井上靖の「風濤」を読んだ感想とあらすじ

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覚書/感想/コメント

★★★★★★☆☆☆☆

二度にわたる元寇を元の側から、特に高麗を舞台として描かれている。

元寇の行われる前の高麗は、蒙古軍により国土が壊滅的な打撃を受けており、蒙古からの要求をいかにして反らそうかという高麗政府の苦心が伺える。高麗政府は混乱の局地にあり、この難局をいかに乗り越えたのかが本書の読みどころであろうと思う。

また、フビライというモンゴル帝国の最大版図を築いた皇帝が、高麗側から描かれているのも読みどころの一つであろう。

フビライは一方で物わかりがよく柔和な印象を与え、もう一方で冷酷な為政者の顔を覗かせている。その真意が掴みにくい人物として描かれている。だが、そういう人物だからこそ、最大版図を築くことができたのかも知れない。

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内容/あらすじ/ネタバレ

高麗の太子てんが蒙古が入朝した。本来なら父・高麗王高宗が入朝すべきだが、老衰と多年にわたる蒙古軍との抗争による心労のため無理であった。

てんはフビライと会うことができた。会見によっててんは、フビライに親しみを感じた。この途中で高宗の死を知らされたてんは、高麗に戻り王位についた。元宗である。同じ頃フビライも王位につき世祖となった。

このころの高麗にとっての三十年は悪夢の連続であった。蒙古が本格的に半島攻略に乗り出してきていたからである。

さて、フビライが即位してから、フビライが行おうとしていたのは、日本を属国とすることだった。そのため、高麗が果たす役割は対日本政策に置いて特殊なものになるのは目に見えていた。

すると、蒙古の軍は再び高麗の各地に駐屯することになるだろう。状況は近年まれに見るほどの悪化をたどるはずであった。李蔵用はこのことに頭を痛めていた。

とにかく、一度は日本へ使節を送らなければならない。それで、日本が蒙古の属国となればよし。万が一海難で日本にたどり着けなかったら、それはそれで申し開きはできる。李蔵用は入朝して、フビライに会った。だが、この時の結果は思わしいものではかなった。

この後、高麗では混乱し始めていた。林衍が王の廃位を行ったのである。林衍は現在の高麗の難局はフビライのせいであり、フビライの傀儡となっている元宗を廃位しなければ高麗は滅びるという考えだったのだが、逆にこのことによって高麗は窮地に立たされることになる。

この混乱を何とか収集した高麗政権であったが、フビライの日本侵攻は現実のものとなってきた。その派兵の為の用意は高麗がすることになった。国土は疲弊しており、この賦役はさらに高麗の国力を弱めるものだった。

だが、苦難の末の第一回の日本侵攻は風雨により失敗に終わる。

高麗政府は再び行われるであろう日本侵攻のために、様々な画策をする。

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本書について

井上靖
風濤
新潮文庫 約二五〇頁
長編
元 13世紀

目次

第一部
第二部

登場人物

元宗(太子てん)
忠烈王(太子諶)
クツルガイミシ…忠烈王の妻
李蔵用…重臣
金方慶…重臣
林衍…軍の統率者
世祖(フビライ)
洪茶丘…高麗系の元の役人

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