エリス・ピーターズの「修道士カドフェル第20巻 背教者カドフェル」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★★☆☆

長編最終巻。

カドフェル・シリーズとして完結したわけではない。

作者の逝去にともなうシリーズの終了である。作者は次作の構想も練っていたようで、とても残念である。

ある意味未完のシリーズなのだが、奇しくも本書はシリーズの大団円となっている感がある。

さて、カドフェルがオリヴィエの救出に向かう許可をラドルファス修道院長にもとめるシーン。

この中で交される会話の中で、あるフレーズが重要な伏線となっている。

そもそも、俗世の因縁を断ち切って修道院に入ったカドフェル。いくら息子のためとはいえ、修道院の仕事に関係ないことで修道院を出発するのは、信教に反することになる。これがいわゆる背教者的な行為にあたるわけである。

題名はそこから来ているのだが、先に述べた伏線はこの題名自体にも大きく関係してくる。

物語の中では、カドフェルがこの背教者的な行為を行っていることに罪の意識を感じるシーンが度々出てくる。

だが、息子の救出という重要な使命を優先させるのだ。物語は信仰を越えた父子の絆の物語になってくる。このカドフェル親子だけでなく、もう一組の父子の物語も重要な物語に骨格にもなっている。

内容/あらすじ/ネタバレ

1145年も終わりに近づき、スティーブン王と女帝モードが戦闘以外での和解の道を探り始めた。

その中、ヒュー・ベリンガーにもたらされた情報は、モードの兄・ロバート伯爵の息子・フィリップ・フィッツロバートが寝返り、スティーブン王側についたというものだった。

寝返ったときに、フィリップ・フィッツロバートのいる城内の一部の家臣は頑強に抵抗した。

そのため、捕えられ、拘束されている。その中に、ヒュー・ベリンガーの知っている名があった。

オリヴィエ・ド・ブルターニュ。ヒュー・ベリンガー自信も知っており、なによりも以前にカドフェルが自分の息子だと打ち明けてくれた人物である。このオリヴィエのいる場所は分からない。

この悲しい知らせをヒュー・ベリンガーはカドフェルに伝えることにした。

カドフェルは俗世の因縁を断ち切って修道士となったはずだが、この知らせを聞いて、息子を救出しにいかなければならないと決意する。

幸い、王と女帝の講和の会議が開かれる。その席にヒュー・ベリンガーとともに出席することをラドルファス修道院長にもとめる。この願いは許可される。

会議の席で、カドフェルは懐かしいイーヴ・ユーゴニンに出会った。イーヴもオリヴィエの救出を目論んでいた。それは、オリヴィエが自分の義兄になるからである。

この会議場の中でイーヴ・ユーゴニンが見たのは、裏切り者のブライアン・ド・スーリだった。

見つけるなり、イーヴはド・スーリに斬りかかった。司教の登場により、この争いはすぐに収まったが、会議が終了した直後に、このド・スーリが殺された。

疑いはイーヴ・ユーゴニンに向けられた。だが、カドフェルは犯人がイーヴでないことを確信していた。

会議を終え、帰路につく女帝の一行の中にイーヴはいた。だが、途中で何者かに襲われ、連れ去られてしまう

一方、カドフェルは会議中に様々な情報を集めたが、オリヴィエのいる場所は分からずじまいだった。ヒュー・ベリンガーと分かれ、カドフェルは単身、ラ・ミュサルドリーに向かう。

ド・スーリを殺したのは、イーヴ・ユーゴニンなのか?そして、カドフェルは息子・オリヴィエを救い出せるのか?

本書について

エリス・ピーターズ
背教者カドフェル
光文社文庫 約383頁
12世紀イギリス

登場人物

カドフェル…修道士
ラドルファス…修道院長
ロジャー・ド・クリントン…司教
スティーブン…王
モード…女帝
ジョヴェッタ・ド・モントール…侍女
イザボー…ジョヴェッタの姪
ロバート…伯爵
フィリップ・フィッツロバート…ロバートの息子
ブライアン・ド・スーリ…フィリップの臣下
オリヴィエ・ド・ブルターニュ…カドフェルの息子
イーヴ・ユーゴニン…オリヴィエの義弟
ヒュー・ベリンガー…州執行長官

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