藤沢周平の「日暮れ竹河岸」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★☆☆☆

前半の<江戸おんな絵姿十二景>は、一枚の絵から主題を得て、一月から十二月までの季節に対応した短い話を作り上げるという遊び心のある趣向で書かれたものである。それぞれの中に季節を感じ取れる内容となっている。

後半の<広重「名所江戸百景」より>は前半同様に絵を主題にしたものである。こちらは、前半のような遊び心で書かれたものというよりは、普通の短編に近いものである。

内容/あらすじ/ネタバレ

<江戸おんな絵姿十二景>

夜の雪

おしづは政右衛門から縁談を持ってこられても断っている。自分には新蔵がいるのにと思っているのだ。新蔵はおしづの潰れる前の実家の奉公人だった。

うぐいす

おすぎは長屋の人間に誘われても一緒に湯屋には行かない。おすぎは長屋のみんなと仲良くできたらどれだけ楽しいだろうかと思う。だが、この思いは恐ろしい記憶を引き出してしまう。

おぼろ月

おさとはきくえのところに寄って遅くなってしまった。おさとは自分の縁談が決まったことを告げた。きくえは苦労したはずなのに幸せそうだった。おさとは今回の縁談には今ひとつ乗り気でなかった。

つばめ

おきちは年下の男の子達からかっぱらった戦利品を貰っていた。おきちは十五の少女で、半分は大人になっていた。おきちは十二の歳に水茶屋に働きに出て、段々と悪くなっていた。

梅雨の傘

女郎のおちかは金のなくなった男を捨てようとしていた。次のおいしい客をつかまえておかなければ…。そんなおちかの前におとよの客である松次郎が現れた。

朝顔

おうのは夫の忠兵衛が取引先にわけてもらったという朝顔を丹念に育てていた。忠兵衛とおうのの間には子供がいない。そして、忠兵衛はそとに妾を囲んでいた。

晩夏の光

おせいは捨てた元夫の伊作を訪ねてきたが、引っ越したあとだった。おせいは一緒に逃げた男に捨てられ、もしかしたらやり直せないかと思い、伊作を訪ねたのだ。

十三夜

お才は、菊蔵の帰りが遅いので、変な噂の事を考えていた。それは、菊蔵の帰りが遅いのは外に女がいるからだという長屋の中の噂だった。

明烏

花魁播磨の馴染みの客・新兵衛が今日は泊まらないという。理由を聞くと、借金で家を追い出されるからだという。新兵衛はその身代を播磨に注いでしまったのだ。

枯野

おりせが寺を出ると、おかぢと出会った。死んだおりせの主人・清兵衛の話が出た。その中で清兵衛は褒められたが、おりせは清兵衛の別の面を見てきていた。

年の市

おむらは新しい年のものを買い整えるのは同じ場所と決めている。心配なのは、息子の宗吉である。家を空けているのだが、それは嫁が家を出たからだと分かっている。それでふてくされているのだ。

三日の暮色

おくには正月の料理の味見をしていた。心配なのは、亭主の喜兵衛が鹿野屋と倉田屋と一緒に出かけて事である。

<広重「名所江戸百景」より>

日暮れ竹河岸

信蔵は金を借りないとにっちもさっちもいかない状況だった。六助にも金の工面を頼んでいたが、六助が最後の頼みの綱だった。他は全て断られている。

飛鳥山

女の子を見たとき、女はなんてかわいい子だろうと思った。女の子の名はゆきといった。女はゆきと少し話した後、飛鳥山を見物して帰ろうと思ったが、帰る前にもう一度ゆきを見たいと思った。

雪の比丘尼橋

鉄蔵は独り者である。腰が悪く、痛くないときにした働きに出られない。だが、今日は鉄蔵は懐が暖かい。そこで酒を飲んだが、若い者に絡んで、逆にのされてしまう。

大はし夕立ち少女

さよはお使いで外に出るのが好きだった。今日もお使いに出たのだが、帰り道で雨にふられてしまった。

猿若町月あかり

善右衛門のところに甥の富蔵が訪ねてきた。やっぱりきたか。そう思ったが、そんな気振を少しも見せなかった。用件は分かっているのだ。

桐畑に雨のふる日

ゆきは勝ち気に思われるが、ほんとうは臆病な女だった。一人暮らしの家に戻ると灯りがついている。もしかしたら、行方不明になった父親の由松が戻ってきたのかもしれないと思った。

品川洲崎の男

みちは目の前を通った男に目をやった。男はみちと少し前まで訳ありだった人物である。男の名前は知らない。その男が若い女と一緒に歩いていた。

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本書について

藤沢周平
日暮れ竹河岸
文春文庫 約二六〇頁
短編集 江戸時代

目次

<江戸おんな絵姿十二景>
夜の雪
うぐいす
おぼろ月
つばめ
梅雨の傘
朝顔
晩夏の光
十三夜
明烏
枯野
年の市
三日の暮色
<広重「名所江戸百景」より>
日暮れ竹河岸
飛鳥山
雪の比丘尼橋
大はし夕立ち少女
猿若町月あかり
桐畑に雨のふる日
品川洲崎の男

登場人物

<江戸おんな絵姿十二景>
夜の雪
おしづ
新蔵

うぐいす
おすぎ
勝蔵

おぼろ月
おさと
きくえ

つばめ
おきち
新吉
仙太

梅雨の傘
おちか
松次郎
おとよ

朝顔
おうの
忠兵衛
おたか

晩夏の光
おせい
伊作

十三夜
お才
菊蔵

明烏
播磨
新兵衛

枯野
おりせ
清兵衛

年の市
おむら
宗吉

三日の暮色
おくに

<広重「名所江戸百景」より>
日暮れ竹河岸
信蔵
六助
たみ

飛鳥山

ゆき

雪の比丘尼橋
鉄蔵

大はし夕立ち少女
さよ

猿若町月あかり
善右衛門
富蔵

桐畑に雨のふる日
ゆき
由松
豊太

品川洲崎の男
みち
徳丸屋信兵衛

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