々あるのだろう。

フリーメイソンの起源に関しては多くの説があるそうだ。

1.アダムとイブにまでさかのぼるという説
2.「ソロモンの神殿」起源説
3.古代密議宗教起源説
4.ピュタゴラス起源説
5.「コレギウム」起源説
6.エッセネ派起源説
7.コマキニ建築集団起源説
8.中世石工職人組合(ギルド)起源説
9.聖堂(テンプル)騎士団起源説
10.薔薇十字団起源説
11.ベイコン起源説
12.「クラブ」起源説

フリーメイソンは十七世紀の宗教界への反発として「すべての人間が同意できる」新しい宗教を目指したのだという。

あとがきでも書かれているが、一種の擬似宗教を目指していたのかもしれないそうだ。こうしたフリーメイソンには貴族だけでなく、王族が加入した。

イギリスのフリーメイソンの歴史は一七一七年に組織されたグランド・ロッジに始まるという。年が確定しているというのは興味深い。一直線にすすんだわけではなく、お膝元のロンドンで分派活動もあったようである。

十八世紀の初頭にイギリスに始まったフリーメイソンは、またたくまにヨーロッパ大陸に浸透していった。

そしてパリのグランド・ロッジで、それまでの啓蒙主義・理神論・科学主義的なフリーメイソンに神秘主義的な要素が加わった。

ドイツのフリーメイソンは一七七〇年代に特異な結社を生み出した。啓明結社(啓蒙結社=イルミナティ)であり、古代の密儀を模範としており、位階を設けている。

フリーメイソンの国際陰謀事件の黒幕という誤解は、一七九七年にバリュエル神父が「ジャコビニスムの歴史の覚書」で、フランス革命とフリーメイソン、とくに啓明結社とを結びつけたことによる。

そして一七一七年から三〇年ほどでヨーロッパに同一の信条と儀礼を持つ結社となり、このネットワークに匹敵するネットワークを持つのはローマ・カトリックしかなかった。

このフリーメイソンは様々な文学作品に登場している。そして、このフリーメイソン史の中でひときわ異彩を放っているのがモーツァルトの「魔笛」である。

なぜなら、ここには十八世紀のフリーメイソンの最終目標といえるものが、みごとに表現されているからなのだという。

フリーメイソンに強い興味を抱く人は、一度モーツァルトの「魔笛」を観た方がいいようである。

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本書について


フリーメイソン 西欧神秘主義の変容
吉村正和
講談社現代新書 約一九〇頁
解説書

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目次

1 プロローグ
 1 秘密の合言葉と合図
 2 慈善団体としてのフリーメイソン
2 フリーメイソンの起源と歴史
 1 フリーメイソンの起源
 2 グランド・ロッジ結成とイギリスのフリーメイソン
 3 ヨーロッパ大陸に進出するフリーメイソン
 4 組織の仕組とメンバーの資格・職業
 5 参入の儀礼
3 フリーメイソンの思想と目的
 1 モーツァルトの「魔笛」と参入儀礼
 2 西欧神秘主義とフリーメイソン
 3 自然科学とフリーメイソン
 4 道徳による人間と社会の完成
4 アメリカの形成とフリーメイソン
 1 植民地時代のフリーメイソン
 2 ボストン茶会事件から独立宣言へ
 3 建国の父たちとフリーメイソン
 4 アメリカ社会とフリーメイソン精神
5 エピローグ
 1 近代日本とフリーメイソン
 2 日本国憲法とフリーメイソン精神
あとがき

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