宇江佐真理の「髪結い伊三次捕物余話 第6巻 君を乗せる舟」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆

シリーズ第六弾。本書の一番の楽しみは子供達の成長であろう。大人達はどこかに追いやられている感じである。しばらくはこうした状況が続くのかもしれない。それはそれで楽しみである。

まず、不破友之進の息子・龍之介が元服して不破龍之進となる。元服したばかりの龍之進だが、お文にいわせると、二十歳、二十五歳の頃の龍之進は、道を通るだけで、娘が黄色い声を上げる色男になるそうだ。

龍之進は元服後早速見習いとして出仕することになり、朋輩五人と八丁堀純情派を名乗ることになる。これに対して世間を騒がす若者六人がおり、本所無頼派と呼ばれていた。本所無頼派と八丁堀純情派の対決が始まる。

伊三次の出番が減って、なんだか「少年探偵団捕物余話」のようである。しばらく、この少年探偵団に付き合うことになりそうだ。

やがては父・友之進同様に定廻り同心になるであろう龍之進の小者になるのは、てっきり伊与太なのかと思っていたら、伊三次の弟子・九兵衛がなりそうな気配である。少年探偵団に九兵衛も加わることになるのだろうか?

次に、お文も久しぶりに芸者として復帰し、伊三次の弟子・九兵衛も本格的に髪結になるための修行が始まる。息子の伊与太もすくすくと成長し、不破の娘・茜はとんでもなく成長している。

すくすくと育っている伊与太だが、疱瘡に罹る。江戸時代には疱瘡に罹ると、まわりを何でもかんでも赤づくしにする習慣があったそうだ。

少々気になったのが、伊三次が見かけるまじないの「おんころころ、せんだり、まどうぎそわか」を三回唱えるというものだ。どういうものなのだろう?

さて「妖刀」に登場する刀。将軍家にとって因縁の妖刀と紹介されるが、銘が出てこない。だが、この妖刀は「村正」にちがいない。

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内容/あらすじ/ネタバレ

妖刀

一風堂・越前屋の主・醒は緑川平八郎の古くからの知り合いで、伊三次には困ったことだが怪談じみた話がやけに好きである。この日もひとしきり怪談話を聞かされた伊三次だった。

一風堂・越前屋の主・醒の父は武家の出で、藩が改易となり、一風堂を営んでいた母親の祖父に当たる男に出会って、見込まれて婿入りした。武家同様の養育を受け、剣法の修行も長くしてきた。

そんなことがあってから少しして、不破から一風堂がらみの捜索を命じられた。正宗、井上真改、虎徹など、たいそうな刀ばかりが持ち込まれ一風堂は商売を進めていいのか悩んだらしい。

持ち込んできたのは六十がらみの女隠居だという。緑川は女隠居が奉公していたのは加賀様ではないかと察しているようだ。

伊三次は女髪結のお久にかわって女隠居の髪を結う手筈を整えた。そして伊三次は不破から刀を探せと命ぜられた。将軍家に因縁の妖刀だという。

小春日和

六助という男を伊三次や増蔵、正吉、留蔵、弥八らが追っていた。その六助の目の前に菅笠の武士が立ち、六助を投げ飛ばしてつかまえてくれた。名を田口五太夫と名乗った。

六助は捕まってから何でもかんでも「やった」というので、どれが六助が手を下した山なのかをはっきりさせるのに苦労している。

不破がこうした話をしている中で、先だっての浪人は田口五太夫とは別人であることが判明した。それがひょんなことから再会して、田口清三郎というのが本名であることが分かった。

五太夫とは兄の名だそうだ。病弱の兄は清三郎に嫁を取って家を継がせるつもりらしい。それを気にしている様子である。

片岡美雨と乾監物の祝言が近づいている中、監物は伊三次からこの話を聞き、何とかしようと動き始めた。

八丁堀純情派

吟味方与力・片岡郁馬が烏帽子親となり不破龍之介の元服の儀が執り行われた。名を龍之進と改めた。

龍之進は正月に無足の見習いとして初出仕となる。他に五人が決まっていた。橋口譲太郎、春日太郎左衛門、西尾左内、緑川直衛、古川喜六である。古川喜六は商家からの養子のため知らない。

