塩野七生の「神の代理人」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

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覚書/感想/コメント

★★★★★★★★★☆
ルネサンスを彩る法王たち。本書で取り上げられている法王の内3人まではボルジア一家と何らかの強い関係のある法王である。本書を合わせて、「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」「ルネサンスの女たち」を読むとこの時代の空気というものがよくわかると思う。

さて、本書で取り上げられている法王は、一人は狂信的、一人は狡猾的、一人は武闘的、一人は享楽的である。

この中で、最も愚かで救いがたい法王は武闘的なジュリオ二世であろう。

法王という立場を考えた場合、アレッサンドロ六世という法王はかなり問題のある法王なのかも知れないが、政治家・外交官として考えれば、その考えていることは理にかなっている。

それに対して、ジュリオ二世はその考えていることに一貫性を欠くため、何とも愚かな外交戦術を繰り広げてしまう。

この時代の法王は、現在とは異なり、教会の長であるだけでなく、同時に領主でもあり、政治家・外交官でもあった。

その意味において、一貫性を欠いた外交戦術を繰り広げるジュリオ二世は、適性に欠く人物だったと思わずにいられない。

こういう政治家・外交官はいつの時代にも、人々に不幸をもたらす。

(参考)
ルネサンスのローマ法王
 カリスト三世 就任年齢77歳 ((1455~1458)
○ピオ二世 就任年齢53歳 (1458~1464)
 パウロ二世 就任年齢47歳 (1464~1471)
 シスト四世 就任年齢57歳 (1471~1484)
 インノチェンツォ八世 就任年齢52歳 (1484~1492)
○アレッサンドロ六世 就任年齢61歳 (1492~1503)
 ピオ三世 就任年齢64歳 (1503(26日))
○ジュリオ二世 就任年齢60歳 (1503~1513)
○レオーネ十世 就任年齢37歳 (1513~1521)

内容/あらすじ/ネタバレ

最後の十字軍

1458年、前法王カリスト三世の死去のため、新法王選出のための会議=コンクラーベが始まった。ロドリーゴ・ボルジア枢機卿にとって、この伯父カリスト三世の死去は打撃であった。ロドリーゴはまだ27歳である。この歳にして枢機卿中第一位の地位である副官房職になったのも伯父のおかげである。

さて、コンクラーベではルーアンの枢機卿とシエナの枢機卿が他の候補者より有利な状勢で戦っている。しかし、この二人の勢力の均衡が崩れたのは、ロドリーゴによるものであった。そして誕生した法王がピオ二世である。

このピオ二世が法王即位からすぐの枢機卿会議で持ち出した話は、並みいる枢機卿の顔色を変えるのに十分であった。十字軍を起こすというのだ。

アレッサンドロ六世とサヴォナローラ

ロドリーゴ・ボルジア枢機卿はアレッサンドロ六世として法王になった。ナポリ継承問題に絡んでフランス王シャルル八世はイタリアに侵入し、法王にナポリ王の継承等を迫るが、シャルル八世は老練な政治家であるアレッサンドロ六世の敵ではなかった。完全に丸め込まれてしまった。

この後から、法王アレッサンドロ六世はフィレンツェのサヴォナローラの問題に取り組み始める。この両者の間を頻繁に文書が行き来することになる。

法王側はサヴォナローラに法王に従うことを迫る。そしてサヴォナローラ側は法王に対して従順な姿勢を見せる。しかし、サヴォナローラが行うフィレンツェでの説教は法王を批判するものであった。この情報はすべて法王側に伝わっている。

フィレンツェでの市民のサヴォナローラに対する崇拝は狂信的な度合いを強めている。アレッサンドロ六世はサヴォナローラを追詰めるわけにはいかなかった。つまり、民衆の支持を得たまま、追詰めてサヴォナローラを殉教者にするわけにはいかないのである。

アレッサンドロ六世の老練な政治家としての手腕が試される。

剣と十字架

ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ枢機卿が執念を燃やした打倒ボルジアの夢は法王アレッサンドロ六世の死去とともに成就する。そして念願かなって法王ジュリオ二世として即位する。

即位して最初に取りかからなければならない問題が二つあった。一つがチェーザレ・ボルジアの処遇である。そしてもう一つがヴェネツィア共和国への対処である。このヴェネツィアはチェーザレ・ボルジアの失脚を使用して、ロマーニャ地方に勢力を拡大していた。これを認めるつもりはなかったが、ジュリオ二世は何も出来なかった。

ジュリオ二世はチェーザレ・ボルジアが残した遺産をそのまま引継いでいた。それは秩序の再建された教会領である。そして、ジュリオ二世はさらなる勢力拡大を考えてしまう。

そのため、自らが出馬しての戦闘を挑む。最初に標的にされたのはペルージャとボローニャの二都市である。

ローマ・十六世紀初頭

37歳という若さで法王になったレオーネ十世。フィレンツェの名門メディチ家出身の法王である。前法王の戦いに明け暮れた時代が過ぎ、世間は平和を求めていた。しかし、このレオーネ十世は平和を好むのにはあまりにも享楽に過ぎた。

1513年。アルプスの北に住む陰気な人々が”悪魔の巣ローマでの異教の祭典”と弾劾した日が陽気に繰り広げられようとしていた。それは、法王自らも参加するパレードであった。

この反面、レオーネ十世は狡猾な外交官の面も持ち合わせている法王であった。

本書について

塩野七生
神の代理人
中公文庫 約四五〇頁
15世紀末~16世紀頭 イタリア

目次

最後の十字軍
アレッサンドロ六世とサヴォナローラ
剣と十字架
ローマ・十六世紀初頭

登場人物

最後の十字軍
 ピオ二世
 ロドリーゴ・ボルジア枢機卿

アレッサンドロ六世とサヴォナローラ
 アレッサンドロ六世
 サヴォナローラ…修道士
 ルカ・ランドゥッチ…商人
 バルトロメオ・フロリド…法王の秘書官

剣と十字架
 ジュリオ二世

ローマ・十六世紀初頭
 レオーネ十世

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