佐伯泰英の「秘剣・悪松第2巻 秘剣瀑流返し 悪松・対決「鎌鼬」」を読んだ感想とあらすじ

覚書/感想/コメント

★★★★★★☆☆☆☆

シリーズ第二弾。二本差しの侍にあこがれた中間の倅・一松。だが、もと中間に薩摩の御家流である示現流を名乗られるのは薩摩藩としては許し難い。

一松を抹殺するために動く西国の雄藩・薩摩。その薩摩藩との富士見坂一本松での死闘を終えた一松。追跡を強める薩摩藩から逃れるために、やえの故郷へ一端は隠れる。だが、ここにも薩摩藩の影がちらつき、やえを預けて、北へと逃げる。

最初についたのが水戸藩。元禄三年に光圀が隠居して、当代は三代藩主綱条。だが、お家騒動とも言える状況下にある。先代の光圀の影響を排除して、自らの政治を行おうとする綱条派の面々。だが、これには幕閣の柳沢吉保の影がちらつく。

たまたま一松の腕をみた佐々木介三郎が一松の助けを借りる。そして、その現場を徳川光圀と安積覚兵衛が見守っていた。最後に、光圀はあの者を注視せよという。

やっぱり、悪役は柳沢吉保かぁ。水戸藩と一松がくっついて柳沢吉保と対決するんだな。と思ったが、一騒ぎが終わると一松はそのまま北上してしまった。

ということで、今回の敵は、前作から引き続きの薩摩藩。

それにしても、今後のシリーズの中で、水戸藩と絡むことはないのだろうか?

徳川光圀と一緒に登場した佐々木介三郎と安積覚兵衛。佐々木介三郎が、いわゆる助さんこと佐々木助三郎。助さんに関しては、佐々十竹(佐々介三郎ともいわれる)がモデルともいわれているようだ。安積覚兵衛が、いわゆる格さんこと渥美格之進である。

仙台までいってしまった一松。今度はどこへ行くのだろう?

さて、やえの故郷の九十九里浜。六丁一里の古い計り方で九十九里あったからという。度量衡が統一されたのは、意外に近年だというし、それまでは地方によって様々な距離があったそうだ。江戸時代においても、全国津々浦々まで一里が約四キロというわけではなかったようだ。

内容/あらすじ/ネタバレ

富士見坂での薩摩藩との死闘からおよそ三ヶ月。大安寺一松は、やえに導かれて白子浜に隠れ住んでいた。

ある日、やえが茂原の上総一家に引っ立てられたという。上総一家はやえが売られた時に口利きをしたやくざである。呑兵衛はやえが一松によって身請けされていることを知っていた。そして薩摩が一松を追っていることも。呑兵衛は金になると考えていたのだ。

呑兵衛は妾のお玉の所に三日とあけずに通っているという。一松はお玉をさらって、やえとの交換を要求した。

呑兵衛は香取流の達人香取七之進勝繁を雇っている。その香取七之進勝繁が駆けつけてきていた…。

元禄五年(一六九二)の正月。一松は水戸にいた。元禄三年に光圀が隠居して、当代は三代藩主綱条だ。やえは清泉尼の所に預けてきていた。

一松は城下で家老の藤井紋太夫が用心棒を雇っているという話を聞く。用心棒の選抜には実手流の辰沼無道興達という老人が関わっている。藤井紋太夫は用心棒を雇うことで、江戸と水戸に残る光圀の息のかかった家臣を排除しようとしているらしい。

そんなことには興味のない一松は路銀を稼ぐために道場破りを考える。だが、向かった先の道場は金がなさそうだ。その事を道場主に告げると笑ってそうだといった。傍らには佐々木とよばれた客がいて一緒に笑っていた。

仕方なく、藤井紋太夫の用心棒になろうかと考えた一松だが、応対が気にくわず叩きのめして出てきた。それを佐々木と呼ばれた男が見て、一松を誘った。

佐々木介三郎という武士は、藤井紋太夫の剣術指南・辰沼無道興達を殺してくれと頼む。

辰沼無道との闘いで、薩摩藩士・皆川菊蔵に木刀で打たれたのと同じ箇所を痛めた。熱を持った体で一松は北へと向かっていた。薩摩藩探索方の萬次郎とおぼしき人物が追っているのが分かったからだ。

一松は宇都宮城下に入った。驚くべきことに、ここでは大安寺一松を名乗って道場破りが行われていた。偽一松が現われたのだ。考え抜いた末、一松は薩摩の仕業との結論にいたる。

この偽一松は一松の向かう先々で同じことを繰り返していた。そして、偽一松は会津城下へ向かうと言い残していた。

一松を追っている薩摩藩士もこの偽一松の出現には戸惑っていた。一松と太刀筋が明らかに違う。だが、示現流であるのは変りがない。どうやら別の薩摩藩士が送り込まれているようだ。太刀筋から秘剣の鎌鼬と見られる。どうやら東郷重綱が送り込まれたようだ。

会津を出て二本松城下に向かった東郷重綱は、東郷重綱の名で道場破りがされていることを知り愕然とする。そしてその先でも同じことが繰り返されていた。一松による逆襲を食らっていた。

その一松から仙台伊達藩城下大手門前での果たし状が届いた。これ以上策を弄する必要はなかった。

一松は相馬中村城下にいた。ここで一松は馬泥棒の一統をやっつけるために雇われる。

仙台での決闘を前に、一松は再びの修行を行った。それは東郷重綱の鎌鼬に対抗する手段でもある。秘剣瀑流返しがなった。

本書について

佐伯泰英 秘剣・悪松2
秘剣瀑流返し 悪松・対決「鎌鼬」
祥伝社文庫 約三一〇頁
江戸時代

目次

第一章 対決北風返し
第二章 水戸お家騒動
第三章 白河街道口夜戦
第四章 相馬薙刀試合
第五章 広瀬川果たし合い

登場人物

呑兵衛…茂原の上総一家親分
お玉…妾
大八…参謀役
白亀の熊吉
上林の常五郎
香取七之進勝繁…香取流の達人
藤井紋太夫…家老
辰沼無道興達…実手流の達人
金森彦九郎
徳川光圀
佐々木介三郎
安積覚兵衛
浅茅…遊女
野州の種蔵…渡世人
光右衛門…庄屋
中馬宗次…相馬藩国家老
田野村鹿六…中馬家用人
丸森豪太夫師邦
伊勢傳右
(薩摩藩)
萬次郎…薩摩藩探索方
南鏡太郎…御番組下
東郷重綱…示現流の遣い手
蒲生長春

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