そして、この六人の教育係として美雨の夫の監物が教育係補佐になるらしい。

久しぶりに仲間と顔を合わせた。幾人かは名を改めていた。譲太郎は橋口譲之進、太郎左衛門は春日多聞、直衛は緑川鉈五郎となった。

初顔合わせとなった古川喜六は北辰一刀流の道場で目録取りになっていた。龍之進は鏡心明智流の目録がもらえそうな所まで来ていた。

この六人に対して、一方では世間を騒がす若者六人がいた。本所無頼派と呼ばれているそうだ。教育係の片岡監物は龍之進らを八丁堀純情派と呼んでみた。

龍之進は古川喜六とうまが合うようだった。そして、喜六は本所無頼派のことを知っている節があった…。

おんころころ

冬木町寺裏の仕舞屋に怪談話が持ち上がっていた。紫色の小袖を着た娘が入っていくのだそうだ。娘の正体を突き止める必要がある。伊三次にとってはいやな仕事だった。

この仕舞屋に入る店子が決まった。浪人の父子だという。浪人の父子は本郷の団子坂に住んでいるそうだ。伊三次は行ってみることにした。

伊与太が疱瘡にかかった。軽く済むどころか、どんどん重くなっていく。伊三次は不安でたまらなかった。

その中、伊三次は団子坂へ向かった。すると周辺では行方のしれなくなっている娘が何人かいるという。

その道 行き止まり

龍之進が出仕するようになると、伊三次は不破友之進の頭だけでなく、龍之進の頭をやらなくてはならなくなり、忙しいことこの上ない。

龍之進は見習いとしてのお務めの傍ら、本所無頼派の探索を秘かに進めていた。一味の首謀者は薬師寺次郎衛というらしい。他には志賀虎之助、長倉駒之介、杉村連之介の名が知れたが、二人が分からない。

龍之進が喜六と一緒に歩いてると、通っていた私塾の師匠・小泉翠湖の娘・あぐりと偶然出会った。このあぐりと次郎衛がどうもつながりがあるらしい。なんという皮肉な巡り合わせだろう。

君を乗せる舟

あぐりの嫁ぎ先が決まろうとしていた。人殺しの父親をもつあぐりには後家の話しかなかったらしい。

本所無頼派は金づると目されていた長倉駒之介に縁談が持ち上がり、ぴたりと動かなくなっていた。金繰りが苦しくなってきたようだ。そうした中、次郎衛が口入れ屋と話をしている場面を見る。一体何の話をしていたのか。

他の分からないでいた二人が分かった。貞吉と直弥というらしい。

あぐりが縁談を断ってきたという。龍之進には気になることがあり、すぐにあぐりの所へ行ってみた。するとちょっとした騒ぎが起きていた…。

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本書について

宇江佐真理
君を乗せる舟
髪結い伊三次捕物余話6
文藝春秋 約三〇〇頁
江戸時代

目次

妖刀
小春日和
八丁堀純情派
おんころころ
その道 行き止まり
君を乗せる舟

登場人物

伊三次
お文(文吉)…深川芸者
伊与太…息子
九兵衛…伊三次の弟子
おこな…お文の女中
不破友之進…北町奉行定廻り同心
いなみ…不破の妻
不破龍之進…息子
緑川平八郎…隠密廻り同心
緑川鉈五郎(直衛)…平八郎の息子、不破龍之進の朋輩
片岡監物…吟味方与力見習
片岡美雨
留蔵…岡っ引き、「松の湯」主
弥八…下っぴき
増蔵…岡っ引き
正吉…下っぴき

妖刀
 一風堂・越前屋醒
 お久…女髪結
 茂作

小春日和
 六助
 田口清三郎(田口五太夫)
 巴
 乾監物(片岡監物)
 片岡美雨

八丁堀純情派
 不破龍之進
 橋口譲之進
 春日多聞
 西尾左内
 緑川鉈五郎
 古川喜六

おんころころ
 浅間余左衛門
 余一郎…息子

その道 行き止まり
 薬師寺次郎衛…本所無頼派
 志賀虎之助…本所無頼派
 長倉駒之介…本所無頼派
 杉村連之介…本所無頼派
 あぐり
 おしか

君を乗せる舟
 作蔵…不破家の下男
 貞吉…本所無頼派
 直弥…本所無頼派

